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複合型非球面レンズ!「MINOLTA AF ZOOM 35-70mm F/4」は楽しいレンズだよ

タイトルが長すぎる。
どうも、うにょーん(@giondoll)です。さて今回はこのLooooooooongタイトルの通りMINOLTA AF ZOOM 35-70 F/4という青箱常連のレンズに付いて色々だべってみようと思います。当時のパンフレットやら実写など色々あるよ!

1985年をざっくり振り返る

このレンズは1985年(昭和60年)のレンズです。当時の資料を見ていく上で当時の物価や時代背景を知るのはとても大切な事。ここでざっと振り返ってみましょう。

物価
・平均大卒初任給 14万円
・国鉄最低運賃 140円
・金価格(平均) 2490円

できごと
・つくば万博開催
・スーパーマリオブラザーズ発売
・日本航空123便墜落事故発生

平成生まれうにょーんには歴史の中の出来事だぁ…って感じです。マリオってファミコン発売から2年後なんですねぇ(知らなかった)

どんなスペックなのか教えてちょ!

さてさてレンズの話に戻りましょ。まずは当時のカタログを見ながらこのレンズの基本的なスペックや特色を把握していきましょう!

カタログスペック

引用:αSYSTEM総合カタログ

発売年:1985年
レンズ構成:6群6枚
絞り:F/4-F/22
最短撮影距離:1m、マクロモード時32cm(0.25倍)
フィルター径:49mm
その他:赤外線指標あり
標準価格:3万5千円(フード代千円含む)
対応ケース:LH-1031

複合型非球面レンズの採用により、全長を約24%短縮、重量を約30%削減(当社比)した、超コンパクトズームレンズ。単焦点レンズに匹敵する描写性能を持ち、焦点距離35mmから70mmまで撮影目的に幅広く対応できる最もポピュラーな2倍標準レンズです。マクロ機構により1/4倍までの近接撮影が可能、被写体からレンズ先端までの距離が20cmと長くとれるのでライティングも用意です。

αSYSTEM総合カタログ レンズ解説

F/4通しの標準ズームレンズがコンパクトというのはやはり嬉しいポイント。最短1mですがマクロ機構で0.25倍のマクロ撮影が出来るのでテーブルフォトにも対応できますね。

図H
引用:AF ZOOM LENSES 使用説明書

赤外指標について
白黒の赤外線写真は白黒・赤外フィルムとO56またはR60フィルターを用いて撮影しますが、一般の撮影の場合とピントの合う位置が異なりますので、ピントの補正が必要です。
一度フィルターなしでピントを合わせた後、距離指標に合致した距離目盛の数値を読み取り、フィルターを取り付けてから焦点距離に合致した赤外指標までずらして撮影します。(カメラのフォーカスモードスイッチがAFの場合は、M側に切り替えてからずらします)(図H)
(中略)
★赤外指標は、赤外波長768nmで計算されたものです。赤外フィルムやフィルター、または赤外フラッシュ光の波長特性により、赤外指標にずらしただけでは適合しないものがあります。厳密なピント合わせを必要とされる場合は、ピントずらし撮影やテスト撮影を行なってください。

AF ZOOM LENSES 使用説明書

実はこのレンズ赤外線撮影に対応しています!…とはいえ操作方法は少々煩雑ですが…

引用:複合型非球面レンズに関する量産技術の確立

複合型非球面レンズ…球面レンズを信頼性の高い薄い特殊透明樹脂で被い、非球面に成形するもので、AFズーム 35-70mm F4 / 24-50mm F4に採用されています。諸収差を良好に補正するとともに小型・軽量化を実現、サブミクロンオーダーの超精密加工技術と高品質量産技術が、優れたコストパフォーマンスを支えています。

αSYSTEM総合カタログ 「明日の頭脳を搭載した、AF対応αレンズシステム」

Q.35-70mm/F4で採用した非球面レンズとは何ですか?

