フィギュアスケートを見て、初めて「生きたい」と思った話 【後編】

6月23日。
いつも一緒にスケートを見に行っていた友達が入手したFantasy on Ice 2024を観に行った。

近頃、全く外出できなくなっていた自分が、大人数が集まるアイスショーに行けるのか不安だったが、気分転換になったらと思った。
会場は超満員で入口からすでに人で溢れていて、怖いと思う気持ちが確かにあったが、それ以上に楽しみだという気持ちが湧いてきて、いつもは気になって仕方がない他人の目とか、声とか、不安要素が全部スーッと消えていった。

オープニングナンバーは昔からずっと変わっていない(と私は思っている)曲で、その曲が流れた瞬間から自分の感情のすべてが楽しいに変わって、心の扉にかかっていた閂が外れたような、自由になったような気がした。

田中刑事、織田信成、友野一希、ステファン・ランビエール、ハビエル・フェルナンデス、アダム・シャオイムファ、チャ・ジュンファン、デニス・バシリエフス、宮原知子、坂本花織、三原舞依、ガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン組、ライラ・フィアー&ルイス・ギブソン組

どの選手もすごく素敵で、ゲストアーティスト(石井竜也・一青窈・家入レオ)とのコラボも最高で、本当に夢のような時間だった。

坂本花織と家入レオのコラボ、「Shine」が中でも印象に残っている。
家入レオの優しく力強い声と、坂本花織のパワフルかつ繊細なスケートと、本当に素敵なコラボだと思った。
そして、「Shine」の最初のサビ

”You can shine 変わらないものはいつもここにあって もう失くさないで 感じる力 君は持ってるから”

会場のライティングが一気に華やかになって、笑顔で口ずさみながら滑る坂本花織を見て、楽しそうに歌う家入レオを見て、心に感情が一気に流れてくる感じがした。

楽しい
幸せ
うれしい
頑張りたい
また、ここに戻ってきたい

生きたい
自分のために、自分が幸せになるために生きていたい

言葉で表現できないくらい、幸せなポジティブな感情が一気に押し寄せてきて、これまでの1カ月半、それ以上、たぶん何年も心の中に閉じ込めてきた負の感情が一気に解き放たれて、すごく身軽で幸福で楽しいという感情で満たされていった。

これまで悩んでいたのがばかばかしく思えるくらい幸せで、楽しくて、この景色を見るために私はこれからの人生を生きていくんだと思った。この景色がまた見れるなら、どんなことでも超えていけるんじゃないかと思った。本当に本当に幸せで、これまでフィギュアスケートを見続けてきた中で初めての感情だった。

気が付いたら、坂本花織と家入レオの自撮りでパフォーマンスは終わっていて、スタオベしてる私の頬は少し濡れていて、口角が上がりきって、その余韻にいつまでも浸っていたかった。

それから、本当に時間がたつのはあっという間で、3時間のアイスショーは一瞬で終わってしまった。エンディング前のステファン・ランビエールとギヨーム・シゼロンのコラボレーションの儚さにまた号泣して、周回するランビエールと目が合ってハートを送ってもらって、何が起こったのかを脳が理解する前に幸せがどんどん止まらなくなって、あっという間に帰路についていた。
開演前は怖くて不安でしかなかった人混みが、同じ幸せを共有した仲間に見えて、不安が一切ない心地よい空間になっていて、自分が呼吸できる場所がちゃんとあることを実感した。

生きてまたここに戻ってこよう

そう強く思えた瞬間だった。
現実世界は簡単じゃなくて、頑張る理由もきっかけも、すぐに揺らいで見えなくなってしまうけど、あの日フィギュアスケートからもらった幸せを忘れないように、ここに書き残しておきます。

8月末のFriends on Iceもチケット取っちゃったから、それに向けて少し前に進みたいな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?