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Bodoni Plakatstil & Fontself Maker

一昔前と違って最近はフォントの制作環境もいろいろと整ってきていて、ある意味選り取り見取りな状況になってきている。iPadやブラウザベースでもお手軽に作れたり、フリーのソフトにしても、あ〜、これ10年前にあったらなぁという感じのものまでいろいろとあって……というわけで、今回はそのフォント制作ソフトの話。そういえば、そろそろGlyphsも3にバージョンアップするかも知れないとかなんとか……どうなんだろう?

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さて、まぁ、ソレはともかく、バージョンアップといえば去年の終わり頃にFontLabもメジャーバージョンアップして「FontLab 7」になりました。といっても、今回はその話ではない。FontLabについてもいろいろまとめておこうと思っていたりしている……のだが、どうも毎年の事になっているようだけど今年も年末年始に年度末と、いろいろバタバタして、大物にはまったく手が付けられない……いや、変な流行り病のせいじゃないよ……トホホ。それで今回のバージョンアップでも、また新機能が追加されて、たとえば上の図のようにマウスを近づけるとその位置に吹き出しで機能の解説がでるというようなQuick Helpが整備されたり……あぁ〜、まてよ、このスクリーンショットは少し不味かったんだけど……まぁいいか。

ちなみに、勘違いする人もいないだろうけど、念のため。FontLabは日本語には対応していない。プログラムを覗いたらQuick Help用のリソースはどうもJavaScript Object Notationで記述されているように見えたので、じゃあ……って感じで試しに該当のJSONファイルのテキスト部分を取り出して自動翻訳通してから差し替えて保存し直したら普通に動いちゃったので、俺の環境ではそのままにしているだけだからね……良い子は真似しちゃダメ……だと思うよ……多分……まぁ、それもともかく、FontLabは他にもFontAuditがちょっと賢くなったり、描画ツールが一部改善されたり、Glyphs並みに自動でOpenTypeのコードを書いてくれる機能が整備されたりと……そういった生産性を高める感じの機能強化に加え、Variable Fontの完全サポートも謳っているので、前にプログラムを手書きしてあーでもない、こーでもないとグダグダとやって、最終的にTableグチャグチャにして収拾に困ったことになった件のブランケットトリックをWhat You See Is What You Getに、いとも簡単に作業できるようになっているところも素晴らしい……ちなみに、あとからわかったことなんだけど、FeatureVariations tableを弄る方向でのブランケットトリックはバリアブルフォントを多軸化すると問題がある……というか、あの方法では軸が1つの場合でしかうまく機能しないということが発覚した……いや、もっと早く知りたかったよそれ……まぁそんなことはどうでもいいとして、また、いままでTrueTypeベースでしかエクスポートできなかったバリアブルフォントもCFF2のVariable PSの書き出しに対応して……う〜ん。まぁ、このあたりの話も、もうちょっとわかりやすく、ちゃんとしようとは思っているんだけど、結構誰にでもわかるように書くって難しいんだよね……まぁ、こんないい加減な語り口で、ドメスティックにマイナーすぎるソフトの話を延々とされても、わけがわからなすぎる? というところでもあるかもしれないんだけど……そういうことなので、もうちょっと落ち着いたら後でちゃんとやろうとは思っている……というわけで、今回は、我国ではFontLabと同等ぐらいにはドマイナーなフォント制作ソフトの話をしようというわけ……って、え? どういうわけ? どうなったらそういう話になるんだよって……酷いな俺。



