世界の表現の仕方を知るっていうのが勉強の人
思い出のよすが。幸せ逃げちゃった。
今度の木曜日、人と会う約束してて、でもそれアテが外れそう。なんだか仲良くなれなさそう。そうかもしれない。だって天気予報もどうにかこうにか、晴れかも雨かもだし。
ああ私はあの人と会うことが嫌なのを、自分一人で主張できず、気象庁に頼ってしまう。
ばかな私。生きてる意味ないわたし。そんなことないわだって明日には元気になるもの。たわわに実った夢の理想の果実、ああ、ああ、私にはいつ、一体いかなるときに私の掌におさまるのかしら。
情緒、こちらは世紀の厄介者。記憶、これは定番の悪逆非道者として知られている。
情緒、いらない子。記憶、持ってると損するもの。
どうだろうどうでしょう? 知らないかな知ってるはず?
そういう時代が、私qbcにもありました。錯乱のというか、錯乱にたえうる気力体力がまだあった時代といいますか。しっとり、なめらか、すべるように何者かが私の意識の主調を奪って平気な顔してみだりに人生、まどわさせてきます。
残念です。残念ですがここで。
と思う2024年5月19日10時42分に書く無名人インタビュー766回目のまえがきでした!!!!!
【まえがき:qbc・栗林康弘(作家・無名人インタビュー主宰)】
今回ご参加いただいたのは 村松慧 さんです!
年齢:30代前半
性別:男性
職業:就労支援福祉事業の利用者
現在:聞いてるうちに、頭にくるけど言ってることは合っているなと思い始めたんですよ。
erica:今、何をしている人ですか?
村松慧:就労支援のA型で働きながら、今、趣味を探したり人と関わる機会を増やそうと頑張ってる感じですかね。
erica:お仕事の内容は?
村松慧:福島なので工業地帯なんですよ。そういったところの、よそに任せてもいい作業を内職として発注していただいて。一つ当たりの単価が決まってるものは、一応簡単な組み合わせとか組上げとか切断をやって納品する形が主ですね。
erica:こちらのお仕事は始められてどれくらいですか?
村松慧:1年半とかになるかな。
erica:1年半やってみていかがですか?
村松慧:過去の話でもあるんですけど、ちょっと引きこもりの時期があったから。外に出るのが結構大変な時期もあって。昨年の12月は休職するぐらいに落ち込んだりはしたんですよ。
なんとか続けてて。また違うお仕事に移ってみようかなっていうぐらいには気持ちが上向いてきたかなって。
erica:上向いてきたのは、最近ですか?
村松慧:ここ最近ですかね。
ちょっと人と関わろうということで、休日に人が集まる集会とかに参加するようになって、段々と。
erica:具体的にどんな集まりに参加しているんですか?
村松慧:まず、哲学カフェというイベントがありまして、そちらに参加してます。
erica:どんなイベントですか?
村松慧:福島大学の教授が中心となって、テーマを一つ決めて多様な意見を出す場ですね。
erica:どうして参加しようと思ったんですか?
村松慧:自分がかつて哲学とか倫理とかに興味があったのと。本でいろいろ読んだりして、その上でそういう知識を話しても良さそうな場所はどこかないかと思って探して。行き当たったのが哲学カフェでした。
erica:実際に参加されてみて、いかがでした?
村松慧:とりあえず、思っていたより専門的な話は出てこないんですけど。自分が思ったことを素直に言っていいっていう雰囲気がとても心地いいですね。
erica:どうして心地よさを感じられるんですか?
村松慧:基本的に、自分の意見を否定されることはほぼない。あくまでも批判的に、私の意見はこうですがその点についてはどうお答えになられますかっていうのが多いんですよ。
そういうやり取りが大好きなんです。普通に何でも思ったこと言っていいんだっていうところですかね。
erica:他にも参加しているものはありますか?
村松慧:教会に行ったり、当事者会に参加したりしてます。
erica:それぞれ何をされてますか?
村松慧:教会は、最近参加し始めてミサに参加する程度なんですけど。ここで何かお手伝いしてくれませんかっていうお話もあったりするので、これからちょくちょく行ってみようかなと。
当事者会の方は、精神疾患を持っている人が集まって、自分の経験をこうだった、こういうことを思っていると話し話すところ。そういう意味では、ちょっと中身が哲学カフェに近いようなところはあるんですけど。
前提が、精神疾患を経験している人というところで。共通点があるので、安心感があるという意味で、もうちょっと前から参加してるかな。
erica:そもそも、人と関わろうと思った時期っていつ頃ですか?
