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ガールズバンドクライ(非公式)

人間なので自己の許容範囲を超えてあまりにもイレギュラーな事態が重なってくると、だいたいおかしなコトを言ったり始めたりする人は多いのだけれど、本来ならば年度末に決算しなければいけない案件がいろいろと滞って、2024年も半年を過ぎようとする今になっても一向に終わらないと言うことになると、もういい加減開き直ってしまったというのか、考えるのを諦めてしまったというのか「桜が散るまでは大丈夫」とか「ゴールデンウィーク中にはなんとか」といっていた言い訳がだんだん「うん、まだ今日は2023年度3月93日だから、全然大丈夫、4月にならなければ年度は超えないから……」などという謎の呪文をつぶやき始めるようになって、いや、もう、これ、本当にアカンやつじゃ? もうそろそろ二進も三進も行かないようなどうしようもないことになっているンじゃないかというような………………え? 何のはなしかって? まぁ、概ね独り言なので気にしないで下さい。

さて、まぁ、そんなこんなで季節の数え方というのもいろいろあるもんだなぁと感心してしまうようなことは多々あるのだけれど、現代では日本の放送業界なんかで専門的に使用されていた一年間を四半期に分けて始期基準を定めるクールという呼び方が、一般にも定着している。なんでそう呼ぶようになったのか語源はよく分からないのだけれど、日付の数え方以外に、9だったり13だったりするドラマやアニメなどの話数を一纏めに1クールとして数えるというやり方もあったりするので、こうなるとダースと違ってクールの中に幾つの数字を入れればいいのかということは結構いい加減であやふやでもOKということになっている。制作の都合上作画崩壊しようが1〜2話吹き飛んでしまおうが、契約では1クールですから、何の問題もありませんからと強弁できる、便利な言い訳にも使えるという魔法の単位だ。

と、そういうことで現時点では季節も2024年が第二クールもそろそろ終わりにさしかかってきたという感じではあるのだけれど、タイトル画像でお察しの通り今回は人に勧められて見たその第二クールのアニメの絵と音に見事にど嵌まりしたので……まぁ、それについて。ただ、感想文については、現時点ではまだおはなしの途中なのでなにかをいうこともないから、今回はこのアニメのタイトルのタイポグラフィについてのおはなし。

こういう過度に極太な書体がロックなデザイン様式としてリファレンスされるというケースはままあって、太く潰れた文字というのはレタリングすると案外単純で簡単そうには見えるのだけれど実際問題として既存の極太フォントをそのまま利用してロゴにしようとすると、案外思ったようにいかないというケースは多々ある。普通の文字と比較して、極太フォントの種類が極端に少ないのと、その極太フォントもフォントである必要上、他の文字種とのバランスも取らないといけないため何でもかんでも字間を詰めて黒く塗りつぶせばOKという話にもならないからだ。まぁ、角字ボルクロイドFitのように限界まで空間を埋めてしまうという極悪極太文字も無いことも無いのだが、これはこれで黒くなりすぎて文字からサウンドやリズムが失われロックというよりはもはやアンビエント。スパロボアニメか戦隊もののタイトルにしか……いや、まぁそういうケースではともかく、通常は普通に極太フォントと呼ばれている文字でもまぁなんだかんだいっても思っているよりは太くなかったりすることもあるというわけでフォントから必要な文字数だけ取り出して並べて見ても、文字の並びによってデザインに予定したほどにはパンチが無くなったり間抜けに見えたりするというのはこんなところにも原因がある。で、ロックミュージックとタイポグラフィに関しては……って、ここで始めるとまた延々と終わりが見えなくなるので、まぁそういう話はしないけど、ちょっとだけはなすとロックの定義を反体制的な……広義に従来の社会的な原理原則思想思考についての抗議反発みたいなところにまで話を拡げて考えればタイポグラフィに関しても伝統や慣習に基づく教科書的なアプローチが通用しないであろうことも、まぁ容易に想像が付くとは思うから、こうしろとかああしろとかいう話をしてもしょうがないと言うこともこれまた容易に想像がつくとは思う。まぁそんなこんなでこういうものは個別の事例を積み重ねていって解説する以外に説明のしようが無かったりもするというところでもあったりはするのだけれど、まぁ、そんな長くなりそうなはなしはともかく、今回はこのタイトルのロゴタイプにインスパイアされたっていう感じで以下のフォントを作成。


