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奇跡のしくみ。

TwitterやFacebookで小学生のミニバスチームが奇跡のブザービートで劇的な逆転をする動画がたくさんシェアされている。

「漫画か⁉︎」
「笑ったw」

などと様々なコメントが寄せられていたが、私は何度見ても涙が溢れて仕方なかった。

ミニバスチームにドカ弁が所属していたのは今から7年前。小学4年生だった。

小さな頃から身体を動かすことが好きだったドカ弁は、バスケットボールに夢中になった。

6年生になるとチームを引っ張っていかなければならないキャプテンになった。

最後まで諦めずに頑張ったが、勝てずにミニバスチームを引退した。

中学生になると、迷わずバスケ部に入部した。しかし、ここでの2年半は親子して地獄のような時間だった。
以前もここに苦しい胸の内を書かせてもらったことがあった。

https://note.mu/unymam/n/n0f2a905b1c25?magazine_key=md41fc57b8408

スポーツの神様がいるのだとしたら、天罰がくだらないはずがないと言っても言い過ぎではない親子と巡り合ったことは今でも心の傷になっている。

バスケットボールは5人で一つのボールを繋ぎ、小さなネットを揺らし、得点するために皆が力を合わせる競技である。

そうあるべきだし、それが出来なければ勝利を勝ち取ることはできない。

ところがこの親子はそういうことにはまるで興味がなく、我が子だけが目立てば良いと考える母親と、自分だけがネットを揺らしたい娘だったのであった。

あの手この手でチームメートの粗探しをし、自分を超えそうな技術を持つ者を集中的に叩きつけることを最初から最後まで繰り返したのである。

「あの子は一軍、あいつは二軍」などと親子で位置付け、それを顧問やコーチに進言する有様で、モンペ代表のような人たちだったが、学校もこの親子に粘着されてしまうと、教師が病欠になるほど追い詰められるのを恐れ、なすがままにさせたのだから懸命に頑張る子どもたちの汗と涙は全て無に帰した。

顧問やコーチがわずか2年の間に4人も退任や解雇になるなど信じられないが、実際にあった出来事なのだからまさに悪夢のような時間であった。

最後の夏、ドカ弁と私が胸が張り裂けそうな想いをしたことは、2人とも忘れはしないだろう。

お互いに口にこそ出さないが、今回この奇跡のブザービートを巻き起こしたミニバスチームの映像を観て私が涙を堪えきれずにいると、ドカ弁も黙って下を向いていたので、たぶん彼女も泣いていたのだと思う。

この映像を観て、懸命に頑張る子どもたちの姿に涙を流す私たちと、最後の試合のあの日、自分勝手なスタンドプレーで負けて大袈裟に泣いたあの親子の涙は違う成分なのだと思いたい。

この奇跡のブザービートを巻き起こしたミニバスチームの小学生たちの未来が明るく真っ当な光に照らされていくことを祈っている。

#エッセイ




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