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「TOWARD WONDERLAND」地上を夢見て進む僕ら。~toybee東名阪千葉ツアー初日


祝・toybee東名阪千葉ツアー初日!


ネオ・ロックリバイバルを謳うロックバンド、toybee。
4月下北沢SHELTER、7月新宿LOFTでのワンマンを終え、次のステップは全国ツアー。東名阪千葉の4カ所をめぐる「TOWORD WONDERLAND」ツアーが10/27下北沢CLUBQueを皮切りにスタートしました。

toybee「TOWORD WONDERLAND」ツアー

下北沢CLUBQue

QueにはBESG時代も含め、何度か出演している冨塚さん。toybee武者修行に入る直前にも出演していましたね。
これまではおそらく、ブッキングを「受ける」側だったんだと思うのですが、今回は自身のツアーに先輩2組を招く形でした。

SaToMansion、Enfants、toybee。
SaToMansionの洒脱な、どこか昭和を感じさせるロックンロール、心地よく音に転がされるステージ。
Enfantsの真逆にストイックな、ノワールな、ノイジーな、そしてナイーブなロックンロール。
どちらも素晴らしくて、聴き応えのあるスリーマンだ、さすとみだ(※ブッキングはとみさん自身)と思ってたら、すべてがひっくり返される、凄まじい熱気のライブをtoybeeが見せてくれました。

ソールドアウトしてないの、ほんと?ってくらい、壁際までパンパンに詰まった客席が圧巻。

確実にSHELTER、ロフトのステージを経験値としてオンして、いや、乗せるだけじゃなく掛け合わせて、スケールの大きいステージ。
60分強の対バンにしては長めのステージで8曲。基本は新譜「REVIVAL」のリリースツアーという位置づけなのでこのアルバムからのセトリでした。

やー…もーね、とみさんの「愛されたい、そして愛されたら返したい」という言葉どおりの、頭から観客が手を叩き拳を振るのを嬉しそうに眺め、その熱気に応えてサウンドも大きくなっていく、凄いステージでした。

「TOWARD WONDERLAND」。
みんなで地下を抜け出して地上のワンダーランドにたどり着ける日は近い、と確信の一夜。彼らとともに地上に向かって進んでいく、楽しい冒険をしているようなこのごろの心地です。

言葉なんてなくてもいい。Queの中が強い愛と熱狂と、凄い音で満ち満ちていた、という、おそらくこれはあの場にいた人の大多数が共感してくれるであろう事実ひとつがあればそれでいい。
…とは思いつつも、記録としてこの日のことを振り返っておこうと思います。

SaToMansion

佐藤幸城 Ba.(長男)
佐藤英樹 Dr.(次男)
佐藤和夫 Vo.&G.(三男)
佐藤伸之 G.(四男)

セトリ出してくれるバンド、好き。ありがたい。音源探しやすい。助かります。

予備知識ゼロで行ったので、さらっと白のスーツに黒シャツで揃えて、でも4人少しずつ着こなしが違う形でふらりと登場した第一印象は「か、かっこいい…」で、音を聴いてもやっぱり「か、か、かっこいい…」でした。

見た目のスレンダーさと異なってかなりラウドでハードな音。ビートが強い!でもメロディはすごく耳と身体に馴染む。昭和の香りの強い、ジャパニーズロックの系譜だ、と思う。和夫さんのざりっとした声に強い色気。
洒脱なステージングに圧倒されました。
toybeeと同じツインギターの4ピース。3人、裸足に革靴なのにドラムの英樹さんだけスニーカーなのが印象深かったです。ミドルテンポのナンバーでもめちゃくちゃ音をぶっこんできたとき、シビレました。
2曲目の「VOICE」はまさに「ROAD TO EX」で競った曲なんだそうです。それをセトリに入れてくれるサトマンの気持ちにぐっときちゃう。
3曲目の「レイ」って曲がすごく好きでした。「クロスカウンター」もザッツ・ロックンロール!!でかっこよかった。「RIDE ON」ではギターが印象的でしたが、伸之さんのギター、グレッチでした。わ~曲者~~かっこよ~~!

それにしても4兄弟の順番が想像と全然違いました。ドラムの英樹さんが長男、ボーカルの和夫さんが次男、ベースの幸城さんが三男、ギターの伸之さんが四男だと予想してました。近くにいたサトマンファンの方にも「みんな通る道」って言われました(笑) 幸城さん、美人すぎません…?