村松慧:人と関わろうと思った時期は、自発的にはここ最近ですね。当事者会に行き始めたのが最初ぐらい。
erica:どうして当事者会に行こうと思ったんですか?
村松慧:自分の精神疾患は、統合失調症なんですけど。幻聴で人に関われとすごく聞こえてきて。それがきっかけで探しました。
erica:なんで幻聴通りに行動しているんですか?
村松慧:具体的に言うのはちょっと難しいんですけど。
気に入らないことに対してめちゃくちゃ論破したりしてたんですよ。でも、論破しきれないところがあって。
聞いてるうちに、頭にくるけど言ってることは合っているなと思い始めたんですよ。自分が人を遠ざけていたとか、人と協力して何かを作り上げた経験が少ないとか、それは図星だなって思って。
全部が全部ではないけど、聞こえてくるもので、腑に落ちるというか、受け入れていいと思うものは、自分の行動に反映させていこうと。
erica:実際に反映されてみて、どう感じてますか?
村松慧:ちょっとは変わったのかなみたいな。以前より、人に対して寂しいとか怖いとか感じなくなってきたかなとは思います。
erica:今は人に対して、どう思うことが多いですか?
村松慧:それなりに興味を持つようになったかな。前は、寂しい自分を認めたくなかったんです。寂しくないと思いたくなかったから、興味をまるっきりブロックしてたんですけど。
ちゃんと話を聞くようになったし、ちょっと話すようにはなったかな。そうでなかったら、このインタビューとか絶対応募しないですからね。
幻聴の話になっちゃうけど、残ってるメモが一応あるんですよ。ルーズリーフ20枚ぐらいあるんですけど。全部は無理だな。全部はちょっと無理なんで。
erica:最近何か印象に残っていることはありますか?
村松慧:インパクトがあったのは、久しぶりに一目惚れしたことですかね。
erica:久しぶりに。
村松慧:本当に20年ぶりぐらい。精神疾患の期間が長いから、そういったことを感じない時期の方が長かったんですよ。
この人可愛くて素敵って、胸がキューってなったのは本当に久しぶりで。最初はなんだこれみたいな。本当に小学生からやり直しみたいな感じですけど。
erica:その時はどんな反応だったんですか?
村松慧:心臓の辺りがキューってなって。隣に座ってお話したいなとか、目が合うだけで嬉しいなとか。自分で言っててめちゃくちゃ可愛らしくて恥ずかしいことを感じましたね(笑)
erica:久しぶりにそういう感情を味わってみていかがでした?
村松慧:俺まだ生きてるみたいな。一時期は、本当にドツボでした。自分が生きてるか死んでるか全く分からない時があったんですよ。名前も住所も知ってるけど自分のことと思えないというか。
それに比べると、割と人間らしい生活が始まったかなって感じですね。
erica:一目惚れされた方は、どんな風に見えますか?
村松慧:パッと見の印象は、小柄なんで大人しそうとか、言葉遣いもあんまり強くなさそう。人に自分の感情を思いっきりぶつけるような感じじゃなくて、受け取りやすい形で出してくれそうだなと。
多分そう感じたから良かったのかなと思うんですけど。
erica:ちなみに、どこで起こった出来事だったんですか?
村松慧:哲学カフェのイベントが終わった後に、食事会みたいなのをやるんですよ。そこでというか、哲学カフェでパッと見た時にそう思ったんですけど。
erica:ご自身の性格についてはどう思いますか?
村松慧:内弁慶ですね。人がいる前では、まあ喋らない。言葉と考えている内容をめちゃくちゃ選んで選んで選び抜いて。
だから、内向型というより内弁慶が合ってるかな。自分ではそう表現したいですね。
誰もいない道路を一人で自転車でかっ飛ばしている時はめちゃくちゃ喋るんですよ。思いついたことをとりあえず言葉にして、そこに自分でツッコミを入れるのを延々とやってるんですよ。
erica:内弁慶は、人がいる場所だと基本的にそうなんですか?
