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「It's a lie.」2023年4月18日の日記

ヴヴ…ヴヴ…
タッ
「アレクサ電気つけて」
「はい」
スタスタ…
キュイ
スッ
ゴクゴク
ダンッ

ガサガサ
「ゆっくりいこ」

キィィ…
「行ってきます」
バタン

どうでもいい授業を聞き流しに行く。
授業に興味はない。
ただ時間通り生活を出来るようにならなきゃという一心だけだ。

あと、何よりも新鮮だ。
ここ数日意外と一人だけの時間を取ってなかった気がする。

『…のコインについてシステムとして…』
周りが真面目な雰囲気だと、自分も集中できる。
もっとも僕が取り組んでいるのは日記だけど。

・こんにちは、Noi_です。
・やっと7時30分に起きれた…これから生活時間整え生活の始まりだー!
・どうせなら昼寝の時間も確立してい…

バタン

「つまらないな。」
日記を書くときは【Noi_】というキャラクターを演じるつもりだったけど、書かれていくことは等身大の【僕】でしかなくて。
どうしても演者としての意識になれない。

『本日の講義は以上です。お疲れ様でし…』
講義から一目散に逃げだす。
未だに人混みで自分のペースが崩されることに慣れない。
タッタッタッタッタ…
誰かに追いかけられているわけでもないのに、急いで階段を駆け下りる。

「…誰も居ないだろうし、いくか」
校内で安息できる場所はそう多くない。
そんな僕にゼミという空間は非常に心地よかった。
広い空間に一人という優越感に浸れるからだろうか。

パンとカフェラテを買ってゼミ室に向かう。

「あ、こんにちは。」
先輩がいた。
だからといって話すことはない。
広いゼミ室の中ならそれぞれがそれぞれの空間に浸れるのだろう。

就活とゼミでの立ち回り方について少しだけ話した。
やっぱりこの人は凄い。
相手にとって何が有益なことかを考えて話していると思う。
そのうえで相手を楽しませようともしている。
とにかく、バランスが良いんだと思う。
聞きながらぼんやりとそんなことを考えていた。

そのまま講義もさっと終わり、夕飯を食べ、服を見て帰宅する。

今日一日で得られたことはあっただろうか。
不特定多数を楽しませられる内容はあっただろうか。
それはまだわからないけど。
意味がなくてもいい。
無くてもいいから。
とりあえず今日も書き綴って、そして一日を終えるんだ。

…ああそうだ。
「今日は【僕】が日記を書くか」

どこまでが演者で、どこからが自分か。
どんどん分からなくなる。
境界が曖昧になっていく。
夜が更けていく。

「アレクサ電気消して」
「はい」

「おやすみなさい」

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