ChatGPTについて：某野球ゲームで夏を謳歌するNLP修士の独白
皆さん、こんちには。
ユニゾンシステムズR&D部の榎本です。
今回は、まだ一般公開されてから2年未満であるにもかかわらず、今や様々な業務／システムに利用されているChatGPTについて、軽くお話しさせていただければと思います。
とは言ったものの、アルゴリズムがどうだの、活用術のアレコレだの、プロンプトのコツがどうの、とツラツラと薀蓄を語るつもりはなく、修士時代に自然言語処理（NLP）を専門としていた者としての私的な所感を書き綴らせていただければと思いますので、よろしくお願いします。
・生成AIの火付け役、ChatGPTの登場
ChatGPTが一般公開されたのは2022年11月ごろであり、当時は人間と遜色のない卓越した対話能力を持ったAIが現れたということで、世界中で大きな反響を呼びました。
かく言う私も、2022年3月に修士課程を修了したばかりだったのですが、当時のNLP界隈ではBertといった分類モデルを利用した研究が盛んに行われており、生成モデルによる研究はそれほど注目されていなかったため、突如として現れ、当時では考えられない精度で出力を返す生成AIには、度肝を抜かれた記憶があります。
それと同時に、私自身も研究テーマに生成モデルを取り上げていたため、"時代が追いついた"と少し誇らしい気分でもいました(笑)
・何でもできるわけじゃない！生成モデルの罠
さて、ChatGPTが一般公開されて以降、多くの人がその性能に触れ、感動したことかと思います。
適当な文章を入力し、適切な文章が出力される。このシンプルな機能に加え、言語的な破綻がないことにより、好きに文章を打ったら、何でも返してくれる万能ツール、といったイメージを持つ方が多いです。
その考えは間違いではありません。確かに、"何でも"返してくれます。
正しくは、"入力に対するそれっぽい文章"を返してくれます。
ですのでその実態は、人間のように文章の意味を捉えて返答しているのではなく、あくまで文脈に沿って、入力に対してどう返答するのが統計上最も適当であるかを計算して返しているだけに過ぎないのです（それでも、文法を把握して破綻のない出力ができていることには驚きますが）。
そのため、登場当初のChatGPTは計算問題（例えば、"707*707は何？"など）や「○○文字以下（以上）で出力して」といった文字数制限といった数字が絡む出力は不得手でした。
当たり前です。
人間でいうところの、「"ありがとう"のあとにはなんて返す？」と同じ感覚で「"100文字以下で出力してください"の後にはなんて返す？」と続く文章を問われているだけなのですから、実際の計算もカウントも行ってくれるわけではありません。
とはいえ、コレらはChatGPTの欠点というよりも、現在の文章生成モデルの主流であるTransformerモデルが持つ課題であるため、どうしようもないのですが……。
・AIの本領！着々と進化を続けるChatGPT
上でコレでもかとChatGPT（というか文章生成モデル）の欠点を論ったわけなのですが、あくまでも公開当初のお話です。
技術、そして、AIは常に進歩していくものであり、昨今においてその成長速度は加速度的に上がっています。
もちろん、ChatGPTにも同じことが言えており、現行のモデル（GPT-4o）で試してみたところ、ちゃんと計算問題も解けていました。
（生成モデルに計算を解かせようとしたのが原因ですので、ちゃんと計算特化であるプログラミングに落とし込んでますね笑）
また、出力の文字数制限に関しても、ちゃんと機能していました。
（コレは素直にすごいですね。前処理で文字数制限の部分を読み取って、内部でモデルのパラメータに設定でもしているのでしょうか？）
あまり複雑な指示だと、まだ難しいようです。
・さいごに
ChatGPTについて、かつて自然言語処理をテーマにしていた者として所感を述べさせていただきました。
特にこういったことを話す機会はなかったので、こういった場で発散することができて非常に満足しています（私的流用）。
また、ChatGPTそのものに関しましてはまだまだ発展途上であり、可能性は無限大な代物であると考えています。
個人的には、一部とはいえ人間の仕事を丸々肩代わりさせることには懐疑的ですが、VSCodeの拡張ツールなんかでも出ているように、サポートとして利用する（一度人間の目を通す）分には、大いに貢献してくれる存在ではないでしょうか。
この記事を読んでいる方で、まだ使ったことない方がいましたら、一度触ってみてください。
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