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スナフキンの日曜日。

土曜日の夜から次女ちゃっかりのお友達がお泊まりにきている。お泊まり会に大興奮のちゃっかりは友達と自室にこもりキャッキャッ楽しそうである。

長女ドカ弁は、昨日は彼とのデートに出掛け、帰宅してからも彼とのチャットかLINEに忙しくこれまた自室にこもり、ウフフな乙女タイムを満喫している。

そして本日日曜日の朝。一階から鳴り響く電話の音で起きた私。

『もう!誰やねん‼︎』

下に降りていくと、スナフキンが慌ててトイレから飛び出してくるではないか。

電話を取ると、私の伯父である。

『あ、uni?ワシや!今な、スナフキンくんに教えてもらったことでもう一回確認したいねんわぁ。』

事情がさっぱりわからず、
『スナフキン、おっちゃんがなんかゆーてるけど!』

スナフキンに電話を渡したのである。

『あ、もしもし?忽那諸島はね、愛媛県松山の沖の島々ですね〜!戦国時代の水軍の拠点ですわぁ。』

ノートパソコンを見ながら懸命に忽那諸島について解説しているスナフキン。

ようやく電話を切ったので事情を訊いてみると。

『伯父さんがさ、あんた忽那諸島って知ってまっか?っていいはるねん。朝の8時過ぎにその質問を受ける人って日本にそんなおらんような気もするねんけど!』

そう言いながら爆笑しているのだから何が何やらである。

自由すぎる伯父にもやれやれであるが、それに応えてやるスナフキンもご苦労なことだ。

ふと気づくとキッチンの流しにはお皿やらコップがつけてある。

『何?もう朝ごはん食べた?』

そう訊ねると。

『トーストとウインナーと目玉焼きでちゃっかりとちゃっかりの友達に朝ごはん食べさせたで!食べたらまた部屋に戻っていったわ。』

『あぁ、それはお疲れ様!ありがとう、スナフキン!』

お泊まり会した翌朝、友達のお父さんに朝ごはんを作ってもらうちゃっかりのお友達はさぞ不思議に思っただろうが、我が家の日曜日はだいたいがそういうことになっているのだからまぁいいか。

『お母さん!ちゃっかりちゃんのパパが朝ごはん作ってくれたの!ちゃっかりちゃんのママは寝てたよ‼︎』

たぶんお家に帰ったらそんな説明をするんだろうなぁと思ったが、仕方ない。

『それでドカ弁は?』

姿を見せないドカ弁のことを訊ねてみた。

『あ、今日は遠くのスイミングスクールに練習行かなあかんらしくて朝早かったから俺が車で送っていったよ!』

『あ、ありがとう。スナフキン!』

早朝から私の伯父に忽那諸島って知ってまっか?と電話で質問されて長電話に付き合ってやり、ちゃっかりとちゃっかりのお友達の朝ごはんを作って食べさせてやり、ドカ弁をスイミングスクールまで車で送ってやったというスナフキン。

まったく感心してしまうほどのフットワークの軽さで、我が家のママにはスナフキンが一番相応しい気がしてくるではないか。

『日曜日の朝はスナフキン』

これはドカ弁やちゃっかりが大人になってもきっとずっと忘れない父の姿になるのだろう。

日曜日の朝にはまったく登場しない母のこともセットで覚えていて、将来ネチネチいじめられそうな予感がする。

日曜日の朝、全ての家事を夫スナフキンに任せてゆっくり眠ることは、私には何より重要なのである。

命の洗濯ならぬ命の充電日なのだ!

#エッセイ


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