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往復書簡/N→S/2022年12月1日

巻尺様

12月に入り、一気に寒さの精度が増しました。
それと同時にお店の方も色んな意味で冷えきって、早く家に帰ってほっと、珈琲でも飲みたい気分です。

先日はお店でのワークショップありがとうございました。
一階にいて二階の盛り上がりを聞き、そして降りてくる皆さん声を揃えて「楽しかった〜」と言われ作ったノートも見せてもらいました。
“この人らしいな”と思う紙の選択やレイアウトなど、それぞれの色が出ていて、外枠のノートとはいえ既に自分を表現しているZINEだったと思います。

今回のワークショップに参加された方が作るZINEも、もしかすると来年のウニマキZINEに並んでいるかもしれませんね。

最近は私も創作意欲が湧き、作りたいと思うモノが後を経ちません。貴重なバスの読書時間ですら、メモ帳を開いて考えを打ち込む時間に使っています。
冷静にやっているふりをして抑えてきた荒ぶる感情を、形にしていきたい時期に来たのかもしれません。残された時間には限りがありますから。せっかくなら、形にしたいモノ、できるモノはすべて出してしまって、それがたまたま誰かの心に残るモノとなり、縁を繋ぐ役に立ってくれたなら、媒介者の私らしいかなと思います。

何を言っているんでしょうか。
さて、前回のお話についての感想を。

自分でも話を書くようになってわかったことは、名前をつけるのは難しい。ほぼ自分が主役だったので、名前はただの飾りにしかならないからとつけてきませんでした。
この話では登場人物に名前がありました。そしてもしかすると、だからこそ活きるのかなと想像しました。そうしたら読んでいく中で"あれっ?"と思う部分があり、それが意図的なのかを考えていたら、裏で繰り広げられる別のストーリーが出来上がりました。見当違いならそれこそあれですが。
でもそんな想像を読者に持たせられるのは、いい話なのだと思います。

次に今回の私のお話。
お題は「師走」「カレンダー」「大晦日」。

正直かなり悩みました。
ひとつ前に書いた話が割と気に入っていただけに、不承不承といったところではあります。名前もあるにはあります。お手柔らかに、脳内に映像を浮かべ、新旧どちらかの声を入れながら読んでみてください。

【 戯曲ドラえもん のび太と時空超電車 ( プロローグ ) 】

登場人物
ドラえもん(ドラ)
のび太(のび)

ドタドタと階段を駆け上がる足音。
その勢いのまま二階の襖を開ける。
部屋の真ん中に寝そべるドラえもん。


のび「ドラえもーん」
ドラ「そんなに慌ててどうしたんだいのび太君」
のび「ぼく思ったんだよ。12月ってさあ、クリスマスが終わったと思ったら冬休みになって、大晦日にお正月、後半から急に楽しいことばかり続くじゃない」
ドラ「それがどうしたの」
のび「みんな待ち遠しいから早く時間が過ぎてくれた方が喜んでもらえるんじゃないかな。ねえ、そういう道具ない?」
ドラ「何を言い出すかと思えば。あのね、のび太くん。このカレンダーを見てごらん」

机の横の壁に貼ってあるカレンダー前に移動。

ドラ「12月の文字の横に師走と書いてあるだろう。これはね、『師馳す』とも言って、昔はこの時期になるとお坊さん(師)がお経をあげるために家から家へと走る(馳せる)、つまりそれくらい慌ただしい月だったというところからきてるんだ。同じように大人の人達だって、今年中に終わらせておかないといけない仕事を片付けたり、大掃除だったり、年末から年始に向けての準備やらで、12月は何かと忙しいんだよ。みんな少しでも時間がほしいと思ってるくらいなんだ。それを君という人は……」
のび「ストップ!ストーップ!わかったから、そんな1ページをまるまる使って説教なんてしないでよ。みんな喜ぶと思ったんだけどな。じゃあパパとママも時間が足りないくらい忙しいのかな」
ドラ「そうだよ、パパは最近帰ってくるのが遅くなってるみたいだし、ママだって買っておかないといけない物のリストを書き出して買い物に行ったよ。正月まではのんびりしている余裕もないんじゃないかな」
のび「………ねえドラえもん」
ドラ「なに?」
のび「12月中に少しでもパパとママにのんびりできる時間をプレゼントしてあげたいよ。なにかいいアイディアはない?」
ドラ「よくぞ言ってくれた!だったらぼくにいい考えがある。ちょっと未来デパートに行ってくるから待ってて」
のび「う、うん。お願い」

ドラえもん机の中へ入る。
暗転。


ドラ「のび太くんお待たせ、買ってきたよ」

再び照明がつく。
ドラえもん机の中から出てくると同時にポケットに手を入れる。
効果音。(タラララッタラ〜♪)


ドラ「時空超電車のチケット」

ドラえもんポケットから紙切れを取り出す。

ドラ「これはね、この世界とは異なる次元にある、最高にのんびり過ごせると言われている場所へ行ける人気の”時空超電車”のチケットなんだ。まるで路面の上を走っているかのようにゴトゴト鳴る音を楽しみながら、目的地に見える蛍のあかりを目指すんだ。しかも電車に乗ってからは時間の流れが変わって、向こうでの1時間はここでの1分くらいしか進んでいない。だから思う存分楽しんでいられるよ」
のび「うわーすごい。でも高かったんじゃない?」
ドラ「パパとママのためだから奮発したんだ。はいのび太くん、君にも」
のび「ぼくの分まであるの?」
ドラ「あのまま駄々をこねるようだったら買わなかったけど、のび太くんはすぐにパパとママに喜んでもらうことを考えていたから、ぼくからのプレゼントだよ。家族三人でのんびりしておいで」
のび「ありがとうドラえもん。でもだったらドラえもんも一緒に行こう。だってうちは四人家族なんだから。ぼくのお小遣いで足りるかな?」

のび太本棚に置かれた豚の貯金箱を持ってくる。

ドラ「のび太くん…君は本当に優しい子だね。それじゃあお言葉に甘えてぼくも一緒に行くね」
のび「やったー!じゃあ今