それで、タイトルになっている画像の書体は、そのドマイナーなソフトウエアで制作した超適当なプラカットシュテイル風味のフォントだ。もっとも今ググったら日本語でプラカットシュテイルではほとんどヒットが出ない。スイス式にザッハプラカットでひいたほうが……たいして変わらない?……こうしてみるとデザインってジャンルは日本ではなかなかに底の浅いマイナーな趣味なのかも……いや、まぁ、ただの感想。いい意味とか悪い意味とかないからねって……そのことはいいか。それで、このドイツ語をそのまま英語にすればプラカードスタイルということになるので、日本語では「ポスター様式」となる。ここでいうプラカードは掲示物の意味で板切れに棒が飛び出してるものをそう呼ぶのは和製英語だということは知っているよね? もっとも、プラカードでプラスチックのカードを連想してしまうとますますわけがわからなくなりそうだが、それはともかく、それで、プラカットシュテイルの起源は、1890年代にイギリスのベガースタッフブラザーズことウイリアム・ニコルソンとジェイムス・プライドに溯るともいわれるのだが、一般的にはプラカットシュテイルの発祥といえばルシアン・ベルンハルトによる1900年代のプリースターのマッチ広告で有名だ。まぁ、ストーリー的にもこっちのほうがドラマチックだからね。というわけで、どういうはなしかというと、いつもの如く講談調。フィクション込みでこのあたりは以下のようなお話。


シュトゥットガルトに生まれたエミール・カーンは才能には恵まれていたのだが家族は彼の芸術家志望をこころよくは思っていなかったので、まぁなんというか、学ぶ機会に恵まれることがなかった……それでも彼の芸術指向は潰えることが無く……と、まぁ、なんかいろいろあったあげくに、最終的には自分の本名のエミールもカーンも捨ててベルリンでルシアン・ベルンハルトという名前で働き始めることとなる。
しかし彼は正規に学を積んでいなかったということもあり、始めの2年目までは、本当に鳴かず飛ばずといったところだった。そのベルンハルトに最初の転機がおとずれたのが世紀も改まって4年を過ぎた1905年のある日、プリースターのマッチ広告のコンペに出会ったところから始まるのだった。
このときベルンハルトがまず最初に描いた絵柄はテーブルのうえに灰皿と葉巻、背景に女性をあしらった……まぁいっちゃ何だが当時流行のアールヌーボにありがちなポスターといったところであった。というわけで眺めているうちに本人も、本当になんだかありきたりで気に入らない……とさえ思えてきた。それで、いろいろと考えたあげく、そうか! なんか背景のねーちゃんが余計だったのか! というところにまでには思い至り、試しにそこを黒く塗りつぶしてみた……のだが、そうすると、今度は逆に残った葉巻が目立って仕方が無い。マッチ広告のコンペだよ。葉巻の広告じゃ無いからね。というわけで、ついでだからと、もうコレも墨で塗りつぶす。このあたりで、そろそろおかしなことになりかけていることに薄々気が付いたと思うけど、そう、お察しの通りで、今度は残った灰皿が気になってきた。勢いで塗りつぶしてはみたもののUndoもdropboxもないこの時代では、元に戻すにもそれ相当に手間がかかる。やっちまったなぁオイ……などと後悔してはみたものの、そうしているうちにも、刻々とコンペの締切は迫ってくる。
さあ、さあ、迫る刻限に焦るベルンハルトは、何を思ったか、どうせだからと、もう灰皿だろうがテーブルだろうが赤い扉だろうがお構いなく、一切合切を全部をPaint It, Blackしていくという前後の見境もない行動に及ぶ。……こうなったらもう、やけだぞ畜生、やけのやんぱち日焼けのなすび、色が黒くて……持ってけドロボウ! ってなモンで、それで、もう最終的にはポスターにはこれ以上塗りつぶせないモノだけが残った。黒い背景に2本のマッチと商品名のPriesterの文字……と、いうわけで、こうして、なんとか締切に間に合わせることだけは出来るにはできたのだが……行き当たりばったりのやっつけ仕事。昼夜問わず……かどうかはともかく、突貫作業で仕上げたこのポスターは、当時の常識としてはあまりにもパンク。こんなものを持ってこられても審査の土俵に乗せる乗せない以前に、ゴミ箱行きだ! と、まぁ、そういうことになる……はずだった……のだが、しかし、なんということでしょう! ちょうどそのときの審査員のひとりで、印刷会社の偉い人が偶然それを拾い上げたところからベルンハルトの運命が一変する。
ドイツの蔦屋重三郎ことホラーバウム&シュミットのエルンスト・グロヴァルトはゴミ箱に打ち捨てられたそのポスターを一目見たところで天啓に打たれ「キタ━(・∀・)━!!!!」とばかりに宣言する「天才現れたり! 私の一等賞はこれだ!」それこそが、それまでのデザインの伝統的な手仕事大好き人間ウィリアム・モリスのビクトリアンなアーツアンドクラフト運動に由来する「諸芸術の統合としての様式」であるところの、いったらまるで萌え絵のような、曲線と、おねーちゃんと、ジャポニズムと、有機的モチーフがごった煮になっていたアールヌーボ様式という出鱈目なスタイルに引導を渡し、後の世を大きく変えることになる近代的なデザインの誕生の瞬間となったのであった! さぁ、さぁ、ベルンハルトの運命やいかに……というデザイン太閤記の一幕は本日はコレにて……という話なんだけど。

