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詩ことばの森㉕「湖水のうえを」

散歩していたら、夏の花が風にゆれていました。
夕方の涼しい風に、うつむきかげんな姿は、どこかさみしげです。
まだ日中は暑いのですが、朝夕の気温は過ごしやすくなりました。
この時期は、雨が降るたびに、秋が深まっていくようです。

湖水のうえを

湖水のうえを 風が吹くたび
波は岸へと 寄せてゆきます

わたしは 湖畔の森にたたずんでいました
風のやむときを 待ちわびながら

小さな草花は眠たげです
夕暮れが まもないことを知っています

やがて 風は遠くなり
花が眠りについたとき
森はことばをわすれます

わたしは 家に帰らなくてはなりません
岸辺の道が 暗くならないうちに

深い瞳を 閉じながら
湖水は闇に 消えていきます

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