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FontLab 8

つい先日、ここでも使っているフォント制作用フォントエディターのFontLabがバージョンアップして、FontLab 8になりました。かなり大幅なアップデートがされるというようなことを小耳に挟んでいたので、まぁとりあえずで、お試し版をダウンロードしてきたので、忙しくなる前に、そのあたりの話をメモ代わりに。

一番大きな変化で誰が見てもわかるのはMacOSのダークモードに対応したところで、まぁ個人的には以前の中途半端なクリーム色が、レガシーなソフトウエア感が拭えず、どうにも微妙なセンスだったのでこれに関しては気にいっている。まぁ、ここのところは見かけの問題なので気にいらない人も居るだろうけど、下の図の右のようにTypeRigのような外部のプラグインも共通の見た目に近くなるというところもなおGood。前まではX Window感丸出しだったからね。まぁ、実用重視の人にはどうでもいい事かもしれないけど。

ダークモードでTypeRigを開いたところ

で、実用重視の人にとってはようやくPython3に対応したというのが大きい。FontLabはアプリに組み込まれた独自のPythonを使用しているので、ここが2のままだといつまでたっても新しい組み込みモジュールを機能させられなかった。当然今まではfontToolsも古い物を利用していたのだが、今回は内部のfontToolsも4に一新され、Homebrewから最新のPython3.10Xと対応する新しいパッケージを勝手にインストールしてあった場合でも正しく動作させることが可能になる……はず……と、いってもオレみたいにこのあたりの管理が適当でごちゃごちゃにしてしまっている場合はその限りではないようなのだが……Python3からインストールし直さないとダメかも……トホホ。

エディタ部分も見直され、全体的に使い勝手の細かいところはGlyphsに影響されているような雰囲気……かなり大きく変更されているのはドローのツールで、以前は精々ストロークから幅のあるアウトラインを生成させるだけのツールと言っても過言では無かったが、ストロークに沿ってセグメントを並べたり、幅を変化させたりといったイラレのラインツールのような使い方もできるようになった。
特に見た目でストロークの厚みや幅のベクトルを操作することが可能になったのは大きくて、GlyphsでLTTR/INK使ってる人ならわかると思うけど……って、そんな人がどんだけ居るのかわからないので、わからないものを喩えに出すのもなんだけど……まぁ、それと同じように結構細かくストロークの生成する線幅のアウトラインをコントロールできるようになっている。
また、ストロークの骨格に対するアウトラインの幅も、骨格を中心以外に内側、外側、上下左右に振ることができて、下の図のように振り幅も自由にコントロール出来る……と、まぁそんな感じなので、この機能も進化していけば前にもチョロッと話をしたような記憶もあるけど、そのうち現在のアウトラインを描画してそれを塗りつぶして字を作るなんていうロットリングでレタリングするような作業も、いずれそのうち作業の主流はストロークを美しく引くことがメインの作業へと取って変わっていってしまうということになっていっていくのではないだろうか? 字を描くってプリミティブにはそういうモノだと思うのだよね? まぁ、それはともかく。

変体仮名でも、なんかチョロッとな感じで作れそうな気がしてきた……


ほかにも改善された改良点や、新しい新機能などいろいろと多くはあるのでまぁ、また、余裕があればそのうちやろうとは思うのだけれども、個人的にはMatchmaker toolの使い勝手が良くなったところは気にいっている。マッチメーカーツールはバリアブルフォントを作成するための強力なツールなのだが、それでもやはりフルオートで何でも出来るかというと、そういうわけでも無かったので、いろいろな調整は他のウインドウを行ったり来たりする必要もあった。それがなくなったわけでもないが、それでも痒いところに手の届くような今回の改良……って、これは何か図があったほうがいいか……まぁ、下のような感じ。

こんな感じでデザインもポイントの数も違う左右の画像でもマッチメーカーツールを使えば結構強引にカップリングを成立させはするのだが
それでも開始点の位置やマスターの順序によっては何回合コンしてもうまくいかない場合もあるので、編集ツールに持ち替えて、スタートポイントを修正し、その都度戻ってやり直す……という必要があった……まぁ、結局見た目を替える方が簡単だったりするので、そのあたり本末転倒になるのだが……え? もちろんデザインの話ですよ。お見合いじゃ無くて……
丸数字が開始点、Shiftクリックで鶯色の開始点を水色の開始点の位置に移動したら合コンボタンをポチってするだけ、鶯色のラインに足らないポイントが追加されStatusがグリーンになったらカップリング成立。整形なしでも下の図のようなバリアブルフォントのためのグリフが一発で完成


というわけになるので、まぁ適当に何か作ってみるというコーナー。

今回のお題は欧文置換型異世界文字風架空文字風味……まぁ、何のことを言ってるのかわからないという人は前の前の「この素晴らしい世界に祝福を」ことこのすば文字の回のところ参照。

さて、まぁデザイン的な言い訳をいましても仕方が無いので、そのあたりはお察しと言うことで、実作業は次のような工程。

ラピットツールでペチペチして、適当なデザインのアルファベットを作成。下のような感じになる。細かい事は何も考えていない上、直線だけで構成されていて、アルファベットとしても読める程度には加減しているので、かなり手は抜いているから小一時間もあればナンチャッテ・ルーン文字が完成。余裕で出来上がり。楽勝。簡単だね。

作成したフォントのレイヤーをコピーしたら、Actionでエフェクト。何でもいいけど、ここではblurなフィルター一発で終了。

こんな感じでもナンチャッテ・ルーン文字が、そこそこ異世界っぽい雰囲気に……アルファベットとしても読めなくは……ないよね? さて、もとのレイヤーとアクションしたレイヤーの2つのレイヤーを先程説明したような感じでバリアブルに接続すると、あら不思議。カクカクした字形から、角が取れてボケッとした印象のスタイルへグラデーションしていくというバリアブルフォントがあっという間に完成。なんと、ここまでで半日もかからない……ん〜、Variable Fontの生産性が以前にも増して高くなってきたぞ……まぁ、生産性が上がってもデザインがどうにかなるものではないのだけれど、でも、まぁ、思いつきとは言っても何かそこそこ形になっているような気もしてきたのはどうなんだろう……う〜ん。つまるところ、こういうふうに簡単にプロダクトに出来てしまうと言うのは結構恐い……そこそこ説得力を持ってしまうので、気をつけないと……ただ面白くなりそうな気もしてきたので何かつくってはみるという気にはなるけど……まぁ、そういうことで、なんでもいいけどスタイルの違うフォントが2つあれば中間形でいくらでもフォントが生成出来てしまうというそういうお話。

Illustratorでも使用可能なバリアブルフォントが完成

と、まぁ、こんな感じなのだけれど、オレの環境が悪いのか、頭の悪いフォントを作りすぎた所為なのか、業界では定番のエディタを拡張するScriptを纏めたツールのTypeRigも、.vfpyのインストーラースクリプトが上手く働かなかったりしたので結局手作業でFontLabのPythonとScriptのフォルダに突っこんだりとか、初期設定ををいろいろ弄り倒したりと……まぁそんなことをしているせいもあるかもだけど、モニターのスリープごときで……いや、まぁ、それはいいとしても、それよりなにより個人的には、円高の所為もあるけど、ヴァージョンアップ料の149ドルが……今は結構痛いんだよねぇ……いや、投げ銭要求しているわけではないよ……





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