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第1次京都遠征記(ただの一人旅)①          

令和5年2月3日~5日にかけて、私は21年の人生で初の「一人旅」なるものを決行した。世間一般からすればまぁ大したことではない出来事だろうが、私個人からするとかなりのビッグイベントだったから、その回想をまとめておきたいと思い、ここに記す。

そうだ 京都、行こう。

そもそもなぜ京都に行こうと思ったか。きっかけは京都迎賓館のプレミアムツアーの存在だった。ツアーのことをTwitterで知り、「たまには一寸遠出してみるか」と考えたは良かったが、それはまだ12月のこと。大学の期末課題も全く片付いておらず、まずはそのことで頭がいっぱいだった。

しかし、気持ち的には行く方向に傾いていた私は、「今度京都行くんだよね~」と周りに言いふらした。もう引き下がれない。

1月の半ば、課題も半分ほどは片付いてきたため、ツアーや旅館の予約をすることにした。なおこの際友人を誘ってみたが、「金がない」と一蹴された。金欠限界大学生ばかりで困る(特大ブーメラン)。当初、迎賓館のツアー+αの日帰りで済ます積りだったが、「どうせ京都に行くなら」と思い、日帰りが1泊に、1泊が2泊にと日数が増えていき、結局2泊3日で京都に滞在することになった。

旅館も温泉・朝食付きの2泊で1万円という格安のホテルを見つけることができたため、夜中に早速予約。京都行きは避けられないものとなった。

旅程計画を立てよう!

3日間も京都に滞在するのだから、そのあいだ何しようかという話になる。初日はお昼に京都迎賓館に行くことが確定しているが、それ以外は何も決まってなかった。幸いなことに、後期最後の授業で、何人かの教授に各人の思う京都の名所について聞き出すことが出来た。史学科の利点はこういうところにもある。先生方は高台寺瑞泉寺京都アスニーなどを紹介してくださった。特に京都アスニーは平安京を知るのに一番良いということだったから、ここは絶対行こうと決めていた。

そうして情報収集をしながら、旅程を計画していった。第1日は京都御所を朝から夕方まで回ることに決めた。御所に慣れている読者からすれば、「あんなところで1日中なにすんだよ」などとお思いかもしれない。ごもっともである。しかし、御所には御所そのものと迎賓館のほかに予約制の「京都仙洞御所」が存在する。これのツアーにもギリギリで申し込みができたのだ。朝の9時30分現地集合だった。

これはまずい。本来であればお昼前頃に京都に着いていればよかったのだが、余裕を持って行動するためには8時半には京都に着く必要が出てきた。この時間帯に間に合う新幹線は始発ぐらいしかなかった。その始発に間に合うためにもかなり早く家を発たねばならない。早起きの苦手な私は早速行く気を失いつつも、それに沿った計画を立てることにした。

結局、朝から夕方ごろまで御所周辺をブラブラして、そので四条河原のホテルへ向かうことにした。これがのちに甘い考えだったと判明する…

第2日には、二条城や京都アスニー、金閣といったいわゆる洛中・洛西エリアを回ることにした。金閣に向けて寄り道しながら北上し、その後金閣から四条河原までバスで一気に戻ってくる算段だ。

最終日の第3日では、ずっと気になっていた平安神宮にどうしても訪れたかった。なので朝に洛東エリアに向かい、夕方に京都駅まで南下してお土産を買って帰るルートを採用した。これも、私があるやらかしをしたことで大きく狂うことになる…

と、このように初日の計画では混乱するところもあったものの、2日目・3日目の計画はスムーズに決まった。初めての一人旅、入念な準備をして当日に備えた。

いざ上洛

前日は22時まで労働していた。朝早いというのにいつも通り気ままであった。とはいえのんびりしていたわけではなく、当然期待と不安とが入り混じっていた。特に、家に忘れてきたものはないか。あるいは京都で何か失くさないか。そこのところばかり心配していたように思う。

朝、最寄りの駅から電車に乗った。中にヒートテックをガチガチに着込んでいたが、やはり足元は冷える。6時、新幹線の始発前には東京駅に到着したが、当然駅弁屋などはまだ開いておらず、New Daysで牛タン弁当を買うことにした。

ホームにすでに止まっていた車両に乗り込むと、新幹線独特の”あの匂い”がした。座席は自由席だったが、乗車した時には2列席の窓側はほぼ満員の有様だった。偶然にも窓側も開いている席を見つけたので、そこに座ることにした。のぞみ1号2号車12のE席だった。

6時ジャストに東京駅を出発したのぞみ1号の窓からはまだ暗い東京の金曜日の景色を覗くことが出来た。車両が動き出したときの高揚感は今でも忘れられない。一人で出かけるなんて東京や神奈川が精いっぱいだったが、今この瞬間からそうではなくなる。やっぱり戻りたい、帰って寝てたいなんていうことは最早できない。しかしその一方で、人生で初めてほぼ完全な自由を得たのである。この葛藤がむず痒かった。


雪冠の伊吹山

興奮で大して寝ることなどできなかったにもかかわらず、新幹線では全く眠気に襲われなかった。流れる車窓・ほぼ初めて見る景色に見とれていたからかもしれない。

その車窓から見えたのは、どこまでも続く冬の山々だった。ふと、「太古より多くの日本人が見てきた山と同じものを見ているのだろう」と感じた。普段は都会の雑踏の只中にいて、山をこんな間近に眺めることは、ほぼない。その山々に、私は日本を感じた


右手に見えるのは比叡山(多分)
初日の朝食。すでに少し手が付けてある。

7時には東京駅で購入した牛タン弁当を食した。意外に米が少なかった。セブンのケチケチ弁当より少ねぇかな、という感じ。塩釜藻塩という塩がついており、牛タンにかけて食べるとなかなかにおいしかった。

腹も満たされ、また車窓を眺めはじめた。列車のスピードは下がってゆき、だんだんと高層ビルが増えてきた。名古屋だ。名古屋も名古屋で面白そうだが、それはまた別の機会に。ということで、数分の停車ののちに名古屋に別れを告げ、再びのぞみは加速しだした。

名古屋までは随分と長い間スピードに乗っていたが、名古屋~京都間はすぐだった。「あーあ、もう終わりか」などと少しばかり残念に思いつつも、降車の支度を始める。

ついに古都へ

8時8分、列車は京都駅に到着した。

京都駅

ついに来てしまった…」そんな感情に襲われた。家も、東京駅も遥か東である。戻ろうと思っても簡単には戻れない。頼れるような親しい人もいない。すべて自分ひとりで解決しなくてはならないのだ。

何はともあれ、京都に到着した私は手洗いを済ませ、早速京都御所へと歩を進めた。


To be continued…


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