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Uncial Script

今回はスクリプト体をつくります。が、その前にエヴァンゲリオンとかスーパーヒーロー大戦的な話です。

まだ、預言者ムハンマドの生まれるはるか以前。パルティアの混乱を征したアルダシールは諸王の王となり帝国を築く、帝国はヘレニズム文化の影響を色濃く残した自由と活気に満ち溢れた時代風景のなかにあって、代を経るに従い、この世の至上の君主の下に世界中の知識を集積せし、などという野望まで抱くまでになるのだ。帝国萬歳。そんなアカデミックな空気の中、一人の男もまた碌でもない野望を抱いていた。そしてその男の生んだ妄想が、やがて西はアフリカやイベリア半島から東は東シナ海沿岸から極東の島国まで広くユーラシア大陸を席巻し、世界中にDTな呪いをぶちまけることになる。

その男の名はマーニー。マーニーは、ゾロアスター教をベースに、グノーシスだのネオプラトニズムだの神秘主義哲学を折衷し、太陽崇拝に、ユダヤ神話、エジプト神話をごちゃまぜにして、さらには土着の神話体系やら中国やインドの宗教、さらにはアニメじゃないほうのエヴァンゲリオンとか、通常の三倍のシャ…じゃなくて、三倍のヘルメスとか、釈迦だのキリストだののスーパーヒーローを配役し、自分で地図や、詳細な設定資料集を作り上げ……僕の考えた最強の……って書くと相当に痛い人のことを語っているような感じに聞こえるかも知れませんが、すべて事実です。今回はこれでもぜんぜん控えめなぐらい。まったく盛っていないのに相当に痛い。いや、宗教なんて多かれ少なかれそんな感じかもしれないけど、こいつはとびきりにヤバいヤツだってわかる。

しかも、このヒト、自分が考えた話を語りたくてしょうがないから、自分で自分の経典書くという世界初の人に。それもなるべくベストセラー狙いでラノベもかくやの分かりやすさ、まず中東標準世界言語であったアラム語版を出し、さらには各国語版までも一挙にドカン。その際、大体あってりゃOK!の精神で教義の厳密性よりは速度と分かりやすさと面白さを重視したもんだから、本篇ですらそうなのに、各国語ではそれに輪を掛けわけのわからないことに、もう2次創作並みっていえば良いのか、ナンだったらマーニー女体化編まであるのだよこれが、ええ、信じられないかもしれませんが本当です。たぶんありとあらゆる気の狂った設定資料集の元祖といっても過言ないですから。

そんなかんじでマーニー自身も面白そうなら躊躇せずに本編に拾ってくるまでするので、またまた正篇がなんだかスゴいことに。まぁそれでも、とにかくストーリーが秀逸なうえに、面白い。ってんでいまやユーラシアの東西で大流行。
さぁ汚れた地上の肉体を脱ぎ捨て、君も光の戦士になって悪と戦うのだ……って……どんな幻魔大戦? いや、ほんとそんな感じなんですって。

まぁ、そんななので、帝国は言うに及ばず、世界中で厨二病患者が次次と、もうほんとに色々とローマ帝国のセレブたちも嵌まる嵌まる。なかでもその後に古代思想の巨人とまで呼ばれるようになるアウグスティヌスはもう本当に何年もどっぷり嵌まり込み……って、いやこの人の話も本当、面白いんだけど……それはともかく、で、まぁそれほど大流行したにもかかわらず、今では信者を探し出すことさえ難しいほど衰退してしまったわけです。

いろいろと偉い先生はいいますが、個人的に言わせて貰えば、まぁご想像どおりの、そんな感じ……ええ、多分、痛かったから……っていうのが正解な気がします。
アウグスティヌス曰く「マニ教とか占星術とかあんなもんやるやつはダメなだけでなく有害だ」って。ド嵌まりしたやつが痛さに七転八倒したあげく自己批判で自伝書いちゃうってんですから……ねぇ。

まぁ、とはいってもマーニーの、僕の考えた最強の……的な発想は手を替え形を変えてあなたの回りにも忍び寄ってきていますよ……ええ、本当に。


さて、アウレリウス・アウグスティヌスの時代。このころになってくると文書の記録は粘土板から羊皮紙など、つまり板から紙へ変わっていくのです。マーニーも当然このビッグウエイブにノリにいってるハズ、そのせいで粘土板よりも残りにくくなったんでは? と思うのだけどね。本当に資料少ないらしいですマニ教。それはともかく。そんなこんなで中央アジアでも古代ペルシャ文字や古いヘブル字形からアラム語とかの筆記体風の書形に……つまり紙に書きやすいようにって文字が変化していくのだけれど、ヨーロッパというか当時はローマ帝国だけど、ローマ帝国内でも、そのビッグウエイブはやって来ている。そしてその過程で生まれた筆記体がアンシャル体。いやぁ〜今回は長かったけどやっと繋がった。え〜っとナンだっけ、あ、そうアンシャル体。まだ大文字だけで、やがてこの書体が崩れていく過程で大文字と小文字が別々になっていくんだけど、そこから大文字小文字の使い分けルールができるまでもややこしいって……ここを始めるとまた延々終わらないのでとりあえず、そういう名前の書体がありました……ということです。なんか、ここまでで力尽きそうだ。

今回はこれ。とは言ってもいつものようにチャチャっと適当に作る感じで。
まず、Illustratorで適当に。この辺りの設定を緩めておくとラク。


ん〜、しかし筆記はもっとちゃんとやっととけば良かったかな、けっこうというかホントに適当なかんじだけど……ここは勢いで一気に書いていく、こんな感じ。まぁいいか…


で、これをGlyphsしておしまい。でもいいんだけど、まぁどうせならコンポーネント化したり、曲がっているところを真っ直ぐにしたりとかして、少し整理しておく。あとで、まとめてweightとかいじれるようにしておけばvariable化したりしやすいし、で、こんな感じ。


さて、アンシャル体と一口に言っても2世紀のローマ帝国、初期のキリスト教関連の文書から、ゴート語のコデックス、10世紀のカロリング朝の写本やら復古主義者のクソナショナリストまで、それぞれの年代、地域、それに言わずもがなだが、書き手によってもずいぶんな違いがある。手本にする写本をどれにするかとか、そういうのをちゃんとしないと書体スタイルがデタラメなことに。
同じフォントなのにAのグリフはモダンアンシャル、Bはアーティフィシャル、Cはラテン、Dがギリシャスタイル、Fは書き終わりが下がりすぎてハーフアンシャルにみえるし、Gは中世ですらないうえにKに至ってはインシュラーアンシャル……とかもう何を言ってるんだかわかんないかも知れないけど、大丈夫。本人すらわかってませんから、ホントにいろいろおかしなことになってるっていうか。なります……。

まぁ、それはそうなんだけど、欧州人と違ってこういうスタイル感覚は自然には身に付いていないので、どうやっても無理はある。まぁ適当。なんちゃってアンシャル体。いやいや、開き直っているわけではないです…多分……。


しかし、並べてみるとまぁ最初に一気に書いたモノの方が勢いがあって良い感じ。整理したっていっても、時間掛けずに結構適当にしてるからそういうのは直ぐ出る。いろいろちゃんとしないといけないところが多すぎる。まぁなんだかよくわからない程度に雰囲気で使えそうならこれはこれでいいか……。あと、書体のスタイル統一とか書き順とかがちゃんとできてないところはホントダメ、なんではあるんだけど、まぁこのアタリはもうどうしようもないな……見た目優先ってことで、いやホント、マーニーよろしく、大体あってりゃOK……。って感じなんです。まぁ、いいよね?



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