This is an OpenType/CFF font with 487 characters. It has 18 layout
features. 670Glyphs. SIL OPEN FONT LICENSE Version 1.1
Filename:KawasakiMadDog.woff2 and KawasakiMadDog.otf 
Version:THE FIRST TAKE.


まぁ、first Takeなどというと聞こえは良いけど、気合の一発撮りでフォントなので当然そういう作り方するとあとで碌でもないことになる……のだけれど、ロックな書体なので、まぁここは最初の心意気を忘れずになどという意気込み的に理解していただければありがたい。ところで、こういうもののコピーはドコまで大丈夫かというのはいろいろ見解はあるだろうけど、一般的には書体について特定の個人、企業、団体などに著作権や意匠権を認めると、その書体を使用した出版や、その書体と類似した書体、改良した書体の作成などの際に逐一著作権者の許諾が必要になり文字を主体とする様々な文化芸術経済活動そのものを阻害しかねず、さらには無数に存在する似たような書影書体全てに対してその著作権が認められるということになると、権利関係が複雑化して大混乱を来すので、基本的には書形に権利が認められるということはない……ということにはなっている。これは制作物とか発明発見によって得た知識というものは人類共有の財産であり、公共の利益に資するものなので、それを占有するような独占的権利は認めないというような考え方が基本にあるにはあるのだけれど……まぁ、ただ共産主義者ではあるまいし、それだけだと努力して作った人の権利や、やりがいというものがあまりにも蔑ろで報われないので、そういうケースに限っては例外的に権利を付与するという……まぁ、そういう哲学によってキマリが作られていることもあってこういうおはなしになっている。したがって著作権などのような権利は、権利の例外でありそれを行使できる期間には当然期限が設けられているというワケだ。いまや方程式にすら著作権が認められるような時代ではあるが別にその方程式を使って数学の問題を解いてもなにかを要求されるわけでも無い。ということで著作者でもなんでも無い個人、団体が制作物のメンテナンスを怠って権利だけを主張するのには些か問題はあるとは思うのだけれど……まぁ、そういう意見は個人的見解なので気にしないで下さい。

また意匠権については我が国では特許庁への出願、審査、登録、意匠公報での公開というような過程を経てからはじめて認められるというパテント・アプローチがとられているので作った時点において権利が発生するというコピーライトなアプローチが認められていないのと、ロゴを意匠登録するときにロゴの中の文字を一文字ずつバラバラにしてそれも別途に意匠登録するというようなアホなコトをするヒトもいないだろうから部品としての字形に関してはそもそも問題にもなりようが無いのだけれど……。

ただ、まぁ、そうはいってもまったくのコピーではさすがにモラルとしての問題はあるので、そういうところは考慮する必要は大いにある。今回は単純にデザインコンセプトだけを参考にしているだけで、ロゴをトレースしてデザインを起こしているわけではないので、このフォントでタイトル文字を打ってもタイトルロゴとまったく同じになるというわけではない……ということはまぁ言い訳をするまでもないんだけど一応ね……それに加えてこっちは中川紗也子や東映アニメーションの知り合いでも関係者でも何でも無いので、俺が適当に勝手なことをしているだけだから……と、まぁ、そういうことでもあるので関係者においては不服があるようならばコメント欄へお早めに。

