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リーグ最終節直前特別企画!! BOSS対談

     Spotlight  特別対談企画!!
   佐藤健さん ×   中野雄二さん
中央大学学友会サッカー部総監督    流通経済大学サッカー部監督


~経歴~
中野雄二(なかのゆうじ)
法政大学サッカー部を卒業後、高校教員5年半経て、プリマハム社会人チーム(後の水戸ホーリーホック)を指揮する。1998年から流通経済大学の監督に就任し、今に至る。全日本大学サッカー連盟理事長、関東大学サッカーリーグ連盟理事長も兼任している。
 
佐藤健(さとうけん)
中央大学サッカー部を卒業後、住友金属サッカー部(当時日本リーグ所属、後の鹿島アントラーズ)に入団する。選手現役引退後、鹿島アントラーズの下部組織を指導し、その後Sony仙台を指揮する。2002年から中央大学サッカー部に参画し2006年から監督に就任。現在は同大サッカー部の総監督のほか、関東大学サッカー連盟技術委員長を務めている。



○自己紹介

―お二人の関係性を教えてくだい。

中野さん:理事長と技術委員長は両輪で、連携が取れないと連盟はうまく機能しません。その点でも健さんの尽力で多くの指導者をまとめて頂き、また技術委員会が連盟の柱として実務全体をまとめてくださっています。
当時は今とは比較ならないほど上下の関係が厳しく、4年生は神のような存在で、他大学とはいえ1年生と4年生がこのように気軽に話すことができない時代でした。実は今でも健さんは心の中で 4年生の先輩である思っています。
健さんからは生意気な1年と思われているかもしれないですね。(笑)

佐藤さん:全然そんなことないです。(笑)

中野さんとは、現役から社会人チームそして今に至るまで長い間幅広く関わりがあり、他の人とは違う付き合い方をしています。今の大学サッカーをいい意味で引っ張っているのは中野さんです。日本代表やJリーグへの輩出など、自チームだけでなく大学全体を長い間考え継続してやってきたのは、俺と中野さん2人だと思いますね。
自分たちは長い間、代表などの環境で他の大学の選手とも親身に関わってきたので、今大学を卒業して海外などで活躍している選手がいるのは、本当に喜ばしいです。自分たちのやり方は間違っていなかったなと感じています。

○大学サッカーの過去と今、そして未来

―大学サッカーの昔と今を比較して、どのように変化してきたとお考えですか。

中野さん:単純に試合数が圧倒的に増加しました。私たちの頃は1部所属チームが8チームのみで、秋にリーグが開始したので7試合しかありませんでした。春はトーナメントはるものの、緊張感がなく「秋までは本番がないのか」という感じでした。高校生までのようなもちーベーションは生まれませんでした。だから、試合数の変化が大きいと思います。

佐藤さん:試合数もそうですし、技術的な部分の変化もあると思います。その1つの要因は指導者ではないかと思います。昔は立っているだけの監督が多く、今のような指導してもらえるような環境ではありませんでした。
その変化は、1993年にJリーグ発足が大きかったと思います。そこから徐々に変化し、特にここ5,6年で大卒選手が重宝され始めたことで、大学サッカーの環境の質は良くなってきています。人工芝のグラウンドが敷かれるなど15年前とは全く変わったなと感じています。

中野さん:Jリーグ発足当時は、皆高卒でプロを目指すようになりました。大学サッカーはそれまで頑張ってきましたが、そのような状況下で落ちるとこまで落ちたように感じがあったと思います。しかし、当時大学連盟に関わっていた多くの方が、どん底から色々な施策を積み重ねてきたことの延長上に私たちはおり、ちょうど実が成ったのが今だったのかなと思います。だからもちろん健さんや私らは頑張ってきましたが、その前段に悔しい思いをしながらも努力してきてくださった方々のおかげで、大学サッカーが充実していると言われる時代になったのだと思います。

佐藤さん:おっしゃる通りだと思います。さらに、ここ5,6年はJリーグのレベルも上がってきて、サッカーだけでなく精神的なところ、人間性のようなものも求められるようになってきました。大学4年間は人間性の構築に良い期間で、それが、大卒が重宝され始めてきた要因でもあると思います。

