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【日本語解説】Unity 技術ロードマップ 2020 (第4回) ~「ゲームをユーザーに届けるための施策(Reaching your audience)」について~

前回記事。

2020年3月26日に公開された動画「Unity Roadmap 2020: Core Engine & Creator Tools」の内容を翻訳し、Unityが「過去」「現在」「未来」に向けてどのような開発をしているか、その理由なども含めを日本語解説する記事の4回目です。

本記事では、動画内の4項目のうち最後の項目「ゲームをユーザーに届けるための施策(Reaching your audience)」について説明しています。

なお、プレゼンテーションスライドが英語なので、見にくく感じる部分もあるかもしれませんが、その場合は各セクションの「要約」だけを追いかけても把握できるように努めます。

それではどうぞ。


「ゲームをユーザーに届けるための施策(Reaching your audience)」の指針(指導原則)

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私たちの「ゲームをユーザーに届けるための施策(Reaching your audience)」における指針(指導原則)について説明します。

それは「皆さんのコンテンツ(ゲーム)をオーディエンスが望むプラットフォームへ可能な限り容易にリリースできるようにすること」です。


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現時点において、Unity 2019.3ではこれだけ多くのプラットフォームをサポートしております。


Connected Games

要約
・これまでに、ボイスチャットサービス「Vivox」、サーバー管理サービス「Multiplay」、分析サービス「deltaDNA」といった、マルチプレイヤーゲームの課題を解決するソリューションを提供してまいりました
・今年は、これらサービスを統合し、全体的なソリューションになることに焦点を当ています
・Unity TransportとNetCodeのプレビュー版も公開しており、同様に公開されている「DOTSサンプルゲーム」プロジェクトを見ることでどのように連携しているかを確認できます

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まずは「Connected Games」です。

ここでのミッションは、開発者の皆さんがスケーラブルで高度に最適化されたオンラインゲーム体験をより簡単に構築でき、費用対効果の高い運営ができるようにするために必要なものすべてを提供することです。

今回は概要紹介ですが、より詳細については別の動画『Unity Roadmap 2020: Live Games』をご覧ください。


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これまでに、ボイスチャットサービス「Vivox」、サーバー管理サービス「Multiplay」、分析サービス「deltaDNA」といった、マルチプレイヤーゲームの課題を解決するソリューションを提供しています。

これらのサービスは、大規模なオンラインゲームを運営するために必要な基盤となります。


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プレイヤー間接続をさらに強化し、サーバーシミュレーションロジックをより簡単に構築できるようにするために、マッチメーカーとサーバーランタイムの改善を進めています。

また、Unity TransportとNetCodeのプレビュー版も公開しています。これらは「DOTSサンプルゲーム」プロジェクトをサポートするためにリリースされたもので、DOTSベースのシミュレーションとレプリケーションが完全にDOSTベースのアプリケーションでどのように連携するかを例示しています。

また、Unity Transportをアップグレードして、プラットフォームの拡張とIPv6のサポートのために、新しい基礎となるプラットフォームベースのライブラリを採用しました。


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今年は、Connected Gamesのサービスをすべて統合し、全体的なソリューションを形成するエンドツーエンドのシステムを構築することに主に焦点を当ています。

Unityは、Unity TransportとNetCodeパッケージの機能を引き続き拡張していきます。焦点は、誰もが利用できるすべてのネットワークプレイのための直感的でパフォーマンスの高いソリューションを開発することです。


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Unity TransportとNetCodeがしっかり構築し、マルチプレイヤーゲームの作成をより簡単にする機能を引き続き開発します。


モバイルプラットフォーム

要約
・ローエンドからハイエンドのモバイルデバイスで最適なパフォーマンスと安定性を実現し、開発のイテレーション時間を改善できるようにしてまいります
・「Unity as a Library」という、iOSやAndroidアプリ内のライブラリとしてUnity Runtimeを使用できるようになりました
・新しいデバイスシミュレータにより、様々なデバイスの画面サイズに対応した高速なプリビジュアライゼーションやテストをUnityエディタ内で実現しています

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次は「モバイルプラットフォーム」です。

ローエンドからハイエンドのモバイルデバイスで最適なパフォーマンスと安定性を実現し、開発のイテレーション時間を改善することをミッションとしています。

モバイルはUnityにとって非常に重要なプラットフォームであり、ここでの重要ポイントはデバイスの消費電力を制御することでパフォーマンスをコントロールできる優れた開発オプションを提供することにあります。

そしてもちろん、優れたグラフィック品質を維持しながら、開発のイテレーション速度を向上させます。


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最近リリースしたものに見てみましょう。

iOSやAndroidアプリ内のライブラリとしてUnity Runtimeを使用できるようにし、他のツールで開発したARアプリに実装するようなシナリオにも対応できるようにしました。

