「オモロないな。」
先日の稽古でかな文字を書いた。
師匠のもとに持っていき、添削をお願いした時のこと。差し出したかな文字を見た瞬間、師匠が言ったのだ。
「オモロないな。」
グサッとくる一撃である。
かな文字はゆらゆら柔らかく、漢字は大きく、ひらがなは小さく書くのが基本であるが、それを忠実に守って書いたものでは面白くないと言われたわけである。
「かな文字はな、字なんかそんな綺麗じゃなくてええんや。字が潰れてもいいしな。一番大事なんは余白をどう取るかってことや。もっと遊ばんかい!」
必殺!オモロなさ解消術をレクチャーされたわけである。
ならば。
思い切りいってもたれ‼︎
何十枚も黙々と書いてみた。
すると、まるで自分の書ではないようなかな文字に仕上がったのである。
【オモロない編】
【必殺!オモロなさ解消術伝授後】
上半分に空間を取り、漢字がひらがなより小さくても気にせずゆらゆらと好きなように書いてみたのである。
大胆に余白を取ってみると、何でもありな気がしてきて筆の運びがスイスイ泳いでいくようになった。
やはり、誰かにダメ出しされることって大切なことだとつくづく感じた。
「こう書きなさい。」と全部教えてくださるわけでなく、言われたことを自分で考えて書けという指導は、自由なようでとても難しい。
手取り足取りの指導でないのは、プラスαの能力を期待しての思いやりだと思う。
まるで親が子に自立を促す時のようだ。
父のような師匠と、祖父のような大先生に見守られながら一歩一歩、自分の足で歩んでいく道は、自分一人で歩んでいた時期に比べると天と地ほどの違いである。
歩む道の先には二つの灯火が照らされている。
その灯りを頼りにしっかりと自分の足で歩んでいきたいと思っている。
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