図書館で短編を拾い読みする

週の真ん中にぽつんとある祝日は、何をするかちょっと迷う。

とくに予定はないけど、家に一日いるのもつまらない。
そんなときはとりあえず散歩に行く。

歩きながら、図書館に寄ってみようか、と思い立つ。
図書館は、遠くもないけれど近くもない。だから、散歩がてらにふらりと立ち寄るにはちょうどいいのだ。

さて、来てみたはいいけれど、いま読みかけの本があるのだった。借りていくとそちらを先に読まないといけない気分になるし。なんとはなしに、文庫本コーナーで短編集を物色してみる。

装丁がきれいで、『水に眠る』(北村薫)を手にとる。
表題作を読んでみた。水の膜をはがしてつくるウィスキー…幻想的で儚くて、不思議な後味だ。ミステリ作家と思っていたけれど、こんな作品も書いていたのか。

つぎに、棚のすこし下の『臍の緒は妙薬』(河野多惠子)に目が留まる。あやしい雰囲気。そのなかの、「魔」を読む。夫のいない間にコーンスターチで想像上の子を熱心につくる妻。妙に生々しく想像してしまう。その行為自体もだけれど、憑かれたように製作に没頭していた彼女が、何食わぬ顔で日常へと戻っていく、戻れてしまうということに、得体の知れない怖さを覚える。

目に留まったものを拾い読みするの、なかなかたのしいかも。普段あまり読まない種類の作品も、全編読まなくってもいいと思うと、気軽に手にとれる。


そんなふうにいろいろと読んでいて、平松洋子のエッセイを読んだところでお腹が空いてきた。いい時間だし、そろそろ帰って夕飯の準備をしようか。

明日と明後日のために、すこし多めにごはんをつくることにして、スーパーに向かった。

夕飯のマッシュルームと鶏肉炒め。
マッシュルームってこんなに出汁が出るんだな。


この記事が参加している募集

#休日のすごし方

54,062件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?