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そこまで来ている近未来。XR技術で文化施設の価値向上。

UPGRADE with TOKYO 第19回(テーマ「XR技術等を活用した新たな芸術文化の鑑賞・参加機会の提供」)を開催しました!

東京が抱える様々な都政課題を解決するために、民間から生まれた画期的な製品・サービスを活用し、官民一体の事業の実現を目指したピッチイベントUPGRADE with TOKYO。第19回は「XR技術等を活用した新たな芸術文化の鑑賞・参加機会の提供」をテーマに開催いたしました。
東京都では芸術文化の振興を図るため、都立文化施設7館の管理運営を行なっております。コロナ禍により都民のみなさまが芸術文化を直接鑑賞・体験する機会が激減する中、都立文化施設が有するコンテンツと革新的なXR技術の組み合わせによって、リアルとバーチャルともに体験できる新しい楽しみ方を提供したいと考えています。

急速に進展するデジタルテクノロジー
それぞれの特長を生かした5つのXRワールド

コロナ禍により、リアルな場に訪れる機会が激減する一方で、配信やオンラインコミュニケーションツールなどのデジタルテクノロジーが急速に進展。中でもXR技術は目覚しい進化を遂げています。今回は、そんなXRの分野で活躍する5社がピッチに登壇。それぞれの持ち味を生かしたアプローチで、XRが紡ぎ出す“近未来”を垣間見るようなご提案をいただきました。

■エントリーNo.1株式会社ABAL
東京XRアートシアター

株式会社ABALの持つ特許技術を用いることで、現実空間の1会場をVR空間で100会場に拡張することが可能となります。その中に音楽や演劇、展示など様々なコンテンツを設け、ユーザーはVR空間の中の移動パネルによって、すべての会場を自由に回遊することができます。
映像マッピングや360°ドームプロジェクション、3DCGを活用したセットやロケーションを活用することで自由に演出された空間に、ボリューメトリックビデオやモーションキャプチャー、ビルボード映像により豊かな人物表現がなされたキャラクターを配置することも可能。これらのXR技術により、都立文化施設のさらなる価値向上を目指します。

エントリーNo.2 Alche株式会社
メタバースを共創するカスタマイズ型プラットフォームStellla

「夢中になれる、心地よい場所と体験を作る」というミッションを掲げるAlche株式会社は、メタバース空間でエンターテイメントを制作している企業です。すでに国内の有名アーティストのバーチャルライブやTV局によるバーチャルイベントなどを手がけ、今回はAlche株式会社が開発したメタバース制作プラットフォーム「Stellla」の江戸東京博物館での活用アイデアをご提案いただきました。
江戸時代を再現したバーチャル空間「Edo verse」にiOS/Androidアプリで参加。このアプリは1000人以上が同時接続できるので、多くの方と一緒に体験を共有することができます。「Edo verse」をきっかけに、都民だけでなく、世界へ「東京/江戸」の文化芸術の発信を目指します。

■エントリーNo.3 フィグニー株式会社
「芸術×インタラクション×遊びごころ」Vuseum

都立文化施設をVR空間に再現し、ユーザーが自宅にいながら芸術鑑賞ができるシステム「Vuseum」をご提案いただきました。
提案のキーワードは「芸術」「インタラクション」「遊びごころ」の3つ。美術品などの展示物にコメントが書き込むことができ、それに対して返信を行ったり、また美術品が語りかけてくるなど、芸術を軸に参加者が双方向で楽しめることが特徴になっています。
このシステムを活用することで、芸術文化施設の堅苦しいイメージを払拭し、従来とは違うユーザー層へのアプローチを実現。コロナ禍で来場者が減少傾向にある都立文化施設の「訪問者の分母の増加」を狙うアイデアとなっています。

■エントリーNo.4株式会社ハニカムラボ
「私には縁がない」施設から「ちょっと面白そう」な施設へ

日常で芸術文化を体験する機会が少なく、都民にとって都立文化施設は「私には縁がない施設」となり、来場者減少につながっているのではないかという仮説をもとに、株式会社ハニカムラボが提供する2つのサービスを活用したご提案をいただきました。
1つ目は「バーチャルガイドWeb」。Web上にバーチャル空間を再現し、現地に行かなくても自由に施設を楽しむことができます。2つ目はMRグラスを活用した「バーチャルガイドMR」。こちらは施設に訪れた際にデジタルキャラクターが様々な視点から特別にナビゲートしてくれるため、今までにない、シェアしたくなる体験ができます。「行かなくても知ることができる」「行ったら人に教えたくなる」を実現することで、「知らないから選択しない=縁がない」と思われない、プラスαの体験を提供します。

エントリーNo.5株式会社Psychic VR Lab
STYLYを活用したバーチャル・リアルで同時展開する複合型XRアート展のご提案
株式会社Psychic VR Labは、2030年以降に必ずやってくる未来として、リアルとバーチャルが重なり合う世界を生きる時代を想定し、誰でも3D空間を創造し配信できるプラットフォーム「STYLY」を開発・展開しています。同時に「STYLY」を使うアーティストを増やす活動も行っており、すでに3万人を超えるアーティストがグローバルに存在。今回はこの「STYLY」と世界中にいるアーティストの力をもって、リアルとバーチャルで同時展開する複合型XRアート展をご提案いただきました。
会場に足を運べないユーザーはバーチャルでの来場、リアルで来場されるユーザーにはARやMRの技術を組み合わせることで、より価値のあるコンテンツへと昇華し、新たな体験を提供するアイデアです。

XR技術を駆使して、演劇鑑賞・音楽鑑賞をアップデートし、全く新しいアート体験の創造を目指す。
優勝社に選ばれたのは株式会社ABAL『東京XRアートシアター』

各社のプレゼンテーションはエキサイティングで、審査委員一同、ワクワクと胸が踊るピッチイベントとなりました。芸術文化体験の新たな仕組みのご提案をはじめ、具体的なコンテンツイメージの提示、新たな価値の創造による新規来場者の獲得、XR分野のアーティスト育成によってディファクトスタンダードを狙っていくものまで、各社の強みを生かした様々な提案が勢ぞろい。審査委員からも「実際に体験してみたい」と期待の声が寄せられました。
その中で優勝社となった株式会社ABALの「東京XRアートシアター」は、舞台芸術・音楽体験の新たな楽しみ方の提案といった今回の応募テーマに即している点、都立文化施設との親和性、提案の実現性等が審査委員から高く評価されました。

ワクワクする近未来を感じて、芸術文化の分野から東京都を元気に。

コロナ禍において打撃を受けた分野の一つである芸術文化分野において、今回のXR技術を活用したアイデアには課題解決の糸口が見える瞬間が多くありました。
XR技術はワクワクする近未来を感じさせてくれる分野です。リアルな環境で閉塞感が漂う中、このワクワク感を都民のみなさんと共有するために、優勝社に限らず様々なスタートアップとの協働を視野に、芸術文化の面から東京都を盛り上げていきたいと思います。

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