中野さん:プロになるという志を持って入ってくるのは素晴らしいことですが、プロの養成所ではないので、サッカーだけ上達すれば良いというものではないと日々学生に伝えています。人として成長することが、子供の頃からスポーツや芸術をやることが意義だと思います。もしその分野だけ発達して一時的にスポットライトが当たることがあっても、消えていくのは早いですよね。人間性の成長があるから人の魅力が生まれるし、才能の開花にもつながると思います。その環境が大学にはあります。例えば、サッカーに興味のない異なる価値観を持つ教員や生徒とも向き合う機会があります。そういう意味で人間性の幅ができる場所が大学なのではないかと思います。

―これからの大学サッカーに必要なことは何だと思いますか。

中野さん:これまでのやり方が間違っていたわけではありませんが、これからも同じ方法をしていては5年後も10年後も変化していかないと思います。
私たちは3年後の100回大会で結果を出したいと考えており、そのために今年、ホーム&アウェイ形式を軸に1会場1試合を行うという大きな変化を示し、来年再来年同ステップアップしていけるのかトライしています。

佐藤さん:ホーム会場にどう人を集めるのか、広報や企画を学生自ら考えることを、多くの大学で行いはじめていると思います。中野さんが言う変化の大部分は、サッカー以外の広報のような側面であると考えており、大人学生含めた大学サッカーの1番の課題だと思います。

中野さん:今でこそ、高校サッカー決勝は超満員に5,6万人、天皇杯ルヴァンカップは超満員になりますが昔はほとんど人は入っていませんでした。そんな中で、色々な試行錯誤の末今のように盛り上がりを見せるようになりました。大学サッカーもこれだけやれば良いと言うことはありませんが、何か努力を積み重ねていけば将来変化していくはずだと信じています。そうすれば良い選手は増えていくと思います。

佐藤さん:おっしゃる通りだと思います。「試合に出るためには何をすべきか、試合に出られなくてもどうチームに貢献するか」そういった自らが置かれた立場を受け入れどう努力すべきなのかを考えることが、大学の意義だと思います。だから学生には失敗を恐れずにもっと主体的に活動してほしいと考えています。
そういう意味でもホーム&アウェイになったことで、考える機会が増え、大学サッカーはもっと面白くなっていくと思います。

中野さん:私たちの時代は、全てが土グラウンドでしたが、今では人工芝ではないグラウンドは逆にないと思います。よってグラウンド整備やボール磨きなど、雑用はほとんどなくなっているように思えます。その分サッカーに使える時間は増えているはずなのに、全然足りないなと感じます。恵まれ環境が当たり前になってしまっているように思います。

佐藤さん:俺が今の時代に現役ならもっとできていたなーって思います(笑)。上下関係が厳しくないから伸び伸びとやりたいことができるし、色々と挑戦できる環境があるので。

中野さん:部員による応援は人からやれと言われてできるようなものではないので、チームの成熟度の1つのバロメーターになると思っています。その点、中央大学は他大学と比べて、「本気で応援しているな」と外から見ても感じます。うちのチームも見習いたい部分です。
そんな中央大学と降格がかかった大事な最終節に試合をすることに楽しみな部分と心が痛む部分があり複雑な気持ちでの最終節です。

○最終節に向けて

ー最終節に向けての意気込みをお願いします。

中野さん:ここ最近失点が多いのが課題ですが、インカレに向けて新しいテーマを持ってやっている分、噛み合わない部分があり試行錯誤をしているところではあります。しかし、最終節では結果に結びつけるために修正して取り組みたいと思います。
ただ正直中央大学の今の勝ち点が妥当なものだとは思っていません。素晴らしい選手がたくさんいるので、ちょっとしたことで結果は全く変わっていたと思います。だから、最終節はきっといい試合になると期待しています。

佐藤さん:中大は長年ボールを保持しながらゴールに運ぶことをテーマにしてきたので、その強みを活かして結果にこだわりたいです。ただそれだけでなく、大学サッカーは成長環境というところでもあるので、そういう点にも注目していただきたいです。
最後平塚で流経に勝ち、みんなで喜びたいと思います。頑張りましょう!!

―ありがとうございました。


司会進行・編集:橋本泰知(中央大学学友会サッカー部)

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