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これからのトイレは「3密」回避が必要

トイレや排泄をとおして社会を少しでもよくしていきたい、そんなことを日々考えているNPO法人日本トイレ研究所の加藤です。

今回は、トイレの3密回避について考えてみます。
新型コロナウイルス感染症の感染予防には、次の3つの密を避けることが必要と言われています。国民全員が知っているほどのフレーズですよね。

1.密閉空間(換気の悪い密閉空間である)
2.密集場所(多くの人が密集している)
3.密接場面(互いに手を伸ばしたら届く距離での会話や発声が行われる)

緊急事態宣言から1か月半以上が経ちました。その効果もあり、そろそろ解除されそうです。とてもうれしいことではありますが、いきなりコロナ以前に戻るわけではないと思います。

多くの人は不安を抱えながら、少しずつ日常回復に向けて動いていくことになります。
そのとき、重要になるのが「不安の払拭」です。
商業施設やホテル、レストランなど、あらゆる業態は、お客さんに安心して来てもらうために、コロナ不安を払拭するための工夫が求められます。そのために最低限必要なことが、やはり「3密の回避」だと思います。食事の提供方法や接客方法、レイアウトなど、様々な工夫が必要ですが、それと同時に大切なのが「トイレの3密回避」です。

前置きが長くなりましたが、トイレは人が集まるところには欠かせない設備です。そこで、トイレの3密を回避するため方策を、それぞれ考えてみます。

1つ目は「密閉空間」の回避です。
最近のトイレは個室の密閉度が高まる傾向にありました。以前のトイレであれば個室の扉の下部はわりとすき間があったと思うのですが、今はそうではありません。個室と個室の間の壁も天井まで伸びている場合もあります。トイレは窓がないことも少なくありません。ですが、密閉回避という観点では、逆効果です。今後は、空気の流れを含めて換気のあり方を再検討することが必要です。もしかしたら、扉の上下に空間をあける欧米のように開放的なトイレになるのかもしれません。

2つ目は「密集場所」の回避です。
これは簡単に言うと、混雑回避です。駅のトイレなどは時間帯によって大変混雑します。とくに女性用トイレの混雑は深刻です。コロナ対策として密集回避を徹底するとなれば、トイレ待ち行列は好ましくありません。社会的距離を保ちながら並ぶというのも現実的ではないですね。また、トイレという空間は比較的狭く、空気の流れもよいとは言えないので、そこに滞留することも避けたいところです。
今後は、トイレの満空情報を事前に提供することがより重要になると考えられます。この技術は、コロナ以前から導入されていたので、さらなる普及と技術改善が期待されます。もしかしたら、事前予約できるトイレや登録制トイレなどができるかもしれません。

3つ目は「密接場面」の回避です。
新型コロナウイルス感染症の主な感染経路は、飛沫感染と接触感染と言われています。トイレは不特定多数の人が同じ箇所(ドアの取っ手、施錠、ペーパーホルダー、洗浄ボタン等)に触れるため、その手で目や鼻や口に触れることで感染することが危惧されます。そのため、タッチレスが進むこと、手指でなく肘などで操作しやすいデザインにすることが期待されます。肘などで簡単に操作できれば、子どもや障がいのある人にとっても効果的だと思います。
また、トイレのレイアウト自体が変化することも考えられます。今は、男性・女性等で入口が分かれていて、それぞれに複数の個室が設けられていると思いますが、すべての個室が通路に面して配置されるという考え方もあります。扉を開けたら便器が丸見えでは困りますので、そのあたりの工夫も必要です。空間的には効率的な配置ではありませんが、それ以上の意味があればありえると思います。

まとめますと、これからのトイレは「換気」「混雑回避」「タッチレス」が重要になると思います。また、これまで以上に、清掃や消毒も含めて「管理が行き届いている」という価値が重視されるようになります。何よりも大事なのは、時代の変化や利用者のニーズによってトイレを改善し続けることだと考えています。
管理する人と使用する人が力をあわせて、トイレの清潔を維持し、安心できるトイレにしたいですね。トイレが不安では、旅行、買い物、食事、散歩、スポーツ、、、どれも嫌になってしまうと思います。いつ、どこにいても、安心して使えるトイレがあるって、とても豊かなことだと思います。

#トイレの3密


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