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……さて、ところでこの話どこまで真に受けたらいいと思う? しかし、まぁ、でも、なんというか、こういう感じなので、この物語は「無駄をそぎ落とし商品の画像と名前を前面に押し出す」という広告表現の基本を説明するに当たっては実にいい寓話にもなっているよね。マクドナルドの広告とかそんなの好きそう……もっともアレはもはや商品名すら無いけどね。でも、まぁ、そんな感じ。それで、いろいろ話に尾鰭がついたりすることになったりもするのだけど……え? 俺の知ってる話と違う? まぁ、そのあたりもご愛敬だ。個人的には広告デザインの始まりが偶然と締切間際のやっつけ仕事に由来するというはなしのところは実に気にいっている……つまり、まぁ、広告代理店の人間がみんないい加減にみえるのもそれなりに歴史と伝統があってのことなのだ……って、そんなわけあるかい! まぁ、おはなしからどんな教訓を得ることができるかということは、それを受け取る人次第でもあるのだけれども。え? どんな教訓かって? それは約束した締切はちゃんと守ろうねってことですよね。いや、ホント……。

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プラカットシュテイルのフォントはベルンハルトのマッチのポスターの書き文字のような独特の手書き感のあるレタリングスタイルに特徴がある。スタイルを代表するフォントの1つはベルンハルトアンティークだ。Bernhard antiqueはベルンハルトのレタリングをもとに、フーツラなどで有名なバウアータイプ鋳造所から最初はシュマルフェットシュテイル……英語でいうところのボールドコンデンスだね。そのスタイルからリリースがはじめられ……といわれているのだが、ここのファウンダリーは経営状態がアレで、19世紀の終わりごろから、もう、たえず倒産しかかったり、所有者が変わったり、買収されたり……最後は子会社に権利譲渡して営業停止……と、まぁ、なかなかに浮き沈みが激しい。いや、いまの話だと沈みっぱなしだよって……まぁ、そんな感じなので、ものの本によってはBernhard antiqueは1912年にフランクフルトのフィリッシュ鋳造所により活字化されたことになっている。買収時期と微妙に合わない気がするんだけど、まぁ研究者じゃ無いし、鋳造所の歴史で、学位をとりたいわけでもないので……そのあたりはどうでもいいんだけど……それでベルンハルトは他にも、バウアータイプと組んで自分の名前の付くScript、Kursiv、Fraktur、Handschrift、Romanと色々な書体を制作しているけど、どれもそれなりにくせがあって好みは分かれる。個人的には好きだったんで、今でも段ボールひっくり返せば、どっかにレトラセットの1枚や2枚……って話はプラカットシュテイルとは全然関係なさそうな方向にすっ飛んでいきそうなので、ここから先はいいか。