A.非球面レンズとはレンズの曲面が球面ではなく、中心部から周辺部にかけて曲率を変化させたレンズのことです。これにより球面収差等の収差を少なくすることができるため、複数の球面レンズを組み合わせて収差の発生を抑える通常のレンズ系に比べ、簡単なレンズ構成で高性能が得易いという利点があります。特に一眼レフ用のレンズでは大口径のレンズで絞り開放時の諸収差の発生を押さえ、画質の向上を図る目的から使用している例もあります。しかし設計値通りの非球面を作るには高精度が要求され、研磨技術上多大な工数を必要とするため、これまで非球面レンズは非常に高価なものになっていました。今回のαシステム用35-70mm F4レンズで採用した非球面は、ガラスを非球面に研磨するのではなく、ガラス面に2層の樹脂皮膜を接合して非球面を形成したミノルタ独自の複合非球面で、非球面の特長に加えて大量生産に向くため、非常にコストパフォーマンスの高い製品が提供できるという利点があります。35-70mm F4レンズでは第2レンズにこの複合非球面を採用することにより、諸収差の発生を押さえながら大幅なコンパクト化を達成しています。

αの世界 Q&A

このレンズの凄い所は複合型非球面レンズを採用したことにより高性能低価格を達成したという所!
複合型非球面レンズについてもっと知りたい!という方は以下のリンクでもっと詳しい情報を得ることが出来ます。


特開昭63-089343 複合型光学部材 ミノルタカメラ株式会社
(特許情報プラットフォームに飛びます)

複合型非球面レンズに関する量産技術の確立
(J-STAGEに飛びます)


2023年に使ってみてどうよ?

このレンズ、1985年の大ヒット商品α-7000のキットレンズとして滅茶苦茶な数売れた結果中古市場は完全に飽和しておりジャンクで100~500円、新品同様でも2000円付くか付かないかといった所。絞り羽に油が回る持病がある事も災いして人気が全然ありません。
しかし、しかしですよ。人気と実力が比例しないのは往々にしてあること。カーボン配合樹脂で作られた鏡胴は軽く丈夫。49mm径というのも使いやすく、2倍ズームというのも手ごろでこれ一本で日常の殆どを記録出来るでしょう。

とはいえ弱点が無いとは言えないのも事実。以下にうにょーんが感じた気になるポイントを書いていきます。

・49mm径というのがフィルターワークで障害になる。小三元(24-50mm F/4、35-70mm F/4、70-210mm F/4)でフィルターを55mm径に統一して欲しかった。
・広角端でかなり鏡胴が伸びる。コンパクトに収納したいならいちいちズームリングを回す必要がある。

とまぁこんなもんでしょうか。うーん我ながら重箱の隅をどんだけ突くんだよって感じですね(苦笑)

Aマウントユーザーが初めて手にするレンズだと想定されて作られているだけにかなり凝った設計になっているだけあって不満点がほぼないです。

どんな写りするんだい?

折角なので私が撮った35-70mm F/4で撮ったでも観て行って下さいな。使用機材はKONICA MINOLTA ‪α‬-7DIGITALとMINOLTA ‪α‬-9000の2機種。今思えば‪もっと広角の写真を撮っておくべきだったね:( ;´꒳`;)広角苦手なんです。
お人形さんの写真があるので苦手な方は注意してね。

α-7 Digitalでの作例

SS1/15 F/4.5 ISO200 マクロ機構使用
SS1/15 F/4(開放) ISO400 マクロ機構使用
SS 1/10 F/4(開放) 70mm(FF換算105mm)
SS 1/13 F/4(開放) 45mm(FF換算67mm)

α-9000での作例

FUJIFILM T-TRA 400
FUJIFILM T-TRA 400

以上、MINOLTA AF ZOOM 35-70mm F/4に関するあれこれでした。今まで青箱で見つけても無視してたそこのあなた、ちょっと気になってきたんじゃないですか?買って使い倒してそのままAマウントレンズ沼にハマっちゃいましょう!!

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