村松慧:そうですね。
自分としては、言葉を選んでる時間がものすごく長くて、会話についていけなくて、結果黙ってるみたいなところがあるんですけど。
社交的であろうとする自分のペルソナが大きいためにそうなってるのかなと。自分を素直に出すのがすごく苦手ですかね。
erica:言葉を選ぶのは、相手にどう思われるのか気になるところから来るんですか?
村松慧:いや、相手にとって最も受け取りやすくて最も伝わりやすい言葉はなんだろうっていう最適解を延々と考えて会話が終わります。
erica:どうしてそう考えるんですか?
村松慧:なんでだろうなー。それは多分、精神疾患になった時に人から遠ざけられているような感覚を覚えたことがきっかけで、相手にとって良い表現を選ぶようにした方がいいのかなみたいな。
自分がというよりも、相手にそう思ってもらうためにはどうしたらいいかと段々切り替えていったかな。で、こじらせたのは就職活動かな。相手のイメージに合わせて自分を作る方向に切り替わっていっちゃったから。
それで多分、精神疾患も悪化したのかな。自分の内側にこもる要素が段々増えていったんでしょうね。
erica:好きなことや趣味はありますか?
村松慧:割と本を読むようにしているのが一つ。好きなことで言うと、囲碁将棋とか釣りに行ったり。
意外と全身運動は結構好きかもしんないっすね。今日も自転車で20キロ走ってきたんですよ。
erica:20キロですか。
村松慧:近くに飯坂温泉があるんですけど。距離は片道12キロだから、24キロとか。
あと歌も好きかな。カラオケとか、コンサートに行って聞くのも好きですね。
erica:どんな本を読みますか?
村松慧:哲学関係はちょっと多いですかね。金融をちょっとプライベートでかじったりしたから金融系もあるし。あと自己啓発系も多いですね。
erica:なかでも、お気に入りの過ごし方はありますか?
村松慧:でもめちゃくちゃやるのは、瞑想ですね。ヨガにも一時期行っていたんですけど。そこから瞑想は常に心がけるようにしてましたかね。
erica:今もされてますか?
村松慧:暇さえあればやってますね。朝イチに窓を開けて座ってやったり、歩いてる時も待ち時間がある時もやるし。あとは、公園に行って椅子に座ってもやるし。
基本、朝起きた時と夜寝る時はやってるし。移動してる時も基本そうですね。歩いてる時は、自分の体が今どういう状態で動いてるかを意識するようにはしてますね。
erica:瞑想を始めたきっかけは?
村松慧:やっぱヨガかな。6、7年前に行ってたヨガで、今もたまに行くんですけど。そこでヨガのポーズをいろいろやった後にやった瞑想ですごく気分が良くなったので。
あと一応家が仏教なので、その影響もあるかな。
erica:気分が良くなった時の感覚ってどんな感じでしたか?
村松慧:頭の中がすっきりさっぱりしてるんだけど、自分が今まで培ってきたものが必要最小限きちんと骨組みが残ってるって感じ。
erica:今も瞑想するとそんな感覚になりますか?
村松慧:いや、段々なくなってきて、多分やりすぎなんですよね。やりすぎると病気になるっていうのがあるんで(笑)またちょっと本を買って、やり方を変えられればと思っています。
つい最近知ったんですけど、瞑想って、瞑想を閉じるっていうのがあるらしいんですよ。瞑想状態から元の自分に戻すということをやるものらしくて。
それを全くやってなかったので、多分俺はちょっと瞑想の悪影響を受けてる可能性があるっていう。
合計したら、本当に12時間ぐらいはやってますかね。起きてる時間の半分はやってるんで。
erica:逆に、やってない時ってどんな場面ですか?
村松慧:最近、ご飯食べてる時も、その感触に集中するようになってるから、やってない時間あるかなっていう。触覚はないけど、なんとなく食道とか通って胃に落ちていく感じが分かるんですよ。
今の勤務先で作業をやってる時も、動きが単調なのでヴィパッサナー瞑想というものを取り入れられるんですよ。自分の動きを逐一言葉にして、確認しながら動作を行うっていう。
コップを取る動きも、手を挙げる、手を伸ばす、コップを掴む、コップを上げる、コップを引く、コップを置く、で手を離すという。動きを分割して、一つ一つの動きを構成する要素に目を向けるみたいなものがあって。
それをやりながら作業してるから、やっぱりやってない時間は相当少ないですよ。めちゃくちゃ変な人です、僕は。
過去:言われた通りやっているのに、自分の望みが叶っているわけじゃないというギャップが大きかったです。
erica:幼少期の頃はどんなお子さんでしたか?