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それから、同時期では、アールヌーボスタイルの書体を多く手がけた書体デザイナーのヘルマン・ホフマンのゴシック体、Berthold Blockなんかもぶっといストロークの手書き感が良い感じにマッチしていて、プラカットシュテイルっていっていいよね? まぁ大雑把な解釈ではポスターに使えそうなガツンとボールドな手書きした文字のふらつきや揺らぎを伴うレタリング感のある書体……っていうぐらいの緩いイメージ。ベルンハルトやハンス・ルディ・エルトのポスターで使われている文字のようなあんな感じ……といわれても何を言ってんだコイツみたいな感じになるかもしれないけど、わからなければLucian BernhardとかHans Rudi Erdtで画像検索すればいろいろ出てくる。見れば、直ぐに、あ〜、このリトグラフのポスター……お洒落なカフェで見たことある……と気づく人もいると思う。その昔、この手のモノは代官山にあったアールデコ暴ったくりギャラリーで……イヤ、失礼。そんなわけないですよね? まぁ、何でもないです……。

だから、このスタイルの文字は全てが活字化されて名前がついているわけでもないってことはわかるよね? 似たようなモノはあるかもしれないけど……で、本当はもうちょっと、ちゃんと定義したほうがいいんだけど、小分類のサブジャンルみたいな話をしているので、あまりギチギチに定義すると粗が出る。じゃあ、たとえば、アールデコだのモダニズムだのスタイルのムーブメントで分類して制作年代でキチンとわければ良いじゃんって……話も……わからなくもないんだけど、かのがっつりモダンなネオグロテスクフェイスのサンセリフ。Helveticaのご先祖様ともいわれるベルトールド鋳造所を代表するAkzidenz-Groteskはムーブメントをすっ飛ばして19世紀末……アールヌーボーの時代、国際タイポグラフィの影も形もなかった頃。Helveticaの誕生より50年以上も前に作られたといわれているんだよね。Akzidenz-Groteskに関して言えば、それより後に制作されたサンセリフ書体のいかにもアメリカ〜なFranklin Gothicやロンドン地下鉄ゴシックことJohnstonなどと比較しても余りにも垢抜けていてストラディヴァリウス並みにオーパーツ過ぎるので全然比較にならないかもしれないんだけど、そんなようなこともあって、いろいろと難しいのですよコレが。ましてや、ポストモダン以降はフォントのスタイルを時代と関連付けるなんてことがそもそもナンセンスだしね。まぁ、「書体の分類に普遍的なモノなどなにもない」とスティーブン・コールズもおっしゃっているので、それにならって適当に……ようは言い張ってしまえば何でもありだ。


というわけで、ここまでが前置き。あいかわらず長げ〜な、オイ。話してるうちに何しようとしていたか忘れちまうじゃねえか。さて、ここからが本題となります。

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それで、今回ご紹介するのはこのソフトFontself Makerというわけです。

Fontself Makerは、PhotoshopやIllustratorのplug-inとして動作するタイプのOpentypeフォント作成ソフトだ。単体では動作しないので、アドビのソフトを所有していることが大前提だがそれさえあればPhotoshopとIllustratorのバンドル版で79ドル、Illustratorだけでいいなら49ドル、学割もあるので学生ならその半分で手に入る。呑みに行くのを我慢すれば良い程度の金額なのでIllustratorがあるなら買っておいてもいい。最近流行のカラーフォントも作れるという優れものだ。初期のバージョンはオモチャみたいな感じだったが、バージョンが上がって結構使い勝手もよくなってきているので、アドビのソフトがある程度使えていて、自家製フォントも作ってみたいけど、なんだか敷居が高そうなんだよなぁ〜と思っている人にはお勧め。ただし、日本語のメニューはないんだけど。まぁ、何だ、日本でインストールする人が増えて、ガンガン要望とかが出せるようになればある程度改善されるかも知れない……という期待も込めて紹介しておこうという思惑もあったり、なかったりする……と、それはそれとして、今回はそれのIllustrator用のモノについて解説しよう……と、いってもPhotoshop版も実を言うと、たいした違いは無い。いや、あるにはあるけど、まぁそのあたりはいいよね。