ただし、フォントの見た目に関してはそういうことになってはいるのだけれど、デジタルデータやプログラムとしてのフォントに関しては、それとは別に民法709条が適用されて不法行為によって相手の権利や利益を侵害しているとみなされればケースとして損害賠償請求の対象になるので、ファイルからデータを抽出してコピーして改変などというのはそれが許諾されていなければ当然厳禁だ。さっきの方程式の話でいえば、その方程式のアルゴリズムをプログラムに組み込む際には問題が発生する。あと、見た目の芸術性や独創性が、美術も文化も分からないような法律家に認められたり認められなかったりする場合には文字の意匠にも著作権が発生したり発生しなかったりする場合はあるから、まぁ、そういうケースでは個別に注意が必要にはなる。ほかにも強引に理屈を付けようとすれば引っかけられる法令は幾つもあることはあるのだけれど、何れにせよ、お国のエスタブリッシュメントが公共の利益を笠に着て作為不作為に関わらず個人の権利を剥奪し利益享受者のポッケに入れちゃうというようなケースでもなければ、コトは民法上の問題なので公序良俗や法令違反がない限りにおいては相互のお話し合いが優先されるから、このように対話の意思がありますというようなコトをキチンと表明しておくことは大事になるというわけ。人を喰ったような話に聞こえるかも知れないけど、これでもいつもよりは真面目なはなしをしている積もり……イヤ、ホント。あと、いつも言うけどキマリに関するおはなしなので,こんな適当な噺で分かったつもりにならないでちゃんと自分で調べて下さいね。


で、まぁ、そこは置いておいて、今回のフォントについての説明。注意点から先に言うといつもの如く余計な事だけは「全部ぶち込め」してるけどカタカナとアルファベットと数字だけのフォントでカーニングも最低限……は施してあるけど、こういう作業は時間を掛けてバグを潰していかないといけないため、文字詰めに関してはあまり信用してはいけない。というか、コイツの言うことなど一粍も信用できないのだけれど、まぁそれを言っちゃあお終いになるのでそれはそれとして、それから縦組も……可能は可能だけれど、このあたりの処理も自分で言うのも何だけど抜けがあるのは確実だ。あと、これもいつも言うけどご利用に関しては自己責任で、お願いしますよホント。

と、注意書きが済んだところで、このフォントの機能についての説明。


長文を組むのには問題がある
まぁ、読めないよね……

弱めの多言語対応でBasque, Danish, Dutch, English, Estonian, Finnish, French, German, Irish, Italian, Norwegian Bokmål, Portuguese, Spanish, Swedish等々に必要なダイヤクリティカルマーク付きのアルファベットも最低限だけど用意してある。アルファベットの天地が和文の天地と揃っているため、欧文とカタカナを並べてタイトルを作るときには作りやすくはなっているはずだが、そのため欧文だけを別の欧文のフォントと組み合わせる場合にはベースラインシフトが必要になる。これ、いつも思うのだけれど、和文と欧文を内包する伝統的な日本語フォントでは欧文や数字の天地が和文の天地とズレていて、まぁ本文書体とかであるならばそうなっている方がいいこともあるのはわかるのだが、端から大きくタイトリングする書体に関しては天地のラインがガタガタするのであまり見栄えが宜しくならない。最初からタイトル文字にしか用途がないような太字のフォントはここを揃えて置いた方が良いような気がするのだが、まぁ、いろいろな理由があって殆どの日本語書体ではそういうふうには作られていないというのが難しいところ。で、和文のフォントには和文に合わせる用に全角の欧文フォントが用意されているから……ということもあるにはあるのだが、これも、メインはそういう用途ではないので、そのグリフでラインが揃うかというと、まぁそういう造りになっていなかったりする……まぁ、ここも何でそうなるかというところの理由を説明しだすとキリがないんだけど、タイトル文字のレイアウトでそういう細かいところを調整するのはいまだにクリエイターの一手間が必要にはなるというところだ。勿論気にしない人は気にしないのだけど。ともかく今回に関してはその和文用の全角フォントも、それを用意する意味も無くなったので、余ったその位置に替わりにアルファベットの異体字としてWeeaboo向けの日本人にだけは読めない文字が突っこんである……コレに関しては今度はオレの作業の完成度が低くて駄目なところなんだけど、まぁとにかくそういうなんとも迷惑な仕様になっている。


