晩夏を知らせるコンサート
子どもの頃、夏の終わりに気づかせるのは網戸の隙間から聞こえてくるツクツクボウシの鳴き声だった。ミンミンゼミだかニイニイゼミだかわからない夏の蝉の声が、ある日を境にツクツクボウシに変わっていることに、ふと気づく瞬間があるのだ。
ツクツクボーシ、ツクツクボーシ、ツクツクボーシ、ツクツクボーシ、のあとにツクツクボウシは鳴き声を変える。その鳴き声が、「もういいよ、もういいよ」に聞こえていた。
ツクツクボウシが鳴き始める頃には虫の音も響き始めていて、森を開拓して作ったニュータウンに