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それで、これ、plug-inなので、ソフトをインストールするとウィンドウメニューのエクステンションのサブメニューに登録される。なので、ソフトをインストールするときにIllustratorが開きっぱなしになっていたら、イラレの再起動が必要になる。まぁ当然だよね。あとは、illustratorで適当に作った画像をこのソフトのウインドウにドラッグ&ドロップすればできあがりという、実にイージーな感じだ。どう、一気にハードルが下がった気がしない? いや、端折りすぎだって? まぁ、慌てない。そのあたりもキチンと解説をしよう。

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アドビのソフトの使い方から始めると長くなるので、あるていどIllustratorは使えている「俺は絵面だけなら完璧に用意できるぜ」という人向け、というか、そういう前提からはいるけど、そのあたりはいいよね? まぁ、それで上の画像はそういうことで、何も無いと説明に困るので、ペンタブで一気に書き上げた英数字。これだけあれば最低限の実用に耐えるというギリギリの文字……あれ? なんか足らない気がするけど……まぁいいか。制作時間1分ででっち上げた代物なのでね、良い子は真似しちゃダメだぞ。

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サイズも適当だしアウトライン表示するとただの線なので……酷いねまったく。さて、この作ったフォントを一列にならべて、まとめてドロップすると一気にフォントを作成することができるのだが、それでオシマイだと本当に説明にならない……細かいところがいろいろと心配になるよね。まぁFontselfではそれでも、ドキュメントのオブジェクトのサイズだけはほとんど問題にならない。作った文字のサイズをイラレ内部の数値で1000UPMと合致していないといけないとか、その手の問題はまったくなくて、文字の形状を認識して最初に作成する文字が小文字ならフォントサイズ1000UPM中の高さを480に、大文字なら700に自動的にサイズを決定するように出来ている。さらに、この部分も最新のバージョンなら後でいくらでも調整が利くようになったので問題はない。それより大事なのは、フォント全てのオブジェクトのサイズが一貫しているかどうかなので、ドキュメント上で見た目がちゃんと揃っているのか……つまりイラレの作業のほうをそれなりに気を使っておく必要がある。

というわけでドラッグ&ドロップする場合、自動的にサイズを決定するということもあって大文字、小文字、数字とそれ以外はドロップする場所が異なっている。そのあたりはソフトウエアの挙動に注意していれば誰でも気が付くところなんだろうけど……さて、それでもグリフのベースラインやアセンダーが正確に定義されていないと気持ちが悪いというむきもわからなくはないのだけれど、そのあたりもちゃんとできるようになっている。

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こんな感じで、作ったフォントのところに1本もしくは3本のガイドを引いてガイドごとドロップしてしまうという方法だ。Fontselfは引いたガイドがなにをしようとしているのかを自動的に予測しようとする。この場合3本引かれているのでFontselfは上からアセンダー、ベースライン、ディセンダーだろうと予測する……という感じになる。1本だと、ベースライン、2本もしくは3本以上ひかれている場合は残念ながらFontselfには理解不能になるので、何も引かずにドロップした場合と同じ挙動になる。ところが、まぁ、実は他にもFontselfに、ガイドの意味を正確に伝える方法もあるのだが……

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プルダウンメニューからFont Templateを選ぶと、テンプレートファイルが開くのでそれに付いてくるガイドを利用するのが一番手っ取り早い。

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このファイルのレイヤーを開くと、レイヤーにそれぞれ名前が付けてあることがわかるでしょ? ということで、まぁなんとなく察しはつくよね? テンプレートの下にいろいろごちゃごちゃ書いてあるけど、そんな感じ。ちなみに、このテンプレートをAdvanced character setまでちゃんと埋めれば、まともなフォントセットの出来上がりということになるんだけど、まぁそれはともかく、こういうようにデータの意味をFontselfに渡せるようになっているのは実は他にも利点があるからなんだよね。

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この辺りの一連の記号。字が汚くて読めない。どこへ振り分ければいいかわからない……レイヤーを展開するとパスパスパスのオンパレード。バスケじゃねえよ! という感じになるんだけど、このレイヤーのメニューで、パスだのグループだのってなっているサブレイヤーの名前を次のように変えておくと……

