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日本で最も流行ったゲーム『人狼』その誕生から、35年にわたる進化の足取りを追う

ふるあた! 皆さん、こんにちは。秋山です。

本記事は『アナログゲームマガジン』で連載している、古今東西の推理ゲームを調べてレポートする『推理ゲームふるあた』の第7回です。連載ではありますが、ひとつひとつの記事は独立しているので、気になった回だけ拾い読みいただければ幸いです。第1回と第2回が無料記事で、第3回以降はそれぞれ100円で販売中です。

本記事の序盤は無料でお読みいただけます。途中から100円の有料記事となりますので、試し読み部分で「面白そう!」と感じていただけましたら、ご購入を検討いただければ幸いです。

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前置きは以上となります。早速、本題に入っていきましょう。

はじめに

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今回のテーマは、正体隠匿です。

正体隠匿ゲームにおいて、各プレイヤーには、ゲーム開始時になんらかの役割が与えられます。役割に応じて、ゲームの目的が変化し、お互いに自身の役割を伏せたまま、ゲームを進行することになります。役割、すなわち自身の正体を隠匿(秘密にすること)するから正体隠匿ゲームと呼ばれます

正体隠匿ゲームの代表は『人狼』です。

『人狼』は数あるゲームのなかでも、国内において屈指の人気を誇っています。テレビで放送されたことも数しれず。小説、マンガ、デジタルゲーム化も盛んで、日常的にゲームに慣れ親しんでいない方も知っている、もしくは遊んだことがあることでしょう。

推理ゲーム、という観点で考えますと正体隠匿ゲームは、他プレイヤーの正体を推理するゲームと言えます。たとえば『人狼』は、村人目線では、人狼を処刑するゲームなので、まさしく人狼の役割を引いたプレイヤーを推理するゲームと言えます。

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正体隠匿ゲームの歴史に入っていく前に、非対称ゲームとの違いについて説明させてください。

非対称というのはボードゲームにおけるメカニクスのひとつで、プレイヤー間で偏りがあることを指します。たとえば使用するカードデッキが異なり、与えられる情報が異なったり、ふたりもしくはそれ以上のプレイヤー間で扱いが対称的でないことを意味します。

推理ゲームの系譜で言えば、代表作は『スコットランドヤード』です。こちらはゲーム開始時点で、プレイヤーのひとりが怪盗役となり刑事に捕まらないよう逃げ回ることを目的とし、それ以外のプレイヤーは刑事役となり、怪盗役のプレイヤーを捕まえることを目的とします。

正体隠匿ゲームと非対称ゲームの最大の違いは、役割が分かっているかどうかです。どちらのゲームも、他プレイヤーやその心中を推理するゲームではありますが、役割が伏せられていれば正体隠匿、明かされていれば非対称と言えます

正体隠匿ゲームの年表

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まずは『推理ゲームふるあた』恒例の年表を作成しましたので、ご覧ください。

詳しくは後述しますが、正体隠匿ゲームのはじまりは『人狼』の元になったゲームである『Mafia』(1986年)。そして、正体隠匿に対するボードゲーム的なアプローチはアレックス・ランドルフとレオ・コロヴィーニによる『インコグニト』(1988年)と言えるでしょう。

コンポーネントの存在しない、いまで言う紙ペンゲームとしてはじまった『人狼』は、2001年にカードゲームとして販売され、そこから爆発的に世界中で広まっていきます。2000年代前半は、まさに第1次人狼ブームと言えるでしょう。

世界的なブームとなった『人狼』は、もちろん日本にも即座にやってきました。しかし、当初は一部のゲーマーの間でのみ遊ばれているに過ぎませんでした。やがて、じわじわと熱が広がり、そうしてテレビで放送されるなどして、一気にその名を上げ、2010年代前半に、国内では第2次人狼ブームを迎えました

ここから先の有料エリアでは、改めて『人狼』の歴史を振り返ると共に、正体隠匿ゲームの潮流や、その扱われ方を解説します。恒例の全作リストも用意しましたので、ぜひご購入もしくは、定期購読をご検討ください。

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