村松慧:やっぱり、人と関わるのが苦手みたいなところがありました。自分から相手に踏み込んでいくことが苦手、ちょっと怖いっていう。
erica:何に対する怖さですか?
村松慧:冷たい反応が返ってきたりするのが怖いなっていう。
erica:実際にそういう体験があったんですか?
村松慧:そうでしょうね。
erica:家族との関わりはどうでしたか?
村松慧:印象に残ってるのは、育児と家事に追われて大変で機嫌を損ねている母の印象がすごく強い。で、父も寡黙なので会話が相当少なかったかな。
erica:好きだったものや遊びはありましたか?
村松慧:戦隊モノと仮面ライダーですね。
erica:それはどういう形で遊んでいたんですか?
村松慧:合体するロボットあるじゃないですか。あれをカチャカチャカチャカチャやってたり。年齢が上がってくると、それがプラモデルになったかな。
仮面ライダーは、三輪車に乗って仮面ライダーになった気分になったりとか。
erica:特にお気に入りのシリーズはありましたか?
村松慧:戦隊モノはジュウレンジャーかな。入りがジュウレンジャー。恐竜なんですよ。恐竜の古代戦士なんですよ。みんな人間じゃないっていう。
erica:人間じゃないんですね。
村松慧:古代人なんで。
仮面ライダーは、歌が好きだったのはV3で、よく真似してたのはXかな。
あとは、BLACK RXっていう仮面ライダーがいるんですけど。それが一番最初かな。ちょうどその時期にやってたっていう。
erica:小学校に上がってからはいかがでした?
村松慧:一応、周りに合わせてスポーツもやってましたけど。意外と工作が好きでした。
画用紙の切れっ端あるじゃないですか。それをゴミ箱から拾ってきて。組み合わせてまた怪獣作ったりみたいなことやってましたね。
erica:昔から作ることは好きだったんですか?
村松慧:そうかもしれないですね。図工の課題で凝りすぎて時間に間に合わなくて、めちゃくちゃ怒られるとかありましたね。
erica:どこに凝ってたんですか?
村松慧:小物入れを作れって言われて、蜂の巣を模したかったんですよ。蜂の造形をめちゃくちゃこだわってやってたら、もう期限が終わって。肝心の小物入れは一部分もできてないっていう。
しかも蜂もできてないっていう。顎くらい。1週間かかって顎が1個できたっていう。
erica:1週間ずっと直してたってことですか?
村松慧:形が悪いと思って。リアルさがないなと思って、ずっとやってたんですよ。何か作る時は、リアルさが欲しくなっちゃうかな。絵を描くにしろ何にしろ。
erica:それってなんでですか?
村松慧:自分が思い描いたものが具体的になってほしいっていう思いがめちゃくちゃ強いんでしょうね。
絵を描くにしても、輪郭の線が微妙に1ミリとか違ったら、めっちゃ消してずっと同じ線を描いてました。それくらい、再現性みたいなものにすごくこだわるんで。
大学の頃にも、君は研究者以外の道で生きていけると本当に思っているのか、気は確かかって言われました。
論理がしっかりしないといけないとか、再現性とか。確実に誰でも使えるように、誰が見てもそれと分かるように形を作ることにものすごくこだわる。多分、そういう気質があったのかな。
erica:中学校や高校生活はどうでしたか?
村松慧:やっぱり、周りに合わせるのが大変でしたね。明らかに社会性の欠けた性格が、社会性のある人間と共存しようとすると、そういう不具合が起きると思うんですよ。
学生ノリってあるじゃないですか。わーいみたいな。僕あれ大っ嫌いなんですよ。大嫌いどころか、初めてそれを見た当時は、一体何のためにそれを行ってるか全く理解できなくて。
不本意も不本意で、心の底で不本意なんだけどとりあえずやるっていう。マジで俺、学生の頃から思ってたのと違うんだけどっていうのを延々と経験してますね。
erica:合わせてみようとして、いかがでした?
村松慧:鬱になりました。
erica:それはいつ頃?
