イロトリドリノセカイ
子供の頃、毎年夏と冬に東北の祖父母の家に帰省した。到着するとまず挨拶をしてそれぞれの近況を伝え合う。でも、僕たち子供は外が気になって仕方がない。窓から入道雲が見えると早く川に行きたくなる。雪がしんしんと降っていたらそり遊びがしたくなる。旭川駅であの時の感覚を思い出した。
歩行者天国を駅に向い歩くと次第に駅舎の大きなガラス面を透過して向こうの様子が見えてくる。青い空、白い雲、紅葉した木々。向うに何か素晴らしいものがあるという予感。早く行きたい衝動が抑えられない。駅を抜けると川と公園があって期待以上の景観が広がっている。小一時間ほど散策し、程よく疲れて駅に戻ると温かい木の空間が迎え入れてくれる。誰もが寛いでいる。勉強をしても、仕事をしても、ぼーっとしてもいい。祖父母の家の居間のようだ。
いつか冬に来たい。駅の大きな窓から眺める雪景色はどんな感じだろう。もしかしたらそり遊びをしたくなるかもしれない。