詩ことばの森(208)「穏やかな季節の村で」
穏やかな季節の村で
守りつづけた兵士たち
穏やかな季節の村に
静かすぎる夢を
君も見ていたのだろうか
風は少女の君の腕をとって
彼女の母親の姿で連れ去ってしまった
白い家の記憶は
ひび割れた城壁に
秘められている
僕の孤独な歌を
口ずさみつづけよう
丘の上には もう
なにもないのだから
夏になれば
コスモスの原に
姿を留めているだろうか
君のはかない夢の片すみに
少年の日の まるで幻
今も 目に浮かぶ
穏やかな季節の村に
(森雪拾)
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