村松慧:高校2年ぐらいの時ですね。合わせてるつもりだけど、なんか合ってないなっていう。遠ざけられていく感じがすごくあって。
結局、他人と比較してましたね。他人は仲良さそう、自分は違うみたいな。だから、無理やり合わせたゆえに多分そういう感じも出ちゃって。それで結果鬱になりましたね。
だから、自分を偽るのは本当に良くないです。それが結構尾を引いてて。素直に自分を出してないから、自分は見られていないっていう感覚がずっと残って、それに随分苦しみました。
erica:そもそも、他人と比較する感情はいつから持っていたんですか?
村松慧:それは、学生の期間に徐々に培われたもののような気がしますね。褒められるようにっていう。人が求めるように自分を作るっていう。まさに教育課程の目的そのものをやっていたんですね。
erica:でも、合ってない感覚もあったんですね。
村松慧:自分が望んでない自分であろうとするから。自分自身が認められてる感覚は全くなかったですよね。だって自分がそうやってるんだもんっていう。
その上で、こんなにやってるのに自分が望んでいる結果になってないみたいな。言われた通りやっているのに、自分の望みが叶っているわけじゃないというギャップが大きかったです。
erica:鬱になった後は、どんな生活を送られてたんですか?
村松慧:高校の頃は、最初はまだ勉強してたんですけど。段々、体を鍛える方に完全にシフトし始め、なかなかのアスリート体型になってましたね。
体重65の体脂肪率8%ぐらいっていう。で、体育館の壁登れて、ジャンプして1Mくらいのブロック塀超えたりしてたんで、めちゃくちゃ運動神経が良かったですね。
erica:大学時代はいかがでしたか?
村松慧:大学は、はい。最初は行ってたけど、また引きこもりがちな生活になってましたね。ゲームやるかゲーム実況見るかっていう。
erica:大学で研究者以外の道で生きていくのかと言われたんですよね。
村松慧:そうですね。
erica:言われた時はどう感じました?
村松慧:いや、実感ゼロでしたね。最初、通学するにも毎日朝ゲロを吐いて行ってたんですよ。はっきり言って、将来のこと考えろと言われてもそんな余裕ないっていう。
erica:それでも大学は行ってたんですか?
村松慧:なんとか労力を最小限にしてやってました。
erica:大学卒業後は、どんな生活を送ってましたか?
村松慧:一回就職して。で、そこで言われていた事前情報と違くて。やっぱ結構ショックで、もう辞めようみたいな感じで辞めて。
すぐ2ヶ月ぐらいで、近くのスーパーのレジのバイト始めて。そこは4年ほどやってました。
erica:どういう点にショックを受けたんですか?
村松慧:まず、勤務地選べるって言われたけど、いやそんな選べるわけないよって言われたのと、車買えって言われたのがデカかったですね。やっぱ田舎なんで必要だって。
でも、お金を貯めるために働き始めようと思ったのに、いきなりそう言われても困るって。そこら辺かな。
erica:最初に就職されたお仕事はどれくらいされてたんですか?
村松慧:研修3ヶ月を受けて本配属というところで、その話を聞かされて辞めましたね。あとノルマとかも言われて。
erica:そこから、どうしてレジのバイトを始めたんですか?
村松慧:単に奨学金返済のために、一番近いところで働こう。これ以外なかったです。
erica:その後は、どんな生活をされてました?
村松慧:その後は引きこもっちゃったので。その前に一応、職業訓練所に行って、また就職先決まったけど、また聞いてた話と違って、いろいろ思っちゃったんですね。
障害者雇用だから、やっぱ障害者を置いて数字だけ稼げればいいんだ、だから最低時給で最低の時間だけ働いてくれればお前に対して言うことはないよみたいな感じで。
数字としか見てないんだなと思った瞬間にズーンとしちゃって。引きこもって、自殺しようかなって薬飲むぐらいまでいって。で、死ななくて。
好きなことをやろうかなって思って、今に至るって感じですね。
erica:それは何年前の出来事ですか?
村松慧:5年前くらいですね。
erica:好きなことやろうって思ったのは、死ななかったのが大きいですか?
村松慧:そうですね。本当に死のうと思って、一応自分なりに実行したのに死んでないですからね。
erica:そこから、好きなことをやろうという考えにシフトしたのはどうしてですか?
村松慧:天命とか宿命と思わざるを得なかったですよね。制限かかってる薬をこれほど飲んでも死なないんだって。
後から聞いたら、それじゃあ死なないよと言われたんですけど。でも結局、死のうと思って自分がいろいろ調べて選んだことが死なない方法だったっていうところに、死ねないんやな、まだみたいな。
erica:そこからは、好きなことをされてたんですか?
