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BLACK FLAGのライブに行ってきました。


 12/3(日)、大阪難波Yogibo META VALLEYで開催された『BLACK FLAG & LONG BEACH DUB ALLSTARS JAPAN TOUR 2023』に行ってきました。




BLACK FLAGはなんか


って感じのバンドです。


LONG BEACH DUB ALLSTARSはなんか



って感じのバンドです。一見共通点なさそうですが、どちらも地元が同じです(カリフォルニア)。関係性的にはBLACK FLAGが先輩でLONG BEACH DUB ALLSTARSが後輩です。




<ライブ会場>




 ライブ会場はYogibo META VALLEYという難波に10月にオープンしたばかりの会場でした。

 場所は南海の高架下で、なんばPARKSのウインズの前の道をトイザらス方面にずっと真っ直ぐ行って、トイザらスの前を通り抜けて目の前の道を渡って少し歩くと見えてきます。

 地下鉄の恵美須町駅からだと徒歩5分くらいで着き、さらに心斎橋みたいに怖い人があまりいないという僕のような人間にとっては立地的にはほぼ完璧に近い素晴らしい場所にあるライブハウスです。
今後は1月にSick Of It Allの来日だったり、チェルミコとかがライブをするようです。

 入口は今風のおしゃれな感じで、バーが外からも見えるようになっていて、中に入らなくても外側からピザとかを頼める感じになっていました。
ドリンクも結構種類豊富でした。

 ライブハウスの中は入り口を入るとステージが右側にあって奥が深い設計になっていて、奥側は段上になっていてステージに対して横に広い形になっていました。
 過不足無く必要なものが揃っていて、(全面禁煙なのでたばこ吸ってる人は嫌かも・・)今後ここで色んな歴史が作られていくんだろうな・・と想像させてくれるいい場所でした。Yogiboって長州力に変なクッションに座らせるだけじゃないんだなと感動しました。
 もし変なクッションが売れなくなってもライブハウスを頑張ってほしいと思いました。




<客層>




 客層は本当にアラフォーの「漢」中心って感じでした。しかし意外に大学生くらいの若者の姿も多くみられ、BLACK FLAGって色んな世代に聴かれているんだなと感心しました。おそらく未だにロック雑誌とか変な音楽系ユーチューバーが教義のように名前を連呼していたり、ロゴだけ有名になってる為かと思います。女性は本当に少なく、99%誰かの彼女って感じでした。バキバキのブリティッシュ・パンクのレザー上下を着、髪色をピンクにした80'sのパンクスみたいな人がいて痺れました。

 ライブ中もライブ慣れしてなさそうな人がいなくて、みんな「これがBLACK FLAGなんやなあ」みたいな感じでライブを観ていたように思います。BLACK FLAGライブ中はモッシュやダイブがほぼ毎曲起こり、中々盛り上がっているようでした。

 なお開場前、数組の外国人観光客がライブハウスの前を横切っていきましたがBLACK FLAGに反応してる人は一人もいなかったです。
 もしかすると本国での扱いはもっと・・




<物販>


 物販は異様に「My War」押しになっており、「My War」デザインのTシャツがデカデカと売られていました。
 僕はLONG BEACH DUB ALLSTARSが7割、BLACK FLAG2割くらいの気持ちで行ったんですがLONG BEACH DUB ALLSTARSは最近出たシングルのジャケがプリントされたTシャツしか売っていませんでした。髑髏デザインの感じの奴だったので自分には派手過ぎると思い今回は購入を見送りました。



<演奏メンバー>




LONG BEACH DUB ALLSTARS目当てでライブに行ったものの、正直事前に調べてもLONG BEACH DUB ALLSTARSの現行ラインナップはよくわからず、結局今この記事を書きながら調べてもわからないのですが、実際に見た感じでは以下の感じでした。


ボーカル:Opie Ortiz氏
ベース:昔のラッセル・クロウみたいな顔のおじさん
ギター:オーウェン・ウィルソン系のくたびれおじさん(へロッとしたTシャツを着ている)
キーボード:1人だけB級大学教授みたいな恰好のブレイキング・バッド系おじさん
ドラム:DUB ALLSTARSだって言ってるのにブラックサバスのTシャツを着ていた若者
ラッパ:ガソリンスタンドの店長みたいなおじさん(目が優しい)

 BLACK FLAGは少し前世間をざわつかせた、ギターのグレッグ・ギン氏以外オリジナル・メンバー1人もいないのに「再結成」を名乗る、何だか・・チョコのないポッキーなのかプリッツなのかわからないけど江崎グリコであることは否定できないみたいなそんな感じのラインナップでした。

 ただ参加しているミュージシャンの方は中々凄い方で、ドラマーのCharles Wiley氏はDerek Sherinianと共演したりされている方でした。(Derek Sherinianが凄い人というのは僕の主観です。)





