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樹に宿る精霊の物語を掲載→note創作大賞2024に応募!

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樹木擬人化のファンタジー小説『樹々は唄い、風に舞う』 第一部 ~樹々の恵み編~ 全話を このnoteに掲載して、【note創作大賞2024・ファンタジー小説部門】に応募します!』…
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#ファンタジー小説

【告知】このnoteに自著の物語を掲載して、『note創作大賞2024』に応募します!

 現在メインの創作活動『執筆中の物語を完結する! & 書き上がった物語を、このnoteに掲載する! 』カテゴリの、重大告知!  このnoteに自著の物語『樹々は唄い、風に舞う』 第一部 ~樹々の恵み編~を掲載して、『note創作大賞2024』に応募します! このnoteに掲載する目的は、現状打破。  長年、心血を注いで行ってきた、この創作活動。  現状の『〝読者数が伸びない、埋もれ状態〟を少しでも解消して、多くの人の目に触れられるようにしたい!』のが、物語第一部をこのno

1話【早春の壱乃峰で】『樹々は唄い、風に舞う』第一部~樹々の恵み編~

【あらすじ・ルビ無し294/300文字以内ver】  実り多い天然林となったこの森の樹々に宿る、樹の精霊たち。  彼女たちは、より豊かな森になるよう調和を保ちつつ、仲良く活きている。  春には季節の花を愛で、樹々の恵みを味わい、宴で風に揺れる枝葉での舞いを披露して春の訪れを祝う。  夏には唄の祭典で、葉音で奏でる唄に乗せて、健全に成長できた感謝を表す。  秋の実りでは、動物たちへの木の実の振舞いで賑わう中、この森で唯一の〝人間によって植えられた〟スギに宿る精霊の、樹の恵み

2話【春の芽吹きと、森の恵みと……】『樹々は唄い、風に舞う』第一部~樹々の恵み編~

2話【春の芽吹きと、森の恵みと……】 森の中を吹き抜ける風は、少しも冷たさを感じずに、春の花の薫りを含んで。  壱乃峰の落葉樹は どれも芽吹きの季節を迎え、若葉を守るコートを脱ごうとするもの、蜜を含んでテラテラ光るものや、うんと背伸びをして日光を一身に受けようとする、新芽。 「ほら、冬に落葉しない針葉樹だって、まだ薄い緑色の新芽を準備してるでしょう?  どの樹にとっても、今は芽吹きの季節なのですよ。」 「木の実だって、発芽する季節よね。  そうそう、あの切り株にも、別の

3話【こなた、東谷街道へ。】『樹々は唄い、風に舞う』第一部~樹々の恵み編~

3話【こなた、東谷街道へ。】 しゅるっ、ふわり、たん、ととっ。  すすっ、とん。 くるり、ふわっ、しゅるり。  他には誰も居ない お稽古場は、さくらの独り舞台。  静寂の中、さくらの足音と、舞い専用の巫女装束の衣擦れの音だけが、響いていた。  少し薄暗い、板張りの お稽古場の中、さくらにだけ ぼぅっと照明が当たっているかのように、巫女装束の白衣がひらり、ふわりと舞っている。  鮮やかに映える緋袴は、さくらの足の運びに追随して、朱色の腰帯や白衣の袖と共に、ひらり ふわりと

4話【舞いの家元、山桜流】『樹々は唄い、風に舞う』第一部~樹々の恵み編~

 4話【舞いの家元、山桜流】「……栃実が そう思うなら、その通り実行に移しなさいな。  私も皆も、栃実の能力や情熱を信頼してるからこそ、安心して あなたに総て託しているのですから。」 「さくらを、栃実の処に預けたのも、同じ。  和服のモデル、えらく人気だそうじゃない。  お唄も上達したみたいだし、私の指導だけでは、こうは成って無かったと思うわ。」 「ありがとうございます。  山桜師匠がいつも仰っていた『好きこそ ものの 上手なれ』を、私も実践してきた結果だと思います。」

5話【桜の舞い】『樹々は唄い、風に舞う』第一部~樹々の恵み編~

5話【桜の舞い】 桜の舞い、当日。  東谷街道の脇に設けられた 桜の花枝に彩られたゲートをくぐると、観客席スペースの向こうには、舞台となる〝大平岩〟。 ●6  その舞台の後ろを ぐるりと取り囲むかのように植樹された、桜並木。  そして舞い散る桜の花弁に彩られた〝壱乃峰〟 ●7 から連なる峰々までもが、一望できる。  受付の奥にはケータリングコーナーがあって、のりあをメインに そのスタッフ達が、宴の来場者に 春の樹々の恵みを振舞っている。  めりあは「今、いいかな?」とだ

6話【新緑の壱乃峰で】『樹々は唄い、風に舞う』第一部~樹々の恵み編~

6話【新緑の壱乃峰で】 雲ひとつない、青空。 眩いばかりに降り注ぐ、陽光。  樹々は、朝日が昇るたびに その若葉を広げ、初夏の陽光を浴びようと。  5~6回ほど朝日が昇ると、壱乃峰の森は すっかり新緑で彩られていた。  大平岩の桜並木も、すべて葉桜となって。  花の跡には、まだまだ小さな さくらんぼ。  桜並木は東谷街道の奥まで続いていて、葉桜の緑と、結実した さくらんぼの小さな赤で彩られていた。  それらを見ながら瑞貴は、皆に 「これらも、樹々の恵み。 そして、森の恵

