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詩ことばの森 森 雪拾(もり ゆきひろ)

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複雑で変化の激しい時代ゆえに 優しさと癒やしの詩の世界を伝えていければと思います
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#詩

詩ことばの森(165)「砂の記憶」

砂の記憶 古びた机のうえに 置かれたままの 夏が残っていた だれかの語りつづける 言葉が漂…

UNWIND&KOMOREBI
1か月前
52

詩ことばの森(163)「深い水」

深い水 わたしの魂は 深い水のなかに潜んでいる だれかが 岸辺をさまよっている 足音も無く…

UNWIND&KOMOREBI
1か月前
50

詩ことばの森(162)「懐かしい庭」

懐かしい庭 自分は見たらしい 点滅する幻影の街を そこでは何も生まれず 繁栄もなければ衰退…

UNWIND&KOMOREBI
1か月前
50

詩ことばの森(161)「美しい街」

美しい街 孤独は空から降ってくる 雨模様ではなく 青空だったりする 都会の街並みに あるいは…

UNWIND&KOMOREBI
1か月前
53

詩ことばの森(160)「朝の森で」

朝の森で 神奈備の木に花が咲き 天が喜び 地が潤い 依代は輝きを灯しつづけた あれから季…

UNWIND&KOMOREBI
1か月前
48

詩ことばの森(159)「古城の夢」

古城の夢 山あいの村には昔 小さな城があった 崩れ落ち土と化しつつある 石垣だけが残ってい…

UNWIND&KOMOREBI
1か月前
47

詩ことばの森(158)「情念」

情念 森影に家々は沈んでいる 月の光が溢れだすと 岩肌は錆色に輝きはじめる 深い沼に秘められた物語を 繰り返し蘇らそうと 水は風もないのに波打つ わずかに灯された光は 月や星ばかりではなく 蛇の眼だけでもない くりかえされる歴史を 見届けようとして 立ち昇る情念と化してしまった 人びとの眼差しなのだろうか けっして語られることなかった 名もなき人びとの (森雪拾)

詩ことばの森(157)「流離う人に」

流離う人に 流離う人に 風は 時に冷たく 時にやさしい いい人を気取らず 親切は素直に受けた…

UNWIND&KOMOREBI
1か月前
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詩ことばの森(156)(木々のあいだに)

(木々のあいだに) 木々のあいだに 箱庭のような町はあった 古い神社の鳥居が 森の中で朱色…

UNWIND&KOMOREBI
1か月前
57

詩ことばの森(153)「薔薇の庭」

薔薇の庭 古い石の椅子に やわらかな午後の光が 落ちている森 長い沈黙に耐えてきた 苔むした…

UNWIND&KOMOREBI
2か月前
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詩ことばの森(152)「森を歩く」

森を歩く こもれびの道を 僕は歩いていた 森を抜けると 湖へと着くはずだった 四月だという…

UNWIND&KOMOREBI
2か月前
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詩ことばの森(151)「残照」

残照 川辺りに広がる夕空を 渡ってゆく鳥の飛翔よ 無言のうちに 秘められた残照が わたしの心…

UNWIND&KOMOREBI
2か月前
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詩ことばの森(150)「眠れぬ森」

眠れぬ森 眠れぬ森に 夜が訪れる 花は白く 物思いにふける 森をさまよう影は あたかも 体の…

UNWIND&KOMOREBI
2か月前
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詩ことばの森(149)「天駆ける星」

天駆ける星 暗闇の窓を光がかすめる かつての栄光の者は消え去り 眩い堕天使たちが 綺羅びやかさを競う夜 時間も空間も存在しない宙で 天駆ける星の主は 掴めないどころか 見極めがたいほど 次々と変転する虚空 異次元の者と呼ぶべきか おまえの名前を (森雪拾)