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先輩風が顧客満足度を下げるとき。

頼りになる先輩ってどんな人だろう。

『俺に、私に任せとき‼︎』
親分肌、姉御肌の先輩。

『こうした方が上手くいくよ!』
気配り目配りが抜群の先輩。

様々なタイプの先輩方がいると思う。

一番後輩泣かせというか、後輩に嫌われてしまうタイプの先輩ってどんな人だったかなと記憶の糸を辿ってみると。

『オレ様の手柄はオレ様のもの。オマエの手柄もオレ様のもの!』なジャイアンタイプ。

この手の先輩は一見頼りになりそうに見えるから、よく知るまでは親分肌、姉御肌タイプの先輩と勘違いしてしまうことがある。

両者の決定的な違いを感じる瞬間、それは何か新しいアイデアを後輩が思いついたり、やり始めたりするときである。

ジャイアンは自分が一番なので、後輩が自分より優れたアイデアや仕事のやり方を思いついたり実行したりすることを非常に嫌がるのである。

これが職場の先輩、後輩の中だけならば
『くっそ‼︎あのジャイアン先輩め‼︎』と同僚とぼやいたりしながらも、仕事帰りにみんなで飲む生ビールも美味しくなるかもしれない。

しかし。

これがお客様相手の職場で行われたとしたら?

最悪である。

先日いつもお米を契約しているJA系のお店にお米を買いに行ったときのこと。

『unimamです。お米5kgお願いします。』

こう言ってカウンターで声をかけると、レジに通すバーコード入りのカードを渡され、先に会計を済ませるシステムである。

お客が会計を済ませている間に、お米を精米してくれるのである。

『unimamさん、今から精米しますね〜。ちょっとお待ちくださいね。』

新しい顔の男性がそう言ってくれたのでいつものように会計を済ませにレジに向かったのである。

するとレジのパートさんが精米作業をしようとする新人男性に向かって言った。

『新人さん‼︎そこに仕上げて積んである10kgのお米があるでしょ‼︎それから使って5kgのお米を詰めてちょうだい‼︎』

は?今なんて言ったのかしら、このお馬鹿さんな先輩パートさんは。

今は新米の季節。
新しいお米をさっと精米してくれたものは格別なのだ。

精米仕立てのお米は胸に抱えるとまだ温かくてそれだけでお客は満足するのである。

別にお客の目の前で10kgのパックに既に詰められた冷たいお米の袋を破き、5kgの袋に柄杓を使って詰め直させ、何度も秤にかける作業をさせなくてもいいじゃないの!

ちょっと言ってやろうかと思ったが、私の前には奥さまから頼まれてお米を買いにきたと思われるスナフキンくらいの男性と、剣道の胴着を着た中学生の男の子がいて、私とまったく同じく5kgのお米を待っていたことがわかり、文句を言うのは控えた。

10kgのお米を計り直し、5kgずつ3人のお客に準備する作業は思いのほか手間取り、新人さんは焦っていた。

その様子に気づいたベテランのパートさん2人が新人さんを手伝い、伝票をきったり、袋詰めの機械にかけてあげたりしていた。

新人さんに先輩風を吹かせるだけ吹かし、客を待たせるだけ待たせ、精米仕立ての新米を用意しようとした新人さんの気遣いを台無しにしたレジのジャイアンだかジャイ子だかわからん先輩パートさん。

あなたは3人のお客の時間と満足度を下げただけである。

新人さんがやろうとしたことは正しいのだ。

精米機に5kgのお米を入れて作業し、5kgの袋をセットして詰める方が倍以上速い時間で、ほかほか出来たての新米をお客に渡すことができる。

へんな先輩風は客商売には向かないから吹かせたいのなら舞台裏でやるか、お客様相手の職場は辞められた方がいい。

#エッセイ

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