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【日記】ボカロ

スマホの機種変更の手続きを家でした。
訪問のかたちで手続きをして、そのとき来た人がおっさんオブおっさん。
スーツを着た50代後半から60代前半か、頭が半バーコード。げっそりしていて物腰は柔らかそうな雰囲気。
部屋に通し契約を一通りを終え、ちょっと間が空いた。
おっさんは言った。
「ボカロとかなさるんですか?」
ど直球だ。
部屋にでっけぇキーボードとMIDI入力するちっちぇえキーボードがあるので私がなにかしら音楽をやる人ということは察するだろう。綾波レイのフィギュアとかあるからオタクだとも思われただろうし。
まあいいか、と思って私ははい、やりますよ、と返した。
おっさんの表情がぱあと華やぐ。
「奇遇です。ミクちゃん持ってるんです、僕」
ミクちゃん、という表現。
初音ミクのことであろう。
なんていうか、私は初音ミクはしっかり初音ミクと思っていて特別ちゃん付けしたりしない。
誰がDTMをしようがボカロをしようが自由だし、おっさんだからどうこうというわけではないと思ったが、深く関わる相手でもないので適当におお、すごいっすねー、初音ミク使いやすいっすよねーと返事をした。
話題はボカロのことになった。ほとんどおっさんが一方的に話していた。
話によると、私と親と子くらい年齢差があるおっさんはボカロ黎明期からの初音ミクユーザーらしいことがわかった。
ワールドイズマインが出た時期にもうすでに自分も初音ミクでなにかしらをしていた、と言っていたから15年選手ということだ。そして今も趣味で曲を作っているらしい。
「お聴かせできないんですよね、恥ずかしくて」
おっさんは照れ笑いを浮かべている。
ひやっとした。
スマホの契約に使った私のGメールアドレスから色々検索したら、私個人の全体的な活動バレるんじゃね? と。
そっから芋づる式に音楽活動とか色々細かいことがばれんじゃね? と。
さすがにプライベートと仕事のアドレスは別々なのだが、その肝心のプライベートのアドレス名が今から2つ前の活動名だった。しかも、闇歴史にしたい時期の(活動名義を変えるくらいだからお察しだ)。デジタルタトゥーとしてしっかり残ってんだよなあそれ……
だけど、契約時にばっちり書いちゃった。疑いもなく書いちゃった。
その後のことは、もうおっさんの良心っていうか、私を顧客としてしっかり見ているかみたいな、性善説を信じるしか無い。でも家のパソコンで検索されたら終わるな。

あと、パスワードに恥ずかしい語呂合わせとか単語とかは使わないほうがいいということがわかった。
おっさんが復唱しながら笑いをこらえていたから。ちょっとおもしろかったけど。

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