7話【太陽の恵みと、森のスクラム】『樹々は唄い、風に舞う』第一部~樹々の恵み編~

7話【太陽の恵みと、森のスクラム】 弐乃峰よりも元気に育った、壱乃峰の森の樹々は、皆 ほぼ完全に その葉を開き、枝を伸ばしている。  羽のような形をした、未だ薄緑色の若葉を開きかけている その樹を除いて、樹々は濃い緑色の生命力に溢れる葉を、ぎらぎらと照り付ける太陽に向けて。  ……こうして森の中に寝転んで、青空と木漏れ日を見上げていると、いろんな樹々が枝葉を伸ばしている様子が、よく観察できる。  どの樹も、日光を浴びようと懸命に枝葉を伸ばしているけれど、まるで譲り合っている

8話【恵みの雨と、樹々の恵み】『樹々は唄い、風に舞う』第一部~樹々の恵み編~

8話【恵みの雨と、樹々の恵み】 薄暗ささえ感じる程に曇った、空。  樹々の蒸散によるクーラー効果のおかげで涼しい、森の中。  こんな日の森歩きも悪くないが、やはり晴天の方が心地良い気がする。  梅雨入りを告げてくれたネムノキの花は儚く散り、まるで緑の大地に紅白の絨毯を敷いたよう。  すぐ隣に咲いているヤマアジサイの花は、どんより曇った森の中に、紅や蒼の彩りを。  ふと、間近に生育するアカマツの枝先に目をやると、その針葉は高い湿度を感知したのか、すでに葉を閉じて。  ……

9話【夏祭り】『樹々は唄い、風に舞う』第一部~樹々の恵み編~

9話【夏祭り】「……うん、決めました! 私、この浴衣にします!!」 「そっかぁ―― やっぱ、コレだよね。  黄葉のイチョウの葉をメインに、ちょうちょの帯。  一葉ちゃんのイメージに ぴったりだと思って、創ったのよ。」 「いつも、ありがとうございます! 桂さん。  『夏祭り』 ●8 が、もっともっと楽しみになります♪」 「うんうん。 よく似合ってるわよ、一葉。  あなた、いっつも夏祭りを楽しみにしてたもんね。  『銀杏屋 ひがしたに』の おかみさんも、夏祭りの前だけは

10話【秋の実り、樹の恵み。】『樹々は唄い、風に舞う』第一部~樹々の恵み編~

10話【秋の実り、樹の恵み。】 まだ残暑きびしい壱乃峰の森の樹々は、太陽の恵みと、恵みの雨の恩恵を受けて、濃い緑色の枝葉を存分に伸ばし広げていた。  高台の高木たちも、同じく存分に枝葉を伸ばし広げて、新緑の季節には日向だった、切り株と倒木の処は、木陰になって。  そこでは、涼しげな表情の峰乃 赤松と、この暑さをものともしない屈強な身体を持つ ツキノワグマの長が、今秋の木の実の豊凶について、話し合っている。 「~で、そちらは どうだい? 樹の巫女さんよ。  わしら獣衆は

11話【山祭り】『樹々は唄い、風に舞う』第一部~樹々の恵み編~

11話【山祭り】 壱乃峰の森に吹く木枯らしや舞い散る落ち葉が、もうすぐ冬が訪れることを告げると、樹々は、実りも樹体の成長も ほぼ終えて、冬支度を進めていた。  落葉樹は、すでに光合成をし終えた、その葉の ほぼ全てを落葉させて。  常緑樹は、根から吸い上げた恵みの雨を葉から放出する蒸散を、緩やかにして。  やがて、地表が紅葉や黄葉で彩られ、虫の唄を唄い終えた虫達の鳴声も聞こえなくなる頃には、森の中は静寂に包まれて、ときおり吹く風の音と樹々の枝葉の ざわめき以外は、何も聞こえな

12話 最終話【眠りの唄】『樹々は唄い、風に舞う』第一部~樹々の恵み編~

12話 最終話【眠りの唄】 木枯らしの止んだ、壱乃峰の森の中は しんと静まり返り、その地表には、舞い落ちた木の葉が びっしりと降り積もっている。  一段と輝きを増した月明かりに、美しく照らされて舞台に立つ 峰乃 赤松の、凛とした声が 木霊した。 「此れより、山祭り 神事に、参る!  神憑りを行う故、皆 しばし待たれよ。」  瞳を閉じて、両腕を 両手を その力枝のように開き、天を仰ぐ。  月光を浴びて ぼぅっと光り輝く、峰乃 赤松に憑依した 山の神は、その口から、ねぎ

スピンオフ作品【時間が、ない!】『樹々は唄い、風に舞う』第一部~樹々の恵み編~

『樹々は唄い、風に舞う』 第一部スピンオフ作品【時間が、ない!】「ねぇ、覚えてる?  貴方が ここに来て…… 本当に、したかったこと。」  久しぶりに聞こえた、瑞貴の声。。。 でも今は、時間がない!  後で、必ず会いに行くから。 今は、とにかく…… 時間が惜しい!  時間がなくて…… やっと取れた休日に、この森を歩きに来た。  せっかく来たんだから、いろいろ見て回りたいけど…… 時間がない!  新緑の、季節の花に、目もくれず。 あのコースを制覇するには、時間がない!  と