村松慧:死に損なった後は、めちゃくちゃゲームやってましたね。ドラクエとモンハンを、プログラムされた要素はほぼほぼコンプするぐらいの勢いでやってましたね。
erica:その二つはそれぞれどんなところが好きですか?
村松慧:ドラクエは、RPGに触れた最初のゲームなので、めちゃくちゃこだわりがある。で、モンスターハンターは、動きが段々パターン化してくるところが面白いかな。
erica:動きですか。
村松慧:モンスターのグラフィックがあるじゃないですか。で、やっぱり動きが決まってるんですよ。本当の生き物じゃないから。
頭をちょっと上げたらとか、左足を一歩前に出した時とか。次に起こることが前もって分かるようになってくるから、いわゆる予備動作を見た瞬間に自分の行動を決定するっていう、その組み合わせ方が分かってくると、まあ楽しいんですね。
erica:自分の思った通りに動くことが楽しいということですか?
村松慧:予測通りというより、最適に動くっていう楽しさ。また最適解が出るんですけど。相手の行動に対して適切な回答を返し続けると、めちゃくちゃ短い時間で終わるんですよ。それが面白いっていう。
未来:そういうところで、哲学とか宗教とか、自分がこれまで得た知識から、こういう物事の捉え方があるよと共有して、それで気持ちが楽になってくれればいいなと思います。
erica:未来についてはどんなイメージをお持ちですか?
村松慧:明るいイメージは、割と楽しくやってる。楽しむことが上手くなってる。で、悪いイメージは一人ですね。
erica:どちらのイメージをより強く感じますか?
村松慧:それは気分によるんですけど。普段通りであれば、どっこいどっこい。
一人になるかもっていう悪いイメージがあるから、一人にならないように人と関わりに行くみたいなモチベーションにもなるので。今の自分にとってはそう悪いことじゃないと捉えてますね。
erica:楽しむことが上手くなったのは、どんな場面でですか?
村松慧:いや、そこをできるだけ何でもですね。できるだけ、広いジャンルの物事を楽しむ。
erica:それは意識的にですか?
村松慧:意識的にというか、楽しめる感覚を掴んでいるみたいな。全くの未知で暗闇に思えるような出来事の入口に立っても、わくわくして楽しんで進んでいこうという気持ちになる。それこそ会社を興したりなんだりみたいな、あれですよね。
erica:未来でやり遂げていたいことはありますか?
村松慧:できれば、哲学カフェみたいなことはやりたいかなと思いますね。あるいは、関わっていければいいかなって思うし。
あとは、リカバリーカレッジっていうのがあって。精神疾患の当事者の方と、医療の専門家の方と、その周辺の方が一緒になってどう生きるかを知恵を出し合うっていう。
この前説明会を聞いて、これは僕やりたいなと思って。そういうところで、哲学とか宗教とか、自分がこれまで得た知識から、こういう物事の捉え方があるよと共有して、それで気持ちが楽になってくれればいいなと思います。
erica:どうしてそう思ったんですか?
村松慧:ここでまた日常茶飯事の幻聴が出てきますよね。幻聴は、お前はクソほど勉強して専門知識ばっか持ってんだから、ちゃんと人のために使えよってめっちゃ言ってきたんで。
それをある意味確認するために、人と関わってみたんです。
erica:勉強を、村松さんはどう捉えてますか?
村松慧:まず前提として、資格試験とか試験になると僕はすごく弱いです。ほぼほぼ合格しない。
でも、哲学とか、曖昧さ。はっきりこうとは言い切れないんだけど、こういうものは確かにあるよねっていうものは、大体何でも否定せずにどんどん入れていけるんですよ。
勉強と言われると多分、今の一般に言われてる勉強とはまるで違くて。僕にとっては、世界の表現の仕方を知るっていうのが勉強です。めっちゃかっこつけましたけど。
erica:一目惚れに関しては、未来で思い描いていることはありますか?
村松慧:いやもちろん正直あるよ。あるよ(笑)落ち葉とかイチョウがある公園を手を繋いで歩いてみたいとかさ、ベンチに座って手繋いでいろいろ話したりとか、普通に思う。
でも、その先になるとちょっと分かんないですけどね。自分は今経済的にも苦しい状況だから。分からないけど、何かしらの関わりがあって、お互いに元気づけることがあればいいなと。
erica:そういう状態になったとしたら、どんな感情が一番初めに出てきそうですか?
