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観光需要の考察

はじめに・・・

コロナによって私がずっとお世話になっている観光産業が未曾有の事態に陥っていることは周知のとおりです。

インバウンドブームに乗って、いろいろな地域で新たな観光商品の開発や宿泊施設の建設が進んできましたが、地域ごとに2019年の水準を振り返ってみたいと思います。

1.観光客の分類

まず、観光客、観光客と言いますが、大づかみに分類する際は「レジャー・ビジネス・その他」の3つのカテゴリーとどこから来たか?という視点の出発国・地域の切り口で整理をすることが実務上は多いです。
*旅行市場の定義からアウトバウンド(海外へ旅行をする日本人)も含んでおりますが、地域への誘客と考えると、国内客(ドメスティック)と外国客(インバウンド)の2つの視点だけでよいです。

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2.インバウンド観光客の影響

さて、コロナの影響で、インバウンド観光客が来なくて大変だ、、、大変だという報道を見ます(もうここ1年間も外国人観光客の歩く姿を見ていないとそれが普通になってしまうかもですが、、、)。それでは、いったい外国人観光客のインパクトはどの程度だったのでしょうか?

下図は右軸に2019年の都道府県別の外国人延べ宿泊者数と左軸に都道府県別の延べ宿泊者に占める外国人のシェアを示したものです。

横の平均ラインが示すように、2019年は延べ宿泊者数のうち19.4%を外国人観光客が占めていました。つまり、宿泊需要の20%が丸々無くなってしまったということです。

さらに、詳細を見ていくと、京都・大阪・東京は40%近くが外国人に占められていることが分かります(また面積的にも大きいことが分かるかと思いますが、その実数でのインパクトは多大です)。

インバウンド需要をあてにホテル等の開発が京都・大阪・東京等では進んでいましたが、母数が40%減ったままでは、当面どのように戦っていくか?の再考が求められているのは言うまでもないかと思います。

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3.日本人ビジネス×外国人

GO toトラベルや近距離の地元を再発見して経済を回そう!と考えるマイクロツーリズムが展開日本人レジャー市場を狙った策が講じられていますが、冒頭で分解した分類の中で、まだ触れていないのが日本人の出張・ビジネス需要です(その他もありますが、その他なので今回は触れません、すみません)。

下図は右軸に先ほども用いた延べ宿泊者に占め外国人のシェア、左軸に宿泊旅行市場における日本人出張・業務比率(2019年数値)をマッピングしたものです。

四象限の右上にいる都道府県は、「外国人・日本人ビジネスに依存度合が高い」、一方左下の象限にいる都道府県はその反対で「外国人・日本人ビジネスに依存度合が低い」と解釈できます。

右上の象限を見ていただいて分かる通り、企業の多い東京、大阪は日本人ビジネス比率が高く、観光資源も豊富、日本観光へのゲートウェイ的な役割の地域なので外国人比率が高くなっています。

オンライン会議が定着しつつある昨今、2019年のときのように出張需要が回復するとも考えづらく、出張需要もある程度無くなってしまうことを想定しくのが自然かもしれません。

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4.まとめ

長々記してきましたが、観光市場を分解して、外国人観光客と日本ビジネス市場をフォーカスして見ると、回復まで時間がかかること、そもそもの需要が無くなってしまうことが透けて見えたかと思います。

全く論理的な結果ですが、ステイケーション(地域にあるちょっとラグジュアリーなホテルで過ごす旅行スタイル)やマイクロツーリズムのように、今まであまりターゲットとしてこなかった地域に住む需要を掘り起こすという策が最も費用が掛からず、当面の需要の下支えになるかと思います。

富裕層や団体といったワンショットで稼ぐよりも、人数と単価=売上の方程式から、単価を下げて、当面の需要側のメインプレイヤーである地域の人に回数を来てもらうこと、飽きさせない取り組みなどが必要なのでは?と定量的な分析をしてみても感じられるところでした。 なべを




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