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詩の「投稿欄」についてのお話会(5/26開催)のこと(その2)

 5月26日(日)松下育男さんと開催する予定の、詩の「投稿欄」をテーマにしたお話会のこと。
 松下さんとメールで軽く話したときに、「投稿欄の選者の声は、選評以外であまり聞いたことがない」という話になった。
 投稿欄の選評は、選んだ作品の特徴や惹かれた箇所について語っただけで、どうしても決められた文字数に達してしまう。合評対談にしても、そこで話したことのすべてを文字化することはできない。
 だから、そういう整った文字からはどうしても零れてしまうものについて話すのも、詩作を多面的に考える機会となって面白いかな……と感じ、この会をやってみようと思いついた。

 本の出版記念として、書き手同士の、あるいは編集者を交えた対談なり座談会が行われることがある。そういう制作の段階や企画の始まりについての話を聞くのが、わたしは昔から好きだ。
 もちろん本はテキストがすべてだと思っているので、作者自身がどんな人なのかは読むことにおいてあまり影響しないし、制作のエピソードを知ったからといって、内容の印象も変わることはない。
 それでも本を書き、作ることに関わる人の話を聞くのは面白い。何もないところから、何かがだんだんと現れ、一冊の本になってゆく。その工程自体も、もう一つの「読み物」だと思うから。

 詩の投稿欄についても、作品の選評をあとから訂正したり、言い直すことは決してないし、そこに書かれていることがすべてだと思う。
 けれども、一人の書き手が投稿作品をどんなふうに読んでいたのかについて、もう一人の書き手と交換することも、詩を読み、書くことをめぐる「もう一つの話」になるのかな……とも感じる。

 以前、松下さんのZOOMによる「詩の教室」にゲストとしてお招きいただいたことがある。わたし自身、松下さんが別の書き手をゲストとして呼んだ回の教室をその前に拝見していた。
 その教室のなかで、松下さんはゲストのすべての詩集を細部まで読み込み、その人の作品や創作について丁寧に質問をしていた。一人の書き手の考えや書き方や詩作の始まりについてなど、さまざまなことが伝わる濃い内容の教室だった。

 だからわたしはゲストとして呼ばれたとき、松下さんの詩や詩集についてもわたしから質問させてほしい、と提案した。対談の終了時間ぎりぎりまでゲストへの質問をくり返す松下さんご自身のことを話す隙間は、いつもそこにはないだろうと思ったから。
 そして、松下さんの教室に参加される方は、松下さんご自身の詩についてもきっと知りたいはずだ、とも想像したから。
 
 今回のお話会についても、松下さんはまず、「峯澤さんが一年の投稿欄の選考を通して考えたことをできるだけ聞きたいと思います」とおっしゃった。
 どちらかの本の出版記念のイベントであれば、対談する二人のうちの一人が聞き手となり、著者に質問し続けるのも自然なことかもしれない。
 けれど今回は、わたしと松下さんどちらもが「聞く人」として、そして「話す人」として、テーマごとにいろいろと考えられたら嬉しい。

 会を開くのは、自分の考えをあえて主張したいからではなく(そんな怖い人ではないです……笑)。
 わたしのようにいつもは一人で書いている人や、詩の投稿欄に興味を持つ人と、同じテーブルに座る時間自体を、わたしも楽しみたいから。
 もちろん、ただ話を聞きたいだけの参加者に対して、こちらから突然話しかけたり質問したりは絶対にしないのでご安心を(……笑)。
 それでも、何も話さなくても一緒に話していると感じられる、そんなリラックスした気楽な場にできたらと考えている。
(質問したい方は質問できる時間もちゃんと作りたい)

 詩を読み、書く人たちと直接会うことの楽しさを、わたし自身が改めて見いだせたら……。そんな予感のなかで。

◆お話会の日時について:
5月26日(日)14時~17時を予定(変更の可能性もまだあります)。東京都内のカフェでの開催を予定しています。

4月上旬に開催日時、場所、内容、参加費、申し込み方法について、改めてX(Twitter)やnoteで告知いたします。

参加者の定員は15名前後を予定しております。
今回は対面のみでの開催となります。
遠方の方には大変申し訳ありません。

松下育男さんは、定期的にZOOMによる詩の教室も開催しています。
松下さんのXやnoteでの情報をご覧ください。

お話会についての先日の記事。よろしければ、こちらもご覧ください。