村松慧:絶対不安になる。
erica:不安ですか。
村松慧:振られるかもっていう不安。今まで全部そうだから。
erica:相手の最適解を探すところは、その不安と関係しているんですか?
村松慧:それが強まったのは、多分レジのバイトをしてた時ですね。言ってることが分からないってもうほぼほぼ毎日言われたんですよ。
要約の仕方とか、まず要点は何か、キーワードは何かってめちゃくちゃ考えるようになったんです。その具体的なやり方については、多分メンタリストDaiGoさん系の本に書いてあります。
要は、専門用語の使い方としては、まず専門用語をポンと言うと。すると、相手はそれは何だって思うんですよ。やってないと知らないから。
で、興味を持ってくれたら、その説明を簡潔に分かりやすくする。さっきあなたがとった行動は、こういう専門用語で表せるんですよ、みたいな。そういうやり方を、接客業の場で実践練習めちゃくちゃ積んだ感じですね。
だから、相手に話す時は、不要なことを言わずにポンと一言言った方が早いですよ。知ってたら話が終わるし、興味がある時は話が深まるし、興味がなかったら相手は帰るんで。
これだけ受け取ってねっていうことをポンと言う方がめちゃくちゃ簡単で速い。接客業でそれを訓練しました。
erica:訓練して、何か変化はありましたか?
村松慧:めっちゃ頭使うから、めっちゃ疲れるようになりました。だから、多分そこに素直さがついてくるとめっちゃ楽になると思うんですけど。
自分が思ってることを率直に、でも心遣いがある言葉遣いでっていう。多分いろいろやらずに、それだけやっていればいい。
erica:もし、最初に就職された企業が説明通りの会社だったら、村松さんはどんな人生を送っていたと思いますか?
村松慧:勉強に勉強を積んで、プロフェッショナルになるための努力を常に欠かさないやつになっただろうなと思います。
葬祭業だったんですよ。なので、各宗教の儀礼のしきたりとか、仏具とか儀礼用の道具の扱い方、並び、手順とか。周辺の病院さんとの関わり方とか。
多分めちゃくちゃ勉強したと思う。ハマったら、そういうことをやらずにはいられない性格なんで。そんなんだから鬱になりやすいんですけど。
erica:極められていたと。
村松慧:極められないけど、極めるために常にやってたと思います。
erica:最後に、何か言い残したいことはありますか?
村松慧:ericaさんのお声が大変素敵で柔らかくて。
erica:ありがとうございます(笑)
村松慧:ぐらいかな。基本お任せしてるから、これを伝えたいっていうのが特にない。ここら辺が悪癖ですけどね。相手に任せすぎちゃうのが悪癖なんですけど。
ある本の受け売りだけど、貧しくとも乏しくとも生きることだけはやめずに頑張りましょう、かな。
この言葉が気になったら、中島義道先生の本を手に取っていただきたいんですけども。宣伝ですね、僕の大好きな先生です。絶対に嫌ってくるだろうなっていう先生ですけど。
erica:嫌ってくるんですか?
村松慧:『私の嫌いな10の人びと』という本があるんですよ。俺当てはまんな、先生絶対俺のこと嫌いだなと確信して。絶対嫌いやろ、この人って。
erica:でも、好きな先生なんですね。
村松慧:考えてることがすごい分かるんです。そのシチュエーションでこういう行動を取ってこう思ったっていうことが、めっちゃよく分かるーみたいな。
自分とここまでそっくりな人間に今まで会ったことがないっていうレベルでそっくりだと思ってしまう。実際にお会いしたことはないですけどね。
あとがき
インタビュアーを始めてから、人の感情や考えは、経験する出来事によって目眩く変化するものと捉えるようになりました。
今を絶対視しないようになって、変化やそれによって生じる痛みを回避するのではなく、なるべくそのまま受け入れるような態度を意識的に取るようになった気がします。
意識的に楽しむという村松さんのお言葉に、自分自身の経験を重ねたインタビューでした。毎回こうやって誰かの話を聞ける時間があることに感謝して。
次回の無名人インタビューもお楽しみに!
【インタビュー・編集・あとがき:erica】
#無名人インタビュー #インタビュー #就労移行支援 #統合失調症
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