展覧会会場に搬入作業。
本日、先日から製作し額装を済ませた作品を展覧会会場に搬入してきた。
前線が通過しているのか、バケツの水をひっくり返したような豪雨の中、夫スナフキンと一緒に展覧会会場に向かった。
『ちょっと…これどうなん?こんな土砂降りってな。作品ずぶ濡れにできひんし、搬入する時にこの雨がやまんかったら車で待機せなあかんなぁ。』
ブツブツぼやく私にスナフキンは逆らわない。
『いいのが書けたと思う!』と言って笑っているかと思えば、『やっぱりひねりが足らへん字を選んでもたんかな。ありきたり?絶対無理やんな、まだまだやしなぁ。』などと三角座りをして落ち込む妻の横にいることは、かなりしんどいことだったと思う。
しかしスナフキンは私の扱い方をよくわかっているので、笑っていれば『いいんちゃう!』と合わせ、三角座りをしていれば『そんなことない!uniちゃんらしい押しの強さがある迫力ある字やと思うで!』などと調子を合わせ続けてくれたのだから、やはり相当我慢強い男だと思う。
自分ではこれだ!という作品が書けたと思った。
書道具屋さんに作品の裏打ちを依頼し、その間に画材屋さんでオーダーの額縁を依頼する。
木曜日の午前10時、画材屋さんから額縁の準備が完了した連絡が入った。
しかし、まだ作品の裏打ち作業が終わっていない。
『すみません。書の裏打ちがまだ終わっていません。連絡が入ったらすぐにそちらに作品を持って伺います!』
額縁とそれに合わせたマットは作品に合わせて準備されており、今か今かと作品の到着を待ちわびている。
どうする?裏打ちが仕上がらなければ額装できないではないか。出品日は土曜日。間に合わなかったらどうする?
胃がキリキリしてくる。
そんな矢先、待ちに待った書道具屋さんから連絡が入った。
『今、職人さんから裏打ちされた作品が届きました!』
よかった‼︎すぐに書道具屋に向かい、仕上がった作品を受け取り、その足で画材屋さんに向かった。
額装作業をしてもらうことになった。
素晴らしい作品に仕上げてくださり胸がいっぱいであった。
『額縁は作品が入らなければ、ただの額縁です。素晴らしい作品が収まって初めて美しさを放ちます。ありがとうございます!』
作業をしてくださった画材屋さんにそう言っていただき、とても嬉しかった。
そして先ほど無事に搬入が済みほっとしている。
しかし、会場に持ち込まれた作品を見て唖然とした。
どの作品も2m以上の額装作品ばかりが会場にズラリと並んでいたのである。
『ちょっとスナフキン‼︎ど、どうする!何よみんなめっちゃデカイやん‼︎』
泣きそうになりながらそう言うと、スナフキンは私の作品をズラリと並んだ背の高い作品のど真ん中に置いて言った。
『大丈夫‼︎一番チビやけど一番態度デカイからインパクトある!絶対これはいける‼︎』
そう言って爆笑しているのだから何が何やらである。
『そうよね。デカけりゃいいってものでもないよね!インパクトコンパクトで勝負や‼︎』
結果はダメかもしれないが、自分で書いた作品を展覧会会場に無事に運び、出品するまでのあのドキドキした時間は金で買えぬ経験である。
ちなみに私の作品の名は『瞬』である。
時刻(とき)の中に
存在しない
瞬間(とき)
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