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詩ことばの森 森 雪拾(もり ゆきひろ)

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複雑で変化の激しい時代ゆえに 優しさと癒やしの詩の世界を伝えていければと思います
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2023年11月の記事一覧

詩ことばの森(71)「冬の駅舎」

冬の駅舎 冬の町に 小さな駅舎が 明かりを灯す夕べ 薄暗い改札口から 懐かしい姿で 降りてく…

UNWIND&KOMOREBI
7か月前
49

詩ことばの森(70)「冬空をまえに」

冬空をまえに いたたまれぬ思い 灰色の雲に閉じられた 過ぎ去りし日の記憶 散る花もまたしか…

UNWIND&KOMOREBI
7か月前
44

詩ことばの森(69)「奇跡」

奇跡 たとえば  手のひらを さりげなく 広げてみた刹那に 小さな葉が  舞いおりてきたこと…

UNWIND&KOMOREBI
7か月前
52

詩ことばの森(68)「断崖」

断崖 この断崖から 飛べよ と彼は言った 空は果てしなく広い 海はどこまでも深い お前の小さ…

UNWIND&KOMOREBI
7か月前
42

詩ことばの森(67)「窓辺の薔薇」

窓辺の薔薇 夕暮れ時  薔薇は首を やや傾けながら 静かな窓辺に 人恋しくたたずむようだ …

UNWIND&KOMOREBI
7か月前
50

詩ことばの森(66)「カレーの歌」

カレーの歌 今日も体調はよくないが 生きてる証拠と おばあさんが言ってた そう そのとおり…

UNWIND&KOMOREBI
7か月前
54

詩ことばの森(66)「自然の恵み」

自然の恵み ふゆは 苦手なのだが 夏も 得意ではない 特に 季節の変わり目など 必ずというほどに 体調を崩す それでも 夏は 緑が鮮やかだった 冬は 庭の菊花が美しい 変わりゆく季節に 自然は恵みを あたえてくれている たしかに       森雪拾

詩ことばの森(65)「龍の鱗」

龍の鱗 水神さまをお祀りしてある 神社にでかけた うら山から 清水が こんこんと湧いている…

UNWIND&KOMOREBI
7か月前
43

詩ことばの森(63)「おかしの味」

おかしの味 おいしいおかしだよ と きみがいった 甘いもの好きなひとだから と ぼくにもす…

UNWIND&KOMOREBI
7か月前
39

詩ことばの森(62)「帰路」

帰路 帰り道は なかった とおくで犬が吠えてるわ 月夜のなかで 君がつぶやく 薄墨の土に …

UNWIND&KOMOREBI
7か月前
49

詩ことばの森(60)「古い喫茶店で」

古い喫茶店で 古い町の 古い喫茶店で ぼくは珈琲を飲んでいた 客は ぼくと 年老いた男と ふ…

UNWIND&KOMOREBI
7か月前
51

詩ことばの森(59)「ぼくの生まれた町」

ぼくの生まれた町 ぼくの生まれた家は 小さな町の 小さな家だった そこは幻みたいに 静かな…

UNWIND&KOMOREBI
7か月前
47

詩ことばの森(58)「秋雨のあとに」

秋雨のあとに 水の流れに添いながら 晩秋の木々は惜しみなく 葉を落とします 川面に映じた空…

UNWIND&KOMOREBI
7か月前
43

詩ことばの森(56)「木にふれる」

木にふれる 木にふれると 指先に温かさを感じた 木の肌に 耳をつけると 水の流れる音がした 木は生きているね と きみに話したら それは ぼくの体温で ぼくの血の 流れている音だ という なるほどな と感心しながら ぼくは ぼく自身にふれてこなかった 重大な過失に気がついた 生きていることを 自覚しない生き物を前に 木は驚いたことだろう 不思議とも 不気味とも 思ったにちがいない ぼくはふたたび 木の下に立った そうして 手のひらで 木の幹にふれた あたたかい命が