【短編連載小説】運命の糸は群青の色をしている #01

“運命の人”

そんなの信じていなかった。



『って言うことだし。お相手さん、イオリスさんと本当は戻りたいんじゃないのかな?』

 冷静な、まだ男友達でもなかった人の占いにみさき(イオリス)は瞳を暗くした。


 変われる事なんてない。

 変えたって、またやり直そうって言ったって、冷たい刃のような言葉で元彼は私を傷付けてくるだけ。

 直感で連絡が来そうと思っても、それを元彼は察しているのか、必ず胸を躍らるだけ躍らせて連絡をよこす訳がない。

 復縁に対して不快感しかない。

 そして、それに伴うように、体に指や身体を絡め取られている感覚があった。


 気持ちいいけど、気持ち悪い。


 きっとこれは、元彼の念だ。

 徐々に気持ちいいと気持ち悪いの感覚は快楽に変わっていった。

 その代償に、日に日にみさきの身体は蝕まれていった。


[ねえ、海流かいる君。私、段々身体の調子がおかしい。呼吸が浅くなってる気がする]

 みさきの一言に、海流は彼女の異変に目をつけた。

『やっぱりね、イオリスさん。君さ、元彼の生き霊に取り憑かれているよ。

 日に日に君が枯渇していくのを僕は見ているからね』

[どうしよう…。取りたい]

 偶然にもみさきと海流は、霊感が強い体質だった。だから、速攻、ネットを介して、除霊が行われた。

「はう…。苦しかった…。疲れたー」

『まさか、一体の生霊で、あんなに強いとは思わなかったから。でもびっくりだよ。

 君にも龍神がついているとはね。しかも雷とは』

「?何年か前に、県内の大神宮で参拝した時に着いてきた龍神様だよ。ナポレオンっていうの」

『へえ、ナポレオンっていうのか』

 みさきにはうっすらとだが、海流とナポレオンが仲良く話しているのが見えた。

『ナポレオン、イオリスさんを元彼の生き霊から護るんだよ』

 ――うん!

『もしまた何かあったら教えて。力になれる事があれば、助けるから』

「うん、ありがとう」

『さて、疲れたろう。今日はゆっくりおやすみ』

「うん。ありがとう。おやすみ」

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