和夫さんのMCでは、かつて「ROAD TO EX」で優勝を競い合ったエピソードに触れつつ「悔しかった、今でも恨んでる」「楽屋であいつの財布を盗んで帰ろうと思います」などと冗談めかし、「ロックンローラーがYouTubeなんてやるもんじゃねえ… って、俺らもやってます!なんなら俺らのほうが早かった!!」と笑いにまぶしながら、ここに至るまでのとみさんの、BESGそしてtoybeeの道のりを全て汲んで、励まし褒めてくれているような、明るい嬉しいMCでした。


Enfants

松本大 Vo.&G.

中原健仁 Ba.
大屋真太郎 G.
伊藤嵩 Dr.

出演に至った経緯は松本さんが語ってましたが、先日、渋谷GRITでの弾き語り対バンの際にとみさんに誘われたとのこと。
その対バンには私も居合わせて、松本さんの声にやられてアルバム「Q」はすぐダウンロードして聴いてました。俺はバンドボーカルなんだ、と主張していたのもインパクトがあって、なのでこの対バンが決まったときは嬉しかったのです。このサウンドを生で聴けるぜー! 

てことで、アルバムの曲を芯に。

「剥き出し」という感想。
わかってほしいと微塵も思ってなさそうな、しかし吐露というには強さを抱えて放たれる言葉に耳が強く揺さぶられる。

サトマンと真逆に全員、ダークな色合いでラフなジーンズカジュアル。軽やかさはない。
照明がすごく世界観に沿っていて、ほぼ色を使ってなかった(Queの照明もPAもホント好き)。
ノアール。影の濃さ。ラウドな音の向こうに見える繊細さ。松本さんの丸い、鼻にかかった声が、どれほど強い曲の中でも音にやさしさを残してる。

Enfantsの前バンドのメンバーからドラムが変更になった形だと松本さんがMCで触れられていて、だからかな、すごくツーカーな空気感でした(一曲、順番がテレコになっちゃったときの後ろ3人の苦笑しつつも面白がってる感じがよかったな)。
ベースは音だけじゃなくて全身で音楽を楽しんで、バンドを楽しんでる!って感じの方でした。ギターの方はすっごく静かな存在感なのに音は強くて、一番印象的なのは松本さんをすごくよく見てたこと。私、下手にいたので、松本さん越しによく目が合うんですよ。俺様なギターじゃなくてバンドのギターなんだなあ、って思いました。

ノイズもかなり入れてるんだけど、大きな音やノイズが飛び込んでくる中、じっと耳を澄ますと、繊細な松本さんのボーカルになんだか泣きそうな気持ちになる。

間違って流れたMIDIの音に苦笑して「もういまさら出直すのも何だから出ちゃえ」と現れたり、途中も曲の順番がテレコになる場面があったり、そういやこないだの弾き語り対バンでもあれこれ困ってたっけなあ…本人はバシッとキメたいのかもだけど、どこかファニーな人なんじゃないかと、そのファニーさ、繊細さ、分厚い前髪の奥の潤みがちな黒目、そんなものが音にも現れ、聴いてる人の心を刺激してる気もします。

「和夫さんはロックは楽しいって言ってたけど俺にはそうじゃなくて」「なんでバンドなんかやってんだろね」と誰にともなくこぼすMCが続いて、玄人には受ける、すごい音楽をやってるとわかる人はわかってくれてる、でも売れたいとも思う、受け入れられたいとも思う、一方でそういうことはどうでもいいと思う自分もいる…葛藤の最中にいることを感じさせるMCも多かった。

最初に読むんじゃなくて、ライブ・音源を体験したら読んでみてほしいインタビュー。ああ、なるほど、と思うところ多々。


toybee

冨塚大地 Vo. G.
鍔本隼 G.
藤盛太一 Ba.

トモキ Dr.


セットリスト


惑星ダブリス
SuperImagination
ワンタイムラヴァー
FrightMusic
TeenageBlack
シーラカンスと文学
フロムアンダーランド
enc.
全米は泣かない

ライブレポ


圧巻でした。
「これは半年もたっちゃったけどリリースツアー」ととみさんがMCで言うとおり、セットリストは「REVIVAL」からのナンバーを中心に、それも新宿ロフトでのライブと同じ進行で。あの日があって今がある、ずっと繋がってるんだぜ、という宣言だと受け止める。

SHELTER、ロフトと来て、CLUBQue。このキャパがtoybeeにとってもう「当たり前」のサイズになってることを痛感。
とみさんは始まるまでどれだけ入ってくれるのか(それはつまり自分達がQueの格に合ってるのか、ということだろうけれど)不安だったと吐露していたけれど杞憂でした。

