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ハードウェアの進化と共に、発展を繰り返す推理アドベンチャーゲームの誕生と未来

ふるあた! 皆さん、こんにちは。秋山です。

本記事は『アナログゲームマガジン』で連載している、古今東西の推理ゲームを調べてレポートする『推理ゲームふるあた』の第11回です(全12回)。

本記事の序盤は無料でお読みいただけますが、途中から『アナログゲームマガジン』の定期購読者のみが読める形式となります。試し読み部分で「面白そう!」と感じていただけましたら、ぜひ定期購読(月額500円、初月無料)をご検討ください。

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前置きはこれくらいにして、早速、本題に入っていきましょう。

はじめに

略して、推理ゲームふるあた

本連載では、アナログゲームにおける推理ゲームを、様々な角度から分析し、推理ゲームという概念を多角的に考えています。広義の推理ゲームを8種類のジャンルにカテゴライズし、順々に見てきました。

今月は、さらに推理ゲームについて深く考えるべく、アナログゲームという枠組みから飛び出して、デジタルの世界で発展してきた推理アドベンチャーゲームを見てみます。

推理ゲームふるあたの旅路

本編に入る前に、推理アドベンチャーゲーム(以後、推理ADV)について定義しておきます。この手のゲームジャンルに関しては、プレイヤーの数だけ定義があるかとは思いますが、本記事においては、以下のように考えます。

・テキストやグラフィックを用いて物語や登場人物が表現され、プレイヤーの選択の結果、物語や登場人物に変化が生じ、この繰り返しによって進行するゲームをADVとする。
・これに加え、プレイヤー自身がその頭脳を用い、物語を読み解いて犯人を推理する、トリックを暴く、謎を解くなどの推理要素を持つものを推理ADVとする。
・プレイヤー自身に素早いあるいは正確なコントロールを要求するアクション要素を多く持つものはアクションゲームとして省く。
・プレイヤーが操作するキャラクターが成長し、それによって進行するゲームはロールプレイングゲームとして省く。
・プレイヤーの操作の結果、複数の数値が変動し、それによって進行するゲームはシミュレーションゲームとして省く。

ゲーム要素に関しては複合的なもので、たとえば物語が存在せず、ただ密閉空間からの脱出を目指す謎解き要素だけのADVや、制限時間以内に選択肢を選ばなくてはならないといったアクション要素を持つADVや、キャラクターが成長するRPG要素を持つADVも存在しますが、本記事ではデジタルゲームにおける推理ADV全般を、広く捉えたいので、ある程度、柔軟に考えていきます。

また、これまでの連載でも、度々、語ってきましたが推理要素における重要なポイントのひとつに、物語を読み解くがあります。この点から、本記事でピックアップしている作品は、日本で発売されたもの、日本語版が存在するものを中心としています。海外作品に目を向ければ、また別の歴史、別の系譜が浮かび上がってくるかと思いますが、それは他の方にお任せしたいです。

それでは、本編に入っていきましょう。

推理ADVの年表

推理ADVの年表

まずは本連載恒例の年表をご覧ください。

ADVの歴史は、コンピュータゲーム『コロッサル・ケーブ・アドベンチャー』(1976年)にはじまります。本作はプログラマのウィル・クラウザー氏が、趣味の洞窟探検をゲーム化したもので、元々は娘のために作ったゲームです。全編がテキストベースとなっており、プレイヤーはテキストを読みながら洞窟内を探検する自分自身を想像し、ゲームを進めていきます。尚、ADVというジャンル名は、本作のタイトルに「アドベンチャー」が含まれることに由来するそうです。

『コロッサル・ケーブ・アドベンチャー』が一般に流通し、その派生作品と共にテキストアドベンチャーの名が広まる中、テキストだけでなくグラフィックを表示し、よりプレイヤーの五感に訴える作品がリリースされました。それが『ミステリーハウス』(1980年)です。謎めいた洋館からの脱出をテーマとした作品はヒットし、ADVはおおきく羽ばたいていきます。

国内における初の推理ADVは『ポートピア連続殺人事件』(1983年)と言って間違いないでしょう。堀井雄二氏がエニックス(現:スクウェア・エニックス)からリリースした作品で、後に発表された『北海道連鎖殺人事件 オホーツクに消ゆ』『軽井沢誘拐案内』と合わせて堀井ミステリー三部作とも呼ばれます。「犯人は○○」という言葉は有名で、ゲームを遊んだことはないけれど、このフレーズは知っている方も多いことでしょう(念の為、伏せ字にしておきます)。

ここから先の定期購読者向けエリアでは『ポートピア連続殺人事件』以後、国内においてどのような推理ADVが発売され、時代と共にどのような変遷を迎えたのかを見ていきます。また、最後には本記事を書くために調査した340作の全作リストも掲載しています。

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