禍話リライト「木霊」(怪談手帳より)
百年の木には神ありてかたちをあらはすといふ。
鳥山石燕『画図百鬼夜行』より「木魅」
「小学一年生の時のことなんですけど……」
と、Aさんは懐かしそうな顔で口を開いた。
Aさんの通っていた小学校の校庭の隅の、木々の密集した場所、そのさらに奥に、小学校ができるより前から生えていると伝わる一本の古い松の木があった。それが、彼らの間で〈お化けの木〉と呼ばれていたのだという。
「松って表面が鱗みたいになってるでしょう? その模様が人に見えるんですよ……こう、腰をかがめて立ってるお