禍話リライト 怪談手帖『たんころりん』
太く濃い毛虫眉。
ギョロリとしたどんぐり目玉。
真ん中に胡座をかいた獅子鼻。
のっぺりと結ばれた広い口。
人の倍はあろうかという大きな顔。
そんなものが、窓の外からこちらを覗いている。
曇ったガラス窓の右下に見切れている。
窓の中には他に、一面の薄青い秋の空と、柿の木らしい枝が幾振りか天へ向かって伸びているのが見えるばかり。
(……これはいったい、どこの誰なのか?)
……そうポツポツと語るBさん。
この話を教えてくれたA氏、彼が若い頃勤めていた介護施設にいたという老人