<セットリスト>


 ライブはまず前座で日本のレゲエロックバンド、SUNSHINE DUBが演奏し、そこからLONG BEACH DUB ALLSTARSBLACK FLAGという順番でした。
LONG BEACH DUB ALLSTARSの演奏時間は1時間ほど、BLACK FLAGはまさかの90分超特盛コースでした。曲はどちらのバンドもファンサービス多めの良い感じの誰も不満を言わない選曲でした。前座のSUNSHINE DUBがフライングで「What I Got」を演奏してくれました。



<レポート>


・SUNSHINE DUB

 会場は17時開場、18時開演でした。
BLACK FLAGってどれくらい客が来るのか予想できなかった(早割りで死ぬ程爆速でチケット買っていたため)のですが、開場前特に列整理なども行われず、灰色のスウェット着たメガネのお兄さんが整理番号を大声で言う、という形で入場は行われました。ここは雑というか・・場所はオシャレでもプロモーターはアメ村底辺ライブハウスメンタルなんだな、と思いました。

 僕は特に物販で買うものが無かったので早々に中に入って、中に入ったらまだ本当に人が全然いなくて図らずも最前列を取れてしまいました。
 高さが床と同じステージの会場だと最前列は演者と目が合うのが嫌なので避けるのですが、META VALLEYのステージは高さがあり、ステージとの間にも間隔があったので今回は最前列で観ることにしました。

 前座のSUNSHINE DUBは名前で勝手に若いバンドかな?と思ったのですが滅茶苦茶ベテランでした!よく考えたらBLACK FLAGとかLONG BEACH DUB ALLSTARSみたいな音楽をやってる若者なんかいるはずないですよね!そんなのは10-feetがデビューした頃くらいまでさかのぼらないと日本にはいません。しかしSUNSHINE DUBはいます。(というかSUNSHINE DUBの人も多分その頃から活動しています)
 それくらい、今の日本のこういう音楽シーンはこの人たちがTOPなんだろうなという事が短い時間の中でも伝わってきました。

 ライブ終了後、20分ほどのセットチェンジの後、LONG BEACH DUB ALLSTARSの演奏が始まりました。(メンバー・楽器が多いのでセットチェンジは大変そうでした)


・LONG BEACH DUB ALLSTARS

 LONG BEACH DUB ALLSTARSは今回のメイン目的だったのですが、最近あまり曲を聴いておらず、普段からライブ前に「予習」で音楽を聴く事をしないようにしている為、ほとんどの曲を覚えておらず、「Rolled Up」くらいしかわかりませんでした。(頭がおかしいのか・・)

 メンバーもボーカルの歯の無いおじさん(Opie Ortiz氏※偉大な方です)以外は誰かわからず、なんだか初めて観るバンドの初めて聴く音楽で感動しているような、独特な経験ができました。

 日本で「ライブ!」「バンド!」というと、「みんなで盛り上がろうぜ!!」的な消費に終始しているきらいがあると思いますが、LONG BEACH DUB ALLSTARSはひたすらに、カッコいい音楽のフィーリングを届けたいぜ!的な演奏をしているように感じました。



 演奏はクールですが熱があり、どの楽器も演奏が丁寧でした。
全然関係ないですが聴いていてAtlanta Rhythm Sectionの名前が頭に浮かびました。

Opie Ortiz氏は老齢ながらバイタリティ高めに頑張っており、息もつかずに踊り続けていました。

 ギターのオーウェン・ウィルソンみたいな人の奏でるフレーズが、確かにカリフォルニアというかあの辺の海辺の空気感っぽいリバーブがかかっており、1月なのに8月の夜のビーチにいるようなさわやかな風を感じるようでした。

 1人場違いな大学教授みたいな見た目のキーボードのおじさんの奏でるフレーズも超絶にいなたく、ダブやレゲエというよりAORのライブを観に来ているような、渋くて濃密な時間が過ぎていくライブでした。
 1時間ほどのセットでしたが、正直ここまででチケット代の元は取れたな、と感じました。


・BLACK FLAG


 BLACK FLAG開始前にまず衝撃だったのはセットチェンジの速さでした。

 LONG BEACH DUB ALLSTARSの楽器が多かったので、それをはけるのに時間がかかるのは分かるですが、そこからBLACK FLAGの楽器のセッティングが終わるまでの時間が2分くらいしかなく、ほとんどドラムの人が高さとマイクの位置調整したくらいで、後は特に何もエフェクターが置かれるとか、そういう「バンド」らしい調整が無く、各アンプの前に楽器を置いて、それで終わりっていうくらいの速さでした。グレッグ・ギン氏がアンプの上にいつもライブ中飲んでいるのであろうオレンジジュースを2杯置いていたのですが、そのコップのポジショニングが一番もたついていたくらいでした。今時ハードロックバンドでももうちょっと飾り気あるだろうという恐ろしいくらいシンプルなセッティングでした。

