カナダのお得意さま。
クリスマスシーズンにはカスタムオーダーのご依頼が多く、バタバタしているが大変有り難いことである。
お客様の中で特にクリスマスだからというわけでもなく、コンスタントにご依頼していただく方がいる。
その方はカナダ人のカメラマンである。
感謝するのはこちらの方なのに、作品を納品した後、必ず「素晴らしいね。今回も素敵な作品をありがとう!」といった内容のメッセージをくださるのだ。そしてあまり時をあけずに次のご依頼をしてくださるのだから本当に有り難い。
きっかけは彼女のご主人が通う空手の道場に飾る書のご依頼であった。
一番最初にご依頼いただいたときは原書ではなくデジタルでの納品であったが、作品を気にいってくださり、その後からカスタムオーダーしてくださるようになった。
原書を手にしていただいたことで私の作品のファンになってくださったのは本当に嬉しい。
どんな分野でもそうだと思うが、好きなことや信じている自分の道を歩み続けていくためにはお金が必要である。
だから私は「販売」してはいるが、購入してくださる方のおかげで、書道を続けていくための「サポート」をしていただいているのだと思っている。
サポートいただいた方に、作品を書いているといった感じが一番しっくりくるように最近は感じているのだ。
皆が一目置く、誰もが知っている有名な人だからさすが素晴らしい作品だというような。
芸術分野では特にそんな理由付けになるものなくしては世間の大半の人には認知してもらえないのが日本では一般的だと思う。
ゆえに成功者の息がかかった人はチャンスを掴む機会が増えるのも納得である。
「あの有名人が推薦しているなら間違いないに違いない!」
これの有る無しで世間からの評価は大きく左右されるのである。
海外の方の感性や習慣は日本のそれとは全く質が違うように思う。
興味を惹かれる作品や人に対して有名無名にかかわらず賞賛を惜しまず、可能性を認めようとする空気を感じる。
他人がいいと認めるからこれは良いものなんだろうという感覚ではなく、自分の感性で良いと思うものに個人的に興味を持つスタイルが確立している。
出る杭を打つのではなく、出てきそうな芽に水を撒き、肥料を与えてくれるような、そんなおおらかさを感じている。
地道にコツコツやっていることを世界のどこかで見守り、育もうとしてくださる方々がいることに勇気をもらいながら、今日も筆を持つ。
2015.12.16 雲泉
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