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あら、不思議。Fontselfがちゃんと、付けた名前で認識してくれようになります。ということなので、あとから文字コードを振り直さなくてすむ……そういうこともできるようになっているんだよね。便利。というわけで、反対にグリフは必ずグリフひとつづつをグループ化しておかないと面倒なことになりそうなことは予測がつくよね? ほんと、大事なこと先に言うの忘れてた。グリフごとにグループにしておかないといけないんだよ。ここ、一番大事。まぁ、ともかく、そんなかんじで、こういうのも細かいところも先にやっておけば後の管理は簡単。トラブルを事前に回避できるというわけ。まぁ、名前を付け間違うとかえって酷いことになるけど。

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これで、右上のFont Infoを開いて、フォントの名前とか、コピーライトとかそういう諸々を決めてしまえば、一応フォント自体は完成だ。ただ、まあ、この時点ではスペーシングやカーニングがぜんぜん出来ていないので、そのあたりを調整する必要があるんだけど。それ以前に文字の形状にもいろいろ問題があるので、本当はそこから手を付けないといけない……が、まぁ、そのあたりをいじり出すと全然終わりが見えなくなるのでとりあえず目を瞑るとして、一応ファイルを書き出してみよう。と、いっても、βどころかα版にすらなっていないんだけど、まぁいいや、話が進まないからね。

それで、とりあえず上の左下にあるInstallボタンをポチってすると、AdobeのFontフォルダにOpentypeフォントを作成する。システムが管理するフォントフォルダではないので、キャッシュが生成されないから更新するたびごとに変更が素早く反映する。ちなみにTipsではあるけど、Fontselfに限らず他のソフトで普通にフォントつくって試し打ちをしたりとかを繰り返す場合も、ここへファイルを展開するように設定しておけば、フォントキャッシュ絡みの事故を抑制できる。まぁ、それはともかく、そういうことなので、従って、分刻みで上書きを繰り返したりしても、フォントが原因でOSが逝かれるという心配をせずに作業が可能だ。まぁ、ともかく一応これはこれで普通のフォントのようにillustratorでもInDesignでも今作ったフォントで自由に文字が打ち込めるようになるというわけ。簡単でしょ。もちろんUnicodeにも対応しているので、さっきの話みたいにグループ化してレイヤーにお名前をちゃんと付けておけば平仮名だろうが漢字だろうがイージーに作成できる。

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下のようにアウトラインを取ったり色を付けたりも、見かけ上は普通のフォントと変わりない。まぁ、機能だけ見れば。というわけで、あっという間すぎて拍子抜けするでしょ? Illustratorのブラシで書いただけのデータが、ちゃんと整理されたアウトラインになっているところもグッジョブ! 線や塗りや複数のアピアランスが混在していていたり、まぁ、思い切りillustratorの機能をゴリゴリ使ってなにか作っていたとしてもいったんレガシーなファイルに保存し直したり、最後にオブジェクトの分割や結合を試しておくといった工夫次第で最終的にはなんとかなる。単純な等幅フォントを作るだけならカーニングを気にする必要はないので、ここまでで出来ればもう充分。ネタとアイデアさえあればフォントの大量生産も夢ではないよ……とか言ってると、どっかから怒られそうだからこのくらいにしておくけど。

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さて、ところで、この時点に及んでもまだ何もSaveしていないように見えるのを訝しく思うかも知れないけど、Saveといっても実はFontselfは独自ファイルをつくるわけではないのでSaveもInstallもやっていることはさほど変わらない。Saveを選ぶとフォントを保存するフォルダにAdobeのFontフォルダ以外のところを選べるようになるというだけなので、むしろ、きちんと管理しておかなければいけないのは本当はIllustratorのファイルのほうなんだけど……っていう理屈はわかるよね? 同様にOpenってあるけど、そういう理屈なので、一応Opentypeファイルであれば、Fontselfで作ったフォントだけではなく、どんなフォントも開いて編集することができる。

