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ARのUXデザインのヒント:身の回りにあるジェスチャーたち

”拡張現実”であるARは、既存のデジタルデバイスに比べ、自由度の高い世界です。
現実とデジタルが融合した世界には、スマートフォンやPCのような画面サイズの制限がなく自分の周囲360度全てに情報を表示させることができます。また、表示されたものに自分が近づいたり、後ろを覗き込んだりできるなど、見方も一辺倒ではなく自由にすることができます。

デザイナーの立場だと、「考えられることが多そう」とか「今までの知識がどこまで使えるのかな」といった、期待や惑いを感じる方もいるのではと思います。
確かに、ARはこれまでに無い体験をユーザーに提供できる反面、制限のないXYZの空間の軸や時間、音といった様々な視点からデザインを考えていく必要があります。
よりよいARのUXデザインとはどういったものなのか。
まだまだ確立されていない世界ですが、楽しみながら挑んでいきたいと思います。

UXデザインのヒントは身の回りにある?

ARの入力方法はコントローラーだけではなく、音声や視線といった様々な方法を単独、もしくは組み合わせて使うことができます。
ジェスチャー(手の動作)も入力方法の一つであり、その手軽さから使う頻度が高くなるでしょう。

振り返ると、私たちの暮らしには様々な手の動作が溶け込んでいます。
それらは、ARに利用できないでしょうか?
今回は、ARの世界に使えそうな「身の回りにあるジェスチャー」を見つけていきたいと思います。

1、タップ・ピンチ・スワイプ・フリック

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スマートフォンの操作方法として使われているジェスチャーは、使われ始めて10年以上が経ちます。
既に日常生活に深く根付いていて、何かを拡大しようとすると、つい指を開いてしまったりしてしまいます。
これらの動作は、ARでも変わらず、十分自然な動作として使えそうです。

2、いいねマーク

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親指を上げて作るいいねマークは、単純な回答をしたり感情を表現するだけなら、簡単で気軽にできます。
また、ボタンをタップして感情を発信するより、動作を伴うことで、”感情に気持ちが乗っかる”効果を生ませることができそうです。

3、指でフレームを作る

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両手の人差し指と親指で風景をトリミングする動作は、写真を撮る動作に直感的に結びつけられそうです。
今まで手まねで終わっていた動作が実際に風景が切り取れるとなると、常に一眼レフカメラを持ち歩いているような、日常のふとした瞬間をより手元に残しやすくなるかもしれません。

4、手で筒を作る

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外で遠くを見る時、手で望遠鏡のように筒の形を作ることはありませんか?
現実では覗いた先は拡大されませんが、AR上では実際に拡大して見せるこができそうです。
これも”見たい”と思った時に行動に移せるので、直感的な動作として使えるかもしれません。

5、上に押す/下に押す

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音量や透明度などボリュームを調整するときや、文章をスクロールするときに使われているバーは、すでにお馴染みの光景です。
ARでは指を上下に移動させることで、バーを押して移動させている感覚が持たせられます。
上下だけでなく、左右や手前と奥でバーを移動させる動作も考えられますね。
現実と融合している分、”重力”や”物体感”を感じさせることも大切です。

6、ダイヤルを回す

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同じくボリュームを調整する役割として、ダイヤルを回す動作が使えそうです。
特に、指を輪に引っ掛けてから回すダイヤル(懐かしい黒電話についていたような)は、まだ不確実性が伴うARで、現実との感覚の溝を埋めるヒントになるかもしれません。

7、ON/OFFスイッチ

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スイッチが表示されていなくても、動作だけで入力ができるかもしれません。
例えば、人差し指と中指を交互に上下させる動き。
2本の指でON/OFFスイッチを切り替えているような動作は、(「カチッカチッ」という音を伴えばさらに)照明やディスプレイのスイッチを入れているような感覚を生むでしょう。

8、本を開く

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両手を合わせた状態から手のひらを上に向けて開く動作。
「何かを開く」「何かが出てくる」といった感覚を生まれさせる動作です。
アプリのメニューやウィンドウ、3Dの物体を手のひら上に召喚させることは、直感的に行えそうです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今までの日常生活の中で、長く使うことで覚えた手の動きは簡単には抜けません。
その動きを利用して、覚える必要がない=ストレスのない体験を生まれさせることが、よりよいUXにつながるのではないでしょうか。

まだまだ身の回りには手の動作が隠れています。
その中には、これからスタンダードになる動作があるかもしれません。






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