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#2 寝耳に水が信頼を害する

※このnoteは「半分、青い」のネタバレを含みます。


朝ドラ「半分、青い」を毎日見ている。ヒロイン鈴女の結婚の行く末は事前に知っていたのだけれど、いざ「別れてくれ」と言われるシーンが訪れたとき、わたしの頭の中には「報連相……」という言葉がぐるぐると巡っていた。

一気に時が過ぎる展開で、間の時間が描かれていないから、その間の夫婦関係はわからない。けれど、いくらなんでも夫婦間で大切な話がなされていないのではと思ったのだ。

まあ、涼ちゃんのなかでは「映画監督を目指す」=「家族を捨てる」思考しかないようだから、事前に相談するも何もなかったのかもしれない。

鈴女からしたら、「夢が諦められません」と言われるのならばまだしも、突然「別れてくれ」と言われたのだから、寝耳に水もいいとこだろう。それも、愛娘の誕生日に。(これは本当に「涼ちゃんバカなの?」と思った)


ただ、これね。この報連相の出来てなさね。割と夫婦間でありがちなのでは、とも思うのだ。

離婚騒動までの内容ではないにしろ、妻は夫にきちんきちんと伝えているのに、夫はすべて事後報告、みたいなことって、あるあるなのではないだろうか。(出かける予定とかもね、夫は事後報告とかよく聞く話……)

そんなことを思ったのは、わたしにも似たようなことがあったからだ。別れを切り出されたわけでも、無職になられたわけでもなかったけれど。


2016年末、夫が転職した。わたしがライターとして仕事を始めるきっかけになったのが、この転職だった。それまで働いていた仕事では、とてもではないけれどやっていけなかったからだ。(弁当配達と夕刊配達の掛け持ちをしていたのにもかかわらず)


「好きなことを仕事にしたい」と言い、夫は次男が入園する春を目前にしたタイミングで、収入が下がる道を選んだ。

別にそれが不服だったわけではない。そもそも、就職したときから「転職したい」と言っていたので、いつか転職するのだろうとは思っていたから。

ただ、「えっ?」と思ったのは、彼が何も言わずに転職活動を始めていたからだった。いや、まあ、収入が上がるのであれば別に事後報告でも構わないかなとも思えるけれど、下がるのだ。しかも、出費が上がる春を目の前にしたタイミングで。

「大阪の会社と東京の会社、どっちがいいかなあ。今度とりあえず大阪の面接に行くんだけど」と言われて、「はい?」となったのだった。


家族に関わることくらい、最低限事前に話そうよと思うのは、別におかしなことではない、と思う。子どもがいるのだから、なおさら。

夫婦であったとしても、互いが互いを縛る権利はないと思う。ただし、自由は責任のうえにあるものだ。配偶者は自力で生きていけるけれど(専業主婦だとすぐには難しいだろうけれど)、子どもは無理だ。だからこそ、親がいるのだから。子どもを食べさせることは、両親の義務だ。決して母親だけの義務ではない。


今のわたしは、いつ夫が「仕事辞める」と言い出すのかなあと長らく悶々としているのだけれど、「仕事辞めてきた」にならないよう、「早めに言って」と口酸っぱく伝えている。夫を応援したい気持ちをなくしたくないとも思っているから。

涼ちゃんも、まずは「やらせてくれ」と言えばよかったのに。どうしても諦めきれない葛藤も、まずは鈴女に伝えてみればよかったのに。

悩んでいた経過を何も知らせずに結論だけをいきなり置いてしまうと、受け手側に行き当たりばったりのように捉えられても仕方がないのでは、と感じた。

実際にわたしの場合では、前回の転職の際、夫は前職のつらさをわたしに大して伝えてこなかったから、唐突感もいくらかあった。今も、「やめよっかなー」と軽い口調で言うから、どこまで本気かがわからず、ただもやもやさせられているだけだ。

まあ、涼ちゃんの場合、「やりたい」が本気だとしても、覚悟面はどの程度あるのかよくわからないのだけれどね。そもそも、退路を断つために家族が邪魔だという理屈がわかるようでわからない。バイトや仕事を辞めるのは退路を断つことだと思うけれど。家族とともにありながら戦う道を選ぶ方が、背水の陣になりえるのではないのかなあ。


何歳になろうが、親であろうが、夢を追うこと自体を否定はしない。ただ、「家族が邪魔」だという涼ちゃんは甘っちょろいことを言っているなと感じる。

さて、涼ちゃんは大成するのかなあ。「家族」という言い訳を捨てたうえに成功しなかったら、彼はどんな逃げ口上を考えるのかな。(いや、成功するのかもしれないけれどさ)


#半分青い #夫婦 #エッセイ #雑記 #わたしのこと



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