それでは、その編集機能を見てみよう。

編集と言っても文字の形を変えたり、とかそういうことは出来ないので、それをしたい場合はオリジナルのイラレのファイルを修正してドロップしなおさないといけない。そのままドロップすると、同じ名前のグリフがもうあるよっていってくるので、上書きするか、まず先に間違ったグリフをゴミ箱に捨てておく。アセンダーとディセンダーの高さ、文字のサイズ変更は全部にかかるのでこの文字だけを小さくしたいとかもナシだ。1文字、1文字にたいしては上下のズレを修正するとか、左右の空きを調整するということは可能だ。最初にも言ったけどオブジェクトの一貫性は先にillustratorの中で完成させておくことが大事。じゃあ、Fontselfで何を編集するのかというと、実はここで、良いニュースと悪いニュースがある……では悪い方から聞こうか。

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アルファベットに限らず多かれ少なかれフォントには、スペーシングやカーニングを適度に調整する必要があり、Opentypeフォントにはそれを調整するための仕組みが備わっている。このあたりの詳しいはなしはまたそのうち、機会があればやるつもりだけど、簡単にいうとフルセットのフォントを制作する場合、カーニングの修正が必要な全ての組み合わせを数えると実に数千という組み合わせのパターンを調整する必要がある。この作業はプロでも、最低数時間……ときには何日、何週間といった間、あーだ、こーだを繰り返さないといけないほどの作業になるので、このあたりが普通の人がフォントの制作に手を出そうとするときにものすごくハードルが高くなる理由でもあるんだけど、実際の話はここを、ちゃんとしないとまともな売り物にはならない。まぁ、まともなことを気にしなければ、それはそれでアレなんだけど実際問題、上のOneMinuteで出力したフォントの……グリフがだらしないのはまぁあ、もう、言ってもしょうがないのでそのことはおいておいたとしても、文字の並び方のだらしなさが、さらにそれに輪をかけてぐいぐいと引っぱっている。これをまともに並べるのを考えると、ホント考えただけでクラクラします……当然のことながら、これの編集にはさらににものすごく時間がかかることは普通に予測がつく……「博士は留守だ」と言えれば問題は即座に……いや、なんでもないです。それでも、まぁ、Fontselfなら、この作業も、詳しくは解説しないけど、マウスひとつで直感的に出来るようになってはいるので、大昔のソフトに比べれば大分楽……って、それが、良いニュース? いやいや、実はパンパカパーン! つい数日前に飛び込んできた話なんだけど、ここでの良いニュースは、v3.5……つまり、次期バージョンってことになると思うけど、その次期バージョンのFontself Makerを使用すると、ワンクリックでフォントのスペーシング/カーニングができるようになる……らしいです。実はこの話があったので、こんな話をしようかと思いついたというぐらい……出来たら、こんな駄文を書いているうちに、おニューのバージョンがやって来ないかなぁぐらいに思ってたんだけど……まぁ、まだ実物が手元にないのでどのぐらいまで楽できるかは実際よくわからないんだけど、そういうことなので、お楽しみに。

という感じ、さて、ここまでくると、お〜、なんか思っていたより簡単そうだから手を出してみてもいいかなぐらいに思ってきたんじゃない? フォント検定だの絶対フォント感だのアホな修業に身をやつすぐらいなら下手でも自分で演奏できたほうがイイと思うんだよ、おいちゃんは。個人的に言えばリスナーになるなプレイヤーであれというのは信条なんだが。もっとも聴いてくれるリスナーいないとプレイヤーしんどくない? というのも一面の真実……アレ? ホント、何が言いたかったんだかよくわからなくなってきたぞ、まぁ、このあたりは哲学のちがいでもあるかもしれないのでどうでもいいのかもしれないのかもしれないと、もはやソフィストも斯くやの言い草だよ、ホント酷い。さて、まぁ、それはともかく。ここまでの内容を踏まえたうえで話はやっと前置きに戻る。相変わらず話が長くて、まわりくどい……まぁ、なんでこういうことになるかというと説明入れないとただの「聴いたことのない音楽を見たことのない楽器をつかって演奏」してる人になってしまうのでって……まぁ、それでもいいのかもしれないけど……というわけなので上の話はだいたい把握しているよ、という人は、実はここまでは読む必要がまったくない文章……って本当に酷いなオイ! ってそうかも知れないんだけど説明なしに冒頭からいきなり

