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抑揚をつけろ!
稽古場では『抑揚をつけろ!』と大先生にはいつも注意される。
平坦なまま、綺麗なままの作品には誰も心や目を奪われないというわけである。
これは書に限ったことではなく、人生にも、その人個人にも当てはまることなのかもしれない。
なにもわざと綺麗に書かないようにするとか、ちょっとうっかり屋さんを演出することが良いというわけでもないと思うが、他人は誰かのピカピカ輝くものだけに感動を覚えず、つまづいたり、恥をかいたりする様子に親近感を覚えやすい。
この匙加減が旨い人は共感されやすく、多すぎたり少なすぎたりすると誤解されやすくなるのかもしれない。
『燃料投下』という例えになるような、いわゆる炎上を狙うものが求められるネット商法もあるが、書道は炎上していてはいつまでたっても仕上がらない。
仕方ないので、自分の心の奥に燃料投下し、静かに胸の中を燃やしながら冷静に筆を運ぶ。
抑揚をつけろ!
胸の中を燃やす痛みと喜びを紙にぶつけること。
他人にこの抑揚を感じてもらうことこそ私が今目指すもの。
王羲之の作品を楷書、行書、草書で書いてみた。
静、動、熱を書きわけてみると、抑揚の大切さがわかりやすくなる。
もっと抑揚ある書き手になりたい。
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