一方で、様々なレンダリングの改善を追加し、開発とイテレーション時間を短縮するための新しいツールを導入しました。

Samsungデバイス専用機能としてAdaptive Performanceというものがあります。この機能は、デバイスのパフォーマンスステータスや端末の発熱情報を取得してパフォーマンスや品質設定をアクティブに調整することができます。


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Pre-releaseでは、デバイスシミュレータによるイテレーション時間の改善を行い、様々なデバイスの画面サイズに対応した高速なプリビジュアライゼーションを可能にしています。


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今後は、iOS/Metal、Android/Vulcanに対応したリファインを行い、Universal Render Pipelineの改善を継続するとともに、イテレーションの高速化のための各種ツールの開発を進めていきます。


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このように、モバイル開発においてどのように進化しているかがお分かりいただけたかと思います。

Android Logcat、ローカルシェーダキーワード、オンデマンドレンダリングという機能もありますし、Unityのランタイムを自分のアプリに配置することができるUnity as a Libraryという機能もあります。

また新しいデバイスシミュレータによって、膨大な数のデバイスでのリリースチェックと同様のことをUnityエディタ内で行えるようにしたいと考えています。

そして、iOSとAndroidの新バージョンが登場した際は、早めにサポートするように注力してまいります。


Project Tiny

要約
・インスタントゲームをモバイルやウェブで実現する、極少ランタイムのフレームワーク「Project Tiny」は、これまでと同じUnityエディタ環境で開発できます(つまりC#で作れます)
・現在プレビュー版ですが、様々な機能追加を施し、正式リリースを目指します

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次は「Project Tiny」です。

ここでのミッションは、最適なファイルサイズとロード時間で、モバイルとウェブでインスタントゲームやその体験を構築できるようにすることです。


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プレビュー版のProject Tinyは、新しいDOTSランタイム上に構築されており、これまでと同じUnityエディタでのオーサリング環境や、iOS、Android、Web用のビルドサポートを使用しています。

現在のプレビューには、3Dレンダリング、3D物理(Physics)、基本的なアニメーション/入力/オーディオ、レンダリングとコリジョン検出のための2D基盤(Foundations)が含まれています。


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今後は、3Dと2Dのレンダリングとすべてのプレビュー機能の改善と拡張を行っていきます。

UI オーサリングのためのサブセット版UI Elementsやモバイル広告対応、モバイル ライフサイクル イベントも取得できる単一HTMLのエクスポートなど、よりプラットフォームに特化した機能をサポートする予定です。


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このように、私たちの小さな小さなランタイムがいかに進化しているかがお分かりいただけたかと思います。


XRプラットフォーム

要約
・Unityは、あらゆるデバイスやフォームファクターに対応したAR/VR/MR体験を、可能な限り簡単かつ最高のパフォーマンスで作成できるようにしたいと考えています
・XRプラットフォーム向け開発は、XR SDK と呼ばれる新しいオープンなプラグイン フレームワークで行うような形に移行しました
・AR FoundationやXR Interaction Toolkitなどで開発を通じて、最高のプラットフォームサポートを確保していきます

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最後は「XRプラットフォーム」です。

ここでのミッションは、あらゆるデバイスやフォームファクターに対応したAR/VR/MR体験を可能な限り簡単に、最高のパフォーマンスで作成できるようにすることです。

Unityでは、AR FoundationやXR Interaction Toolkitなどで開発を通じて、最高のプラットフォームサポートを確保したいと思っています。


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XR プラットフォームの統合については、XR SDK と呼ばれる新しいオープンなプラグイン フレームワークに移行しました。

AR Foundationは、AR開発のための主要なフレームワークの1つであり続けています。AR Foundationは、UnityのXR SDKの上に構築されており、ハンドヘルドとヘッドウェア型ARデバイスの両方のサポートしています。

グラフィック面では、VR用のHDRPサポートにより、没入感のあるフォトリアリスティックなVR体験を可能にしています。


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XR Interaction Toolkitを使用すると、ゼロからコーディングすることなく、AR/VR 体験にインタラクションを追加することができます。


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今後は、XR 体験に最高のパフォーマンスを提供するために、エンジン レベルでグラフィックスの最適化に引き続き注力していきます。

ハンドヘルドAR向けのオンデバイス リモーティングは、開発のスピードアップと反復時間の短縮につながります。

Unityは、プロジェクトテンプレートやサンプル プロジェクトを強化して、皆さんの開発におけるファーストタッチの体験向上に取り組んでいきます。


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このように、Unityは強固なXR SDKを開発していることをご理解いただけたかと思います。

また、XR Interaction Toolkitによって、毎回ゼロから準備を始めなくても何かを構築することができるようになります。

今後はURPとHDRP対応へのさらなる投資、Volkenサポートのパフォーマンス向上、そして実際にゼロから始めるプロジェクトテンプレートの開発を進めていきます。

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