さ〜、3分クッキングのお時間です。「みなさま、こんにちは、今日は『ボドニーのザッハプラカット』をご紹介いたします。ボドニーをフォントセルフで仕上げてプラカットシュテイル風味のふらついた味わいに仕上げます。まずは材料です。ボドニーをフルセット用意します。出来れば太めのボドニーをご用意ください」「先生! 太めというとボドニーポスターしか持ち合わせがないんですけど」「ええ、それでも構いません、それで、ボドニーはあらかじめイラレですべてアウトラインをとって、並べておきます、このとき一文字、一文字、グループ化してレイヤーで名前を付けておきましょう」「先生! このあたりでコンプライアンス的に危険な香りがしてきたんですが……」「ご家庭で食べる分だけなので大丈夫です。え〜、次にブラシを用意します。このイラレのブラシはできればご自身で用意されたほうがよろしいのですが、無ければデフォルトの……」

って始められても、困るでしょ? ちなみにこのノリで最後までいくと本当に3分で終わってしまうんだけど……まぁ、それはともかく、おいちゃんもさすがにコンプライアンス的に危険な香りで小火を出すのは本意でないので、手書きしたものをスキャンしてイラレで画像トレースをかけてから並べておくところからスタートする。まぁ、これでも一応、勢いに任せて買っちまったお高いソフトももっているというのに何でこれかというと、それなりの理由はこのフォントに付けるプラカットシュテイルな風味を調整するのに使おうとしている道具の問題があるからなんだよね。 

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まぁ、こんなふう。微妙っちゃぁ、微妙なんだけど……それぞれを画像トレースした後、さらにパスの単純化で個別に調整しているから……精度とかも勿論もろもろ言い出したらきりがないけど、一気に作業したので一貫性に関してはそんなに悪くないんじゃない。子供の落書きよりはちょっとマシなぐらいには仕上がっている。よね? 多分。拡大しないぶんにはいいんじゃない……って、ポスター様式名乗っているのに拡大しないわけにはいかないじゃん! というわけなので、一貫性のある揺らぎ感を演出するためにillustratorのブラシの機能で輪郭に一定のストレスをかけて、ブレを整えようという算段だ。他にもillustratorは基本ベクトルツールだけど、消しゴムでちょこちょこっと消したり、ペイントやブラシでちょっと塗り足したりというペイントツールのように使うことができるので、このあたりフリーハンドで適度なレタリング感を醸すのにもってこいのツールなんだよね。最終的にはベクトルになるとはいえ、こんな書体を最初から最後までベクトルでコントロールするのって、馬鹿みたいでしょ? で、こうやって塗り塗り消し消しして作ったフォントを直ぐにフォントメニューに並べて確認できるというのがFontselfの利点でもあるというわけ。まぁ、最終的にOpentype Featureのことがあるので仕上げはFontLabに持ち込む必要はあるのだけれどそれでもこの手のフォントの絵面の微調整は並べて見ないと最後までわからないので、あ〜ここのカウンターのストレスもう少し緩めておいたほうがよかったかぁ〜っ! ってなったときもチョロッと消しゴムかけて直ぐ確認出来る。ベクトルだけでの作業だと、このチョロっていうのが、案外苦手すぎるんだよね。まぁ、そんな感じ。というわけで、本当に雑談が長すぎた……今回はここまで。

ちなみに、Fontselfには、ウインドウの右下に中の人とかとお話ができるチャットがついていたりするので使い方がわからなければ直接質問してしまえば大抵のコトは解決する……と思う。他にも、カラーフォントやWebfont回りの機能も充実していて、なかなか面白い良いソフトだと思うんだよね。ホント。……Thank you Franz! まぁ、このあたりの話も、いずれまた。


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