詩ことばの森㉖「蓮の花」
お寺の池に、蓮の花が咲いていました。
花のうえには仏様が座っておいでとか。
池の水は濁っていて、きれいではありませんでしたが、
濁った水から、清らかな花がひらいているのを見ていると、
なにか大切なことを、教わっているように思います。
蓮の花
またひとつ 歳月をかさねて
また一枚 かなしみを身に受けてきた
それらは 珠の形となり
透明な祈りのすがたのまま
月夜の池に灯される
やがて 朝の光が
闇を抱いた泥水にふりそそぐとき
珠はひらきはじめた
朝露の匂いとともに
かなしみを解き放しながら
蓮の花は咲いている
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