バンドの音のスケールも大きくなっていたしファンとの呼応も深まってました。
とみさんは最後(落ち着いたのもあるのか)「フロムアンダーランド」くらいから客席を一人ひとり確かめるように眺め始めた。多くの人が彼のどこか淋しさも残した人懐こい瞳と目を合わせたと思います。アンコールのあとも行ってきます!とステージから何度もエア握手をするように手を差し出しながら四方八方に笑顔を向けるとみさんの姿がありました。
確実に大きくなったtoybeeですが、そういう大きくなっても変わらないファンへの、クルーへの思いを嬉しく思うし、またそれがあるからこそのtoybee。きっとこの先も変わらないと思います。

Enfants松本さんの言葉を借りて「夢破れた男ですよ」、「なんで続けてるのかは俺もよくわからない」と苦笑いしながら「愛されたかったんだろうな」と吐露した。このときのしわくちゃの泣きそうな笑顔が忘れられないでいます。愛してるよとみんな答えたかったと思う。
そして、それは人が誰でも持つ願いだろうと思うのです。だから、彼の作る曲は聴いた人に深く刺さるのだと。ポップスは誰かのために、ロックは自分のことを歌うんだと思う、だから俺は今日ここにロックバンドを集めたかった、と。自分の曲を必要とし、力づけられると言ってくれる人々と共に歩むのだという宣言。
その宣言に応えるたくさんの拳の波。後ろから押し寄せる人の気に圧倒されました。
「フロムアンダーランド」を聴きながら、泣くつもりもないのに目が熱かった。とうに彼らの世代を乗り切り、ある種の人生への諦観を覚えている年代の私の涙腺も彼の曲は刺激します。

「栞はまだ真ん中、まだ中間」。

名阪も何の心配もないな、と思いました。どこの会場でも人の波、人の拳の波にその痛みに溢れた音楽でダイブして、たくさんの人達の想いをサルベージしてきてほしい。また大きくなったtoybeeとサンストで逢えると信じて待ってます。

toybeeのテーマソングに乗って全員登場し、間髪入れずに「GOLDEN AGE」、そして「惑星ダブリス」でずがーん!
この曲のあのすべてが開放されていくような、音が一気に広がっていくような快感はほんとにすごい。客席も一瞬にして点火されて一気に燃え上がっていったと思う。

「SuperImagination」「ワンタイムラヴァー」「FrightMusic」。
ああ、アルバムのまんまだな、ロフトの再現だな、と楽しくなる。

整番よかったんでかぶりつきでしたが、隼さんの目の前すぎて、記憶の2/3くらいは隼さんです。隼さんがトモキさんにだけ見せるカワイイ笑顔。嬉しくなって思わず上がる口角。美しい手。うつむいた顔の鼻筋の美しさ。
「SuperSuperImagination」でガッ!と開いた脚!高いジャンプ! 
そして、何が幸せって、隼さんと一緒に飛べたことです(いや私は多分3センチも飛んでないけど)。

隼さんもすごかったし、とみさんもどっか行っちゃってるな、って瞬間がたびたびありました。
(「トイラジ」や配信での話によれば、とみさんめっちゃ風邪引いてて体調悪かったそうなんだけど、声はちゃんと出てたからわかんなかったです)
そんなふたりをトモキさんとタイチさんががっしり支えてくれてたな、と。トモキさんのスネアの音が凄かった。音がドバーン!吹き飛ぶような、強さと弾みがたまらないドラムでした。トモキさんずっとニコニコしてくれていて、その笑顔に見惚れちゃった。
上手にいたからタイチさんは遠かったんだけど、とみさん越しに見ると、スラップしながらタイチさんがめちゃくちゃ乗ってるのがわかって見ていて嬉しかった!

「ワンタイムラヴァー」でとみさんが歌いながらセクシーゾーンに入って、左手を太腿のあたりから腰の方にザラッとなであげた瞬間があって(←ソフトに言ってます)、めちゃくちゃエロかったです。やば。
でも私は隼さんがギター弾きながら気持ちよくなっちゃってニヤってなる瞬間のほうがエロいと思う人なので(真顔)。
ギターの掛け合いは、とみさんが「んあああ!!」って全然かっこよくない、いー!!って顔してたんでうまくいかなかったっぽいです。名阪でリベンジだ、とみといびー(なぜ、ぽい、かというと、ずっと隼さんを見ていたからです…だって…目の前…かっこよすぎた…)。客席のレスポンスもとてもよかった…なんも言わなくても「YOU&I 約束して!」が響いてた。


「FlightMusic」では隼さんが途中で口を少し開けてポーンと右手を上に放った瞬間、あまりにかわいくて崩れそうになりました。

「TeenageBlack」はトイラジでも練習したのでやるとはわかってたけど後半だったのがちょっと驚きだったし、この曲の前にあんなに長くしかも泣かせるMCをするとは思ってなかった。不意打ち。不意打ちだけに胸を突かれる。
もしかすると、今回は対バンだしそれほど話すつもりもなかったのに、前の二組、特にEnfantsの松本さんのMCが刺激したのかもしれないなあ、と聴きながら思いました。
ひとり、ギターだけで歌い出してからの入り、めちゃくちゃかっこよかった!
新しいアレンジ!!?と思ってたら、あれ、とみさんのアドリブだったそうで、それを逃さずきちっと合わせて入れるメンバーがすげえ。
この辺、我慢できずにぴょんぴょん飛んでました。

「シーラカンスと文学」でそんなハイテンションを落ち着かせて。
隼さんのレスポール、メチャクチャ音がでかくて(マーシャルアンプの目の前にいたせいもあるか?いや、でもボーカル食いそうなくらいデカかったよね?)、一回、エフェクターのスイッチを捻ってたから絞ったのかと思ったらもっとザリザリでかい音になって幸せで死んだ…。すごくトランス感覚が強い曲ですが、とみさんもなにかふわふわな感じになっていて、間奏で足元がよろけてあやうくギタースタンドでバスドラムに穴を開けかけてました(ひやひやしました…)。
そのくらい音が気持ちよかった。ぶうーん、ってうなってるタイチさんのベースと隼さんの爆音ギターがドドドドド、と高波が押し寄せるようにこちらに向かってきて、そこにとみさんの高音が美しく乗っかってくる。
また、Queのリバーブが最高に気持ちよかったんだ…。

みんながいたから生まれた曲、と言ってくれて嬉しい「フロムアンダーランド」。
3人でトモキさんに向かい合って弾きながら、ギューッとエネルギーが4人の真ん中に集まってく感じがすんごいカッコよかったのであった。
これに限らず、すべてのステージングが美しかったなぁ…キマリまくってた。

めちゃくちゃ押してたらしく、余韻少なめにぴゅーっと飛び出してきて「アンコール、やります!」なにこにことみさん。涙のない「全米は泣かない」、嬉しかった。
隼さんは「全米は泣かない」ではずっと歌ってて、ほんとに好きなんだなーって幸せになってました。

思い返すだに、どのシーンも絵面がすごく美しかった。
スケールが上がって、洗練度が増してきていて、どこを切っても絵になる段階なんだと思います。

なお、とみさん、予告通りリッケンバッカーのほかに青テレちゃんも連れてきてたんだけど、その切り替えのせいなのか、最後の最後にアンコールでシールドを差し忘れてて(笑)「とみといびーが現れたー(6д9)」って客席が一体になりました。
そんな風に「あほといびー」がひょっと顔を出しても、おしゃべりすぎても何でも、それも含めてありのままのとみさんだと思うし、そんなとみさんと隼さんとタイチさんとトモキさんとクルーのみんなとで過ごした時間そのものがカッコいい、そう思うわけです。

ツアー初日大成功、ほんとにおめでとう!

EnfantsはCD完売してたので、かわりにくまちゃん連れて帰ったよ

今回とみさんが泣かなかったのがまず頼もしくて嬉しかったし、不安もあったけど無事に今日のステージができたのもここにいるみんなのおかげだ、ツアー行ってきます!って言ってくれたときに誇らしい気持ちになりました。
toybeeが高くジャンプするための踏切板になれたような気がしました。

名阪は仕事で行けないんですが、それが最高に悔しくたまらない、そんなライブでした。名阪も絶対、大成功だと確信です。サンストでお帰りを待ってます!

いよいよツアーへ

来週11/14は大阪心斎橋 MUSE、11/15は名古屋池下CLUB UPSET。
チケットはまだ発売中なので、ぜひ。
「凄い」時間を過ごせるはず!

そして、新宿LOFTふたたび。

今度こそ、満席にしたいぜ!のリベンジロフト。
回を重ねるごとに音のスケールを上げていっているtoybeeです。
彼らの言う「史上最高」はただの惹句ではない。事実です。
楽しみです。


いただいたサポートは私の血肉になっていずれ言葉になって還っていくと思います(いや特に「活動費」とかないから)。でも、そのサポート分をあなたの血肉にしてもらった方がきっといいと思うのでどうぞお気遣いなく。