 ライブは「My War」から始まって終始鬼のテンションで進んでいきました。現在のボーカル、マイク・ヴァリー氏はミュージシャンとしてのキャリアもあるものの、本業はプロスケーターとして有名な方で、ボーカルとしてはどうなんだろう?と思っていたのですが、ツアー後半ということもあってやや声が終わりかけていたものの、年を感じさせない鬼のテンションで終始怒鳴り散らしていました。




 演奏はほぼすべての曲で間奏にグレッグ・ギン氏の2~3分のインプロみたいなパートがねじ込まれており、元々1分程度の曲も5分だったり6分だったり、グレッグ・ギン氏のその時々の気持ちよさで大きく演奏時間が変動されていました。

 それがボーカルパートと静と動みたいな関係性になっていて、「この人がこういう事ばっかりやってるからメンバーとそり合わなくなって解散したんだろうな。」と思いつつ、BLACK FLAGの最後の方の音源で時折聴けていた、この人特有の何でBLACK FLAGみたいなバンドをやっているのかわからないアート志向というか、即興演奏フェチズムみたいなものを存分に味わうことが出来、そこは素直に良いなと思いました。

 しかし本当に全曲でそれをやるので、グレッグ・ギン氏が気持ちよくギターをウヮンウヮンうならせている間、特にやることも無くずっとステージに背を向けて全身でリズムを取り続けているマイク・ヴァリー氏が不憫に感じる瞬間が何度かありました。
 ドラムの人はグレッグ・ギン氏が何か演奏したらすぐにドカドカ叩き返して音楽的な応戦をしていましたが、ベースの人は2人の演奏中も何かずーっとテキトーなフレーズをペチペチ続けてお茶を濁しているように感じる瞬間が多々ありました。世渡り上手なベーシストだなと思いました。

 曲は本当に有名な曲をキチンとやってくれるという奇や衒いのないシンプルなセットで、演奏されたら嬉しいな‥くらいに思っていた「BLACK COFFEE」を演奏してくれたのが個人的には一番よかったです。しかし長くて40分くらいかな?と思っていたのが謎インプロで1曲1曲が間延びすることにより演奏時間が90分くらいになっていたので、後半少しだけ、ほんの少しだけ「さっさとRISE ABOVE演奏して終われよ。」と思ってしまいました。「Rise Above」は死ぬ程盛り上がりました。

 最終曲はAsahiビール片手にボンヤリステージ端でライブを観ていたLONG BEACH DUB ALLSTARSのギタリストを招いて、グレッグ・ギン氏とツインギター編成での「Louie Louie」でした。



 最初のサビ終わりからグレッグ・ギン氏とギタリスト氏の無限インプロが始まり、「これどうやって終わるのかな?」と思っていたら、ギン氏がおもむろにギターを端で観ていたLONG BEACH DUB ALLSTARSのラッパ担当のおじさんに渡しステージ端に引っ込んでしまい、オリジナル・メンバーが1人も存在しない、NAPALM DEATH状態のBLACK FLAGが誕生しました。

 「どうやって終わるのかな?」状態だったインプロはギタリストが1人交代したせいで余計収拾がつかなくなってしまい、最後は我に返ったラッパ担当のおじさんがちゃんとフレーズを弾き出して、ドラマーが「今だ!」って感じで一気に曲を終わらせに行って無事ジャン!ジャーン!みたいな感じで終わりました。

 その間ベーシストの人はずっと省エネ世渡りフレーズをテロテロテロテロ弾き続け、マイク・ヴァリー氏はステージに背を向けてリズムを取り続けていました。そんなマイク・ヴァリー氏の背中に男の哀愁を感じました。

 マイク・ヴァリー氏はライブ後半声がカスカスになり、500mlのいろはすを3本飲み干して、追加でスタッフの人が持ってきたいろはすを1本半飲んだ後、ステージにつば吐き散らし。乱暴に投げ捨てたいろはすのペットボトルからいろはすをドボドボこぼしながら一生懸命歌って、最後力尽きたような笑顔で「サンクス・・」みたいな事を言っていました。

 「Louie Louie」の後はもう演奏は無く、ベーシストとマイク氏が終始ステージに残ってファンサービスを続けていました。


<総評>




 よかったです。(LONG BEACH DUB ALLSTARSを生で観ることが出来、BLACK FLAGの「BLACK COFFEE」をライブで聴けた為)

 BLACK FLAGはやはり、「ちゃんとした再結成ではない。」感じがしましたが、グレッグ・ギン氏のソロのBLACK FLAG曲縛りのライブをLONG BEACH DUB ALLSTARSと一緒に見られたと思ったら、十分元が取れるライブだったのではないかと思います。

 ライブも良かったですが、会場のYogibo META VALLEYも良かったです。
とにかく地元から行きやすいのが一点と、アメ村みたいな終わってる場所(行かないとは言っていない)に無いのが良いです。

 来年はSick Of It Allの来日もあるみたいなので、また行きたいと思いました。



おわり




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