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マニュアル作り

総務の仕事で、社内向けにマニュアルを作ることが良くあります。

入出退館の開錠施錠、施設案内、設備の取扱い説明、問い合わせ先一覧、廃棄物の分別方法、安否確認システムの使い方などなど。

マニュアルは、見る人に内容を理解してもらい、期待する行動手順へと導くものですが、相手のレベルにあった言葉を選び、相手の立場になって記載する必要があります。

いくつかのマニュアルを作って、その反応を見てきた経験から気づいたことですが、働いている職種によっても知りたいポイントが異なり、それによってマニュアルの書き方が変わってくるという事です。

技術開発者だった私も含めて、研究開発部門の方は、理屈が優先される思考になるため、「どんな内容のことがらを、なぜやらなければならないのか」という、仕組みと期待される効果の説明がはじめに必要で、その後に実施してほしい手順を伝えるマニュアルになります。

手順が先行すると、なんでこの情報を入力する必要があるのか、何のためにこのアクションを起こすのか、と疑問だらけになってしまうからです。

こうして作った防災の手引きや安否確認システムのマニュアルは、技術系の方には問題なく理解して、利用してもらえたのですが、これを他拠点の営業職や製造現場系の方々に配布した際に、次のような意見が出てしまいました。

マニュアルの最初に結論を記載して欲しい。仕組みや効果などの理屈よりも、「どういう手順で、何をすれば良いのか、やって欲しいことだけを示してください」というものでした。

営業の方はきっと忙しいうえに、難しそうな理屈は知りたくないという思考になるのだと思います。

製造現場の方は、普段から作業指示書や手順書となるマニュアルで仕事を進めているので、やはり理屈よりも段取りや作業手順優先の思考になるのでしょう。

自分から情報を見て知りたいと思っている場合は、詳しく書かれているマニュアルを見て一生懸命に頭を働かせますが、

自分から要求もしていないのに、これを見てみておくように、これを手順に沿ってやっておいてほしいという場合には、そもそも興味がないのでなかなか頭も働きません。

「結論だけが知りたい」というのも納得できます。

総務が発信する情報は、知っておいてくださいというものが多く、法律やお役所が発信する情報のように「伝えました」という事実を残したい(責任回避?あるいは予測可能か)もありますが、問い合わせが一件でも少なくなることに期待して、総務の業務効率化につなげたいということも含まれています。

総務に問い合わせが入るとき、「〇〇に関するマニュアルがない」という意見もよく寄せられ、そのたびに総務の作るマニュアルは増えていきます。

増えてしまったマニュアル、誰が作ったかわからなくなってしまったマニュアルを管理もしないで何年も放置すれば、陳腐化してしまい、それがクレームになってしまうこともあります。

マニュアルも一度作ったら終わりではなく、鮮度維持も含めて定期的な見直しが必要です。

そして、どういうマニュアルを作るかは、それを作る人のセンスにもよります。

ユーザーである社員の分析を怠らないようにしながら、見てくれる人の思考にあわせて作れるように、マニュアル作りの技術は磨いておきたいところですが、残念ながらその手の勉強会や講習会はありません。

諸先輩に確認してもらい、総務の他のメンバーにも見てもらいながら、公開の前になるべくたくさんの指摘箇所の修正をして、誤解なく簡便に伝わるようなマニュアル作りの経験を積んでゆくしかなさそうです。

せっかく作るマニュアルですから、その作ったマニュアルに対する問い合わせや意見がさっそく出てこないようにしたいものです。

問い合わせ先になる総務が作るマニュアルは、書き方次第で、自分達の仕事の効率に、良かれ悪かれ跳ね返ってきます。

マニュアル作りは総務のノウハウであり、立派なスキルです。

恐れずに、みんなのため、頑張って作りましょう。

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