このフォント極端にあちこちを省略しているので数字だけを並べると何が書いてあるか極度に判別しにくくなることもあって、数字書形を別にもうひとつ用意している。またOpentypeFeatureで数字とスラッシュで分数を作成する方法……というのは、前にも説明したので、詳細は省くけど、その機能を利用して分数の上と下の数字が斜線に自動で食い込む仕様になっている。


日本語はカタカナしか無いけれど、濁点や半濁点が食い込む仕様になっているため、普段はあまり使わないようなゴールデンカムイな日本語表記にも対応出来るようにはなっている。


その他、余計な記号類も中途半端に追加してあるのだが……あ〜〜〜、しまった! 小指を立てておくのを忘れていた!!





というオチで、まぁ、いろいろ言いたいこともあるだろうけど、ご意見、感想、苦情に関してはコメント欄へお気軽に。




いつもの余談

Fit(2017-)極限まで空間を埋め尽くすというたった一つの信念だけを目的にDavid Jonathan Rossによって設計された書体で、そのコンセプトに共感した各国のデザイナーによってヘブライ、アルメニア、タミール、デーヴァナーガリーなど多言語に拡張されている。バリアブルフォントに対応しているため文字の幅に関係なく、文字内と文字間のスペースを常に同じ幅の空間によって切り抜くことが可能で、その名の通りどんな矩形スペースでもこのフォント一つで埋め尽くすことが出来るという究極のディスプレイ書体。


ボルクロイド(2023)直線のみで構成された骨格に限界まで太くしたエレメント……という超極太のマンガチックな日本語ディスプレイ書体。ガタガタいうのもアレなので、詳細に関しては以下参照。


角字(江戸時代)四角のマスをグリッドで分割し、その中をほぼ縦横等幅の水平垂直のラインのみによって分割構成するといったルールにより作成されたキャラクターをグリフとするモノスペースでミニマムなディスプレイ書体。江戸文字の仲間で寄席文字、篭文字、勘亭流などといったコントラストの高さが特徴の当時のレタリングスタイルのうちのひとつ。もっとも他の江戸文字の仲間と違って、これで長文を組むとまったく読めないのでその当時でも印半纏に入れるようなロゴマーク的な扱いなどがされていて文字というよりはアイコンやピクトグラムに近い。吉兆善祥瑞相に有難い印でもある万字紋が頻出するので、御目出度いマークの意味合いでも使われるのだが、文化圏の違う人にはハーケンクロイツにしか見えないので注意は必要だ。ルーツに関しては諸説あるのだが蒙古帝国により滅ぼされた女真完顔金朝由来と考えられる九畳篆字などを基に考案された篆書のバリエーションなどとという説を唱えている人もいる。直接には江戸時代に、おそらく創作時とほぼ時を置かずに角字の筆道指南書までもが出回ってしまったため、誰でもつくれるようになり、あっというまに全国に普及したので、事情のわからない後世の人間にとってはそのルーツを辿ることすら困難となっている。ただし、「罫ヲ縦横二引テ書バ思フ侭二書ル也」と、細かい事を言わなければその基本的な考え方自体は児童にすら理解できるほどには至って単純だ。で、単純なのでアラビア文字を筆頭に世界各国で似たような意匠の文字スタイルはあって、それぞれはそれぞれで実際はおそらくルーツに関してはほとんど無関係なのだとは思う。21世紀でも真四角書体(2017)や東亜重工フォント(2020)などスタイルとアイデアは現代でもリファインされながら継続している。


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