禍話リライト「犬古(いぬひね)」【怪談手帖】
Bさんという男性の方から頂いた体験談である。
彼は10代のころ、家族や教師と折り合いが悪く、事あるごとに学校をサボったり家を飛び出したりしていた。
そんな時によく逃げ込んでいたのが、隣町の低い山の中ほどにある、父方の親戚の家だったのだという。
「〇〇(地名)の叔父さん、叔母さん」と呼んではいたが、父の兄弟という訳ではなく、どちらかといえば祖父母に歳の近い遠縁の老夫婦だった。
彼らは所謂”本家”とはあまり関係が良くなかったようで、親戚の集まりなどにも顔を出すことなく、隠遁じみ