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気が付いたら「未経験からWebデザイナー!」を実践していて、今は

 2020年に大きな感染症が世界中で流行して、テレビやネットのニュースに対してどこか他人事だった僕も、流石に堪えた。占いなどは自分にとって都合の良い啓示しかアテにしない主義だが、風水的には2020年は世界全体を通して「空気が入れ替わる」年だったらしい。関係があるかは不明だが、僕の私生活も世界の空気と同様全くもって恒常性を維持出来ていなかった。
 人生投げ打つテンションで活動していたバンドのメンバーが散り散りになったり、新しい生活に慣れず練習にも身が入らない様子になったり、ましてや当時特に感染症がネックとなり、音楽活動そのものがとてもセンシティブな活動のひとつにされて、そもそも集まっても不安感が拭えない状態。
 仕事に関しては、以前から高級オーディオの販売員として働いていましたが、当時のお籠り需要で特需を得られるかと思いきや、輸送困難な状況や、原材料の高騰の影響で、価格が2割から3割まで上がる事となり、なかなか売れ行きを維持出来ずモチベーションも落ちて来ていたんだろうな。2020年は自分の人生史上最も足踏みに精を出していた1年だった。

 2021年9月。なんとなく転職をしようと思いたつ。
「でも何がいいだろう」
とか考えながら自分が何が好きで、どんな人生を送りたいかをぼんやり考えていた。流石に15年以上音楽を続けている、今更さっぱり辞めるなんて選択肢を取るなんて出来ない。でも仕事もしないと食えない。オーディオは好きだが、割と二十代の間にオーディオの販売はやり切った感がする。
「靴修理の職人。眼鏡屋。服屋。」
自分の生活に根付いている物に関わりのある職種を思い付く限りリストアップして、煮詰まったらギターを弾いたり、noteを更新したりした。
 職人系の仕事に憧れはあったが、専門技術を身に付ける必要がある。出来れば今のオーディオの仕事続けながら家で修得できる技術は無いものかと、思案した結果パソコンがあれば勉強が出来る「Webエンジニア」という仕事に行き着いた。
 Web制作は今まで続けている音楽活動とは縁遠い感じもしたが、活動中はバンドのホームページの更新や、DAWソフトを使ったDEMO制作をパソコンでしていたから、個人的にはだいぶ取っ付きやすかった。

 決めてからの行動は早く、同年11月からそれらに関わる書籍を買い、寝る前に1時間から2時間は勉強する時間を作った。地道にコツコツ作業をしたのもあってフロントエンドエンジニアとして求められる技術をある程度修得したのが2022年の2月くらい。HTMLとCSSとJavaScriptを覚えた。
 ただひとりでずっと勉強していると色々と煮詰まってくる。自分の技術の今以上の定着を目指して、職業訓練学校に5月から3ヶ月間通う事を決めた。

 訓練学校に通っている間に、練習でWebサイトを転職活動用のポートフォリオサイト含めて合計で5つ程作ったかと思う。
 そのポートフォリオサイトを提げて8月1日から「いざ転職だ!」と履歴書を第一希望のデザイン事務所に送った。超絶ポジティブな僕は何故か「なんとかなるやろ」と思っていたため、他のデザイン事務所用の履歴書などは全く用意せず、一球入魂でその会社の面接に臨んだ。
 結果的には就職活動を始めて10日程でその第一希望の会社で内定を得る事ができた。
 長年音楽にかまけていて、モラルや常識といった社会性が著しく欠如していると自覚をしていたが、「思ったより俺、やるやん」と満足いく結果を得たので、舞い上がって新しい眼鏡を購入したり、9月に実際に仕事が始まってからは通勤用の自転車を買ったりした。

 しかしながら、現実はそこまで簡単なものでは無かった。
 9月から内定を貰った会社での研修期間が始まる。最初こそ戸惑いも多く足を引っ張ることがあったが、後半にはWordPressの扱いにも慣れ、サイトのWordPress化や、レスポンシブ作業といった業務を納期の内に終えられるようになっていた。研修を担当してくれた社員の方からも「イイね!」と応援されながら全く違う業界への転職を果たした気持ちになっていた。
 研修期間終了の前日。9月29日の終業後。会社の代表に呼び出され、契約更新の拒否を告げられた。寝耳に水。青天の霹靂。なんでもいいが、本当に驚いた時って相手の言っている言葉の意味が全くわからなくなる。
 「ちょっと契約更新は厳しいね」と言われてからも、しばらくは「ハイ!」と元気よく返事をしていたと思う。その後、代表から発せられた言葉が遅れて現実味を帯びてきて、そうなってくると意味を理解したくない一心で、元気な返事に拍車がかかる。それから無理やり腑に落として、最適なテンションの返事に持って行けた気がする。ほんの10分ほどの間だいぶ挙動不審だったと思う。

 理由はふたつあると告げられた。
「ひとつは、これから飲食業を立ち上げるにあたって忙しくなるので、新人研修に割くリソースが惜しい」
「もうひとつは、飲食店に強いスタッフを雇い入れたいので、やっぱりエンジニア職の人を雇うための人件費が惜しい」
とのこと。僕があまりにも役立たずだったのかと思えば、そうでは無かったので、安堵もするが、むしろ役立たず扱いされた方がまだ諦めが付いてマシだ。
 だいぶ一方的に切られてしまったので、取り敢えずハローワークにまた求職登録でもしないとと連絡を入れると、ハローワークより労働基準監督署への連絡を薦められた。この後一悶着あるが、特に重要じゃ無いし、長くなるので割愛。

 ということで、「未経験からWebエンジニア!」を気付いたら実施していたが、結果的には2022年10月1日から正式にニートになってしまった。雇い止めにあって最初の1週間は途方に暮れるだけの時間だった。僕の住む地域ではWebエンジニアの求人はかなり少ない。正直、途方に暮れる時間も惜しまれるが、体が全く動かなかった。
 研修期間に仕事を覚えようと寝る間も惜しんで勉強したが、僕には新しい眼鏡と無用の長物となった通勤用自転車だけが残った。流石に惨めな気持ちと、舞い上がっていた当時の自分に対する恥ずかしさが、一気に込み上げてくる。
 どれだけ腐っても現実は変えようが無いので、一旦この気持ちを落ち着かせ、noteに文章を起こし、意識的に溜飲を下げるよう試みる。
 幸い彼女が気を遣って顔を見せに来てくれたり、お向かいさんが行列の出来る老舗のお菓子屋さんで季節限定の栗餅を買って来てくれたり、親が遠方から晩飯を奢りに来てくれたり、スーパーでばったり会った先輩が僕を心配してシフォンケーキを買ってくれたりして、励まそうとしてくれた。

 今は、自分を気遣ってくれる人がこんなにいるんだなあと、感謝の気持ちを持ちつつ、元気に引き続き転職活動を続けようと思う。
 一旦とりあえず大手に頼るかってことでマイナビ転職に登録。案外ポンポン自分に合いそうな仕事を提案してくれて、「こんな自分でも合うものがあるのか…」と軽く自己肯定感と精神の安定を支えてくれたりする。


一言だけ言わせて欲しい。


「fuck!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」



ちなみに転職活動に使ったポートフォリオサイトを「これから勉強して作る!」って人は参考にどうぞ。


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