メモ あぶれる



あぶれる。みんなが手を取り合って輪を作っている世界でひとり溢れていると思うことがある。それはべつに寂しいとかではなく。誰かと誰かが手を繋いでいて、あの人とあの人は仲が良くて、あれとあれは付き合っていて。なかよしどうしペアを作る授業の時みたいに1人で残ってしまうことがある。それは現実でなにか仲間はずれにされたとか、無視されているとかそういうことではなくて。寧ろいつも輪の中にいる気がする、職場に行けば誰か喋る人がいる、会いたいと言えば会ってくれる友人もいる、好きな人もいる。でもその人たちが作った輪の中に私はいないのかもしれないという。とても抽象的な漠然としたイメージだけど。人と人とが手を繋いでそれが繋がってぐるっと輪っかを作ってそれで世界ができるとして、僕がそこに少し遅れてしまったとして、それに誰も気づかずに淡々と世界をつくりあげている。そして僕がいないまま、なんと世界は完成してしまって。…そういうなにかよくわからない、寂しさとは違う不安が少しある。嫌な訳では無い、いなかった僕が悪い、寂しいとかじゃない、仲間に入れて欲しいわけではない、輪の外にいても僕は楽しい。それでも僕以外のみんなが手を繋いでいる。好きな人同士2人組。親子でも友達でも恋人でも飼い主と飼い犬でも。それでできた世界、みんなが囲っているその世界の中で僕は生きてていいのか。笑っていていいのか。まあ、いいに決まっているけど。僕はみんなのことも世界のことも好きだし。それでも世界を作っている人間の数はきっと奇数、ひとり溢れる僕がいるから。


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