うんちやおしっこは体の中で大切な働きをしているのに、体の外に出ると汚いのはなぜ?
トイレや排泄をとおして社会を少しでもよくしていきたい、そんなことを日々考えている加藤篤(NPO法人日本トイレ研究所)です。
今回は、小学生からの質問「うんちやおしっこは体の中で大切な働きをしているのに、体の外に出ると汚いのはなぜ?」について考えてみます。
この質問は、以前に毎日小学生新聞からの取材で聞かれた内容です。そのときの疑問氷解の記事はこちらです。とても分かりやすくまとめて頂いています。ただ、私の頭の片隅に「汚い」というフレーズがずっと残っていて、気になっていました。そこで、もう一度、自分なりに整理してみました。
たしかに、うんちやおしっこって、「汚い」をイメージさせますよね。
でも、そもそも「汚い」って何でしょう?
ここでいう「汚い」ってなに?
辞書には「触れるのもいやなほど、よごれている。清潔でない。」となっています。
「清潔」という言葉がむずかしいので、それを調べてみると「よごれがなくきれいなこと。衛生的なこと。」です。今度は「衛生」がむずかしいので調べてみると「健康を保ち、病気にかからないようにすること。」となっています。
これらをあわせて考えると、「汚い」とは「触れるのもいやなほど、よごれている。私たちを病気にさせるような状態」のことを言うのだと思います。
ということは、今回の質問は「おしっこやうんちは体の中で大切な働きをしているのに、体の外に出たとたんに、触れるのもいやで、私たちを病気にさせるようなものになってしまうのは、なぜ?」ということになりますね。
かなりするどい質問ですね…汗
「おしっこ」と「うんち」とは?
そもそも、おしっこやうんちとは一体何なのかを考えてみましょう。
まずは「おしっこ」です。
おしっこは、血液の中にある不要なものや悪さをする物質が集められたものです。それを体の外に出しやすくするために水分と一緒にして出します。
つぎに「うんち」です。
私たちが食べたものは、大まかに言うと胃でドロドロになって小腸で栄養が吸収され、大腸で水分が吸収されます。この過程を経て、不要になったものがうんちです。ちなみに、いいうんちの約80%は水分で、残りの約20%には食べかすや腸内細菌などが含まれています。
ここで、とても大切なことを言いますね。
私たちが食べたものは「口→胃→小腸→大腸→肛門」というルートをとおって、うんちとして出されるのですが、実はこのルート、すべて体の外なのです! 口から肛門まで一本のホースのようになっているので、体の外という意味です。
体への入口は、どこなの?
では、体への入口はどこ?となりますよね。
それは腸です。腸には100~1000兆個もの腸内細菌と約1億個の免疫細胞がいて、病原菌やウィルスが体の中に入ってこないように戦ってくれているのです。とても心強いですね。
腸に入ってきた病原菌やウィルスなどがとても悪いヤツで、急いで外に追い出さなきゃいけないときは、緊急事態なので下痢になります。
※「あなたのうんちは7つに分類できる」
ということで、うんちはもともと体の外にあり、体にとって不要なものがまとまったものです。そこには、私たちを病気にさせるようなものも含まれています。だからこそうんちとしてすっきり出すことが大事です。
おしっこも不要なものに変わりはありませんが、もともとは血液なので健康な人であれば悪い菌はいません。ただし、体の外に出たとたんに、おしっこの成分が空気中やトイレの床などにいる目に見えないくらい小さな菌にくっつくと悪さをするものに変わります。たとえば、アンモニアになります。汚れたトイレにいくと、鼻がツーンとするようなくさいにおいがしますよね。その原因がアンモニアです。
まとめ
まとめると、うんちやおしっこはみんなの体が元気でいるために、体にとって不要なものを運び出してくれています。そういった意味で、うんちやおしっこはとても大切な働きをしています。ガマンは絶対にダメです。
うんちには、体を病気にさせるようなものが含まれているので、とくに「汚い」と感じるようになっているのだと思います。
うんちやおしっこは、人にとっては病気などの原因になりますが、大地にとっては栄養になります。その話は、またどこかでしたいと思います。みなさんも調べてみてください。
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