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郵便局が町の健康ステーション?「三刀屋郵便局」局長さんに直撃インタビューしました

「まちの保健室」に取り組む三刀屋郵便局

雲南市の6町の中で3番目に人口が多く、市の中心市街地や高速道路のインターチェンジがある「三刀屋町」。

そんな町に住む方々の生活を支える「三刀屋郵便局」では、「まちの保健室」という珍しい取り組みを行われています。

地域の方々が頻繁に訪れる、言わば生活の導線となっている郵便局。
そんな郵便局には、
・地域住民さんと顔見知りの関係・繋がりを作る場
・自然とコミュニケーションを取り良好な関係を築ける場
という価値があることに気付いた三刀屋郵便局では、
郵便局入り口すぐ近くの1室を開放し、地域の方が定期的に、
健康や生活の相談を受けられる機会を提供されています。

具体的には、看護師さんへの健康相談、骨密度の計測、スマートフォンの使い方相談、振り込め詐欺を学ぶ機会の提供、などが行われています。


そんなユニークで、ビジネスだけで無く地域貢献に繋がる取り組みをされている三刀屋郵便局の局長さんですが、
以前は、地域貢献する為にガツガツと行動を起こすようなタイプでは無かったと言います…!!

なぜ局長さんは今のようなチャレンジをされたのか?
昔と今とでどういった心境の変化があるのか?
等々、

気になることを局長さんにインタビューしました!


「うんなんミライチズ」では、多くの住民さんに楽しく関わっていただきながら、一緒にまちの未来を作っていきたいという想いがあります。

三刀屋郵便局の局長さんが、なぜ地域に関わろうと思われたのか?
そのエピソードに、大切なヒントが沢山詰まっていそうです!

───早速ですが、局長さんは「雲南市」のどんなところが好きですか?

年を取る度に、自然がいいなぁと思います。自然の中でゆっくりするのが好きです。
あと、程よい距離に買い物ができる場所もあるし、松江や出雲も近くにあるし、生活もしやすいですよね。
逆に、人や建物が沢山あるところは苦手で、雲南市はとても住みやすいと感じますね。

───雲南市はのどかで癒される町ですよね、共感します。他に雲南市の地域についての印象や、他に思われることはあったりしますか?

市内では様々な町の郵便局で勤務をしたのですが、住民性の違いがあることも面白いと感じます。
雲南市は、元々別だった6町村の地域が、2004年に合併してできているので、違いはあるなあと感じました。

───そうなのですね!合併後の地域歴の方が長い20代の私たちからすると、そこまで実感する機会は少ないのですが、どういった時にそう感じられたのですか?

木次は商売の町ともよく言われますが、郵便局の仕事に関しても頑張り屋さんが多い印象がありました。
三刀屋は、地域の人との距離が近くて、仕事だとしてもビジネス感が強く出すぎず、情を持ちながら仕事をするというか、みんなと楽しく仕事ができれば良い、というような雰囲気がありました。
吉田は、人口密度や町のつくりの関係もありますが、自ら会いに動かないと人との交流が作りづらいところもあり、落ち着いている地域という印象がありました。でも、人の温かみはとても感じました。
その他にも、いくつかの町で働きました。

───とても興味深いお話ですね!様々な地域の郵便局で働かれる中で、なぜ三刀屋郵便局で「まちの保健室」の活動したのは、どういったキッカケがあったのでしょうか?

「まちの保健室」は、雲南市、日本郵便、地域で健康づくりに取り組んでいる「コミュニティナースカンパニー株式会社」の3者で協定を結び、雲南市で取り組みがスタートしました。

雲南市内では、18の郵便局があるのですが、それぞれ規模感や特性が大きく異なります。その中でも、従業員数や地域特性等を加味して、温泉、三刀屋、加茂、の3つの郵便局がモデル拠点として選ばれました。

───市や会社との繋がりの中で活動が生まれてきたのですね!

そうなんです。今の時代、郵便局に来なくても、コンビニやオンラインで便利に手続きが済む時代です。そのため、郵便局に来る人は減ってきました。
だから今は、せっかく郵便局に来てくれたなら、来てくれた人のためになる情報をお渡ししたり、機会を作りたいという想いで、活動をしています。

───とても素敵な思いですね!そういった想いに共感されて、三刀屋郵便局でも取り組みをスタートされたのですか?

いえ、実は私は、「まちの保健室」には最初、そこまでノリ気じゃなかったんです。
医療関係の方々と会議に参加する機会が多く、私たちには医療の知識は無いですし、業界も全く異なるので、場違いだなーと感じていました。

───そうなのですね!いつも「まちの保健室」で地域の方々のために精力的に動かれている局長さんを見ているので、とても意外でした!
でも、想いが段々と変わって行ったのでしょうか?

そうなんです。
普段関りが無かった、医療関係の方々と関わり続ける中で、お互いの強みが違うことに気付いたんです。
医療関係の方々には医療の専門知識があり、私たち郵便局には地域住民との繋がりがある。
だから、医療関係の方々が地域で活動しようとした時に、私たちは住民さんを繋げてあげたり、住民さんが集まる場を作るサポートができると思ったんです。
最初は、場違いだと思っていましたが、逆にその"違い"があるからこそ、お互いにとって嬉しい、新たな取り組みができると感じました。

また、まずはやってみよう!ということで、イベント形式で「まちの保健室」を開催する中で、実際に地域住民さんが喜ぶ顔を見て、作り甲斐や手ごたえを感じたことも大きかったです。

───異業種の人と関わり続けたり、チャレンジをしていく中で、考えが変わったのですね!最近も、嬉しさを実感されたエピソードはありますか?

市内の医療系の会社さんからアイデアを出していただり、新しく人を繋げていただき、障がい者の方が描いた絵を展示する個性展を三刀屋郵便局で開催しました。
そこで、絵を多くの方に見ていただいたり、感想を言っていただくことで、障がい者の方々が自信を持ち、今では主体的に展示会を開こうと動き出しています。
自分がしたことが、多くの人の目に触れたり、嬉しい感想をいただける機会があることで、人は勇気を持ち行動するようになるんだなと感じました。

───とても素敵なエピソードですね…!まさに主体的に地域に関わる人を増やす上で、とても重要なことだと感じました。
郵便局長さんは、最初からこういった地域想いの方だったのですか?

そうですね。地域想いだったのは昔からだと思います。
そもそも、郵便局に勤めている人は、そういった意識の人が多いんです。

───郵便局で働く人は、地域や人を想い行動する意識が皆さんあるのですか!

今では「おせっかい」という言葉を市内でも多く聞きますが、私は「おせっかい」という言葉に最初に違和感がありました。
郵便局は活動理念がしっかり掲げられていて、「世のため人のため」という意識を持っている社員は多い印象があります。
郵便局は企業性と公共性の両方を持つ組織なので、元々、地域の為に動く組織でもあります。
普通の会社では、会社の外に出て、地域の人から役職名で呼ばれる人はいませんよね?郵便局は、外に出ても、地域の方から役職名で呼ばれ親しまれています。私も、外に出ても、「局長さん」と呼ばれています。

───確かに、三刀屋郵便局はいつ行っても、職員さんにとても笑顔で対応いただいています。それも、皆さん自然と、自分がやりたくてやっているような。
私は普段、東京の会社に勤めていて、理念経営を掲げる多くのベンチャー企業を見てきましたが、三刀屋郵便局には叶わないというか…また何か全く違う感じがします…刺激をいただきます…!

でも、そう言えば、思い返すと、私は社員時代は今ほど地域を想っていた訳では無いかもしれません。
郵便局長になり責任範囲が増え、より、地域に対して貢献したいと意識して取り組むようになったと感じています。

私は20年間で6回郵便局を移動した経験から、自分から新しいところに飛び込むことは凄くエネルギーがいるけど得るものも多い、ということに気付きました。
そう言った意味では、社員時代から、新しい人と出会ったり、チャレンジをすることの良さや面白さやは知っていたのかもしれません。

───自分の役職や役割、も大事なキーワードかもしれませんね。また、社会人の経験からも新しい感性が自然と身に付くこともありそうですね!

また、仕事をしながら、こういった他の活動をするのはとても楽しいと感じます。
異業種の人たちと関わる中で、これまでの固定概念には無かった考え方、仕事の仕方を知ることができ、刺激をいただきます。
外の世界の人たちと新しいことをするのは良いなーと感じます!

───一歩踏み出すことで、色々と楽しい世界が見えてきそうですね!
 今後の「まちの保健室」については、どのように思われていますか?

あまり大きなことは言いたい性格ではありませんが、「まちの保健室」を、もっと市内に広げていきたいと思っています。
最近はAIの時代とも言われるけど、やはり何かあった時に助けてくれるのは機械じゃなくて人だし、人と人との関りを重視していきたい。
雲南市には、それがある(人と人との繋がりがある)と感じています。
多くの人が出会ったり、自然と普段合わない異なる立場の人同士で会話が生まれる「まちの保健室」には、可能性があると思っています。

───活動が広がれば、雲南市がもっと素敵なまちになりそうですね!

そうですね!
市内の近所では、他人の家の草刈りや雪かきを当たり前のようにこなしている住民さんがおられます。
そう言うのを見ると、自分がやっている活動は、全然当たり前の事というか、まだまだ頑張ろう!と思えます。
また、最近では、用事があって横断歩道の周辺をうろついていたところ、商店街の中の目立ち辛い横断歩道だったのですが、短い数分の時間で3台も車が止まってくれて。
やはり島根県民や雲南市民には情があるというか、まだまだ地域に希望はあると感じました。

───その県民性というか市民性、とてもわかる気がします。
 そんな雲南市で、地域に関りながら、やりたいことを楽しく自然と行動に移す人を増やすためには、どういったことが大切だと感じますか?

「のぼせるようなモノ」「関心があること」「楽しいこと」
これらがキーワードだと感じます。
如何にやることが楽しいと感じるか?が重要ではないでしょうか。
これまでの様々な活動で、何かワクワクしている関心ごとを持っている人を「一緒にやらこい」と誘い、結果的に独り立ちするくらい自主的に活動していく人を見てきました。
まずは、自分が関心がある、ということから、やってみることが重要だと感じます。

また、機会を作る側としては、継続することの重要性を感じています。
「まちの保健室」も継続していくのは大変ですが、定着してきた時にもっと大きな喜びがあります。
今後も継続して、もっと関わる人、喜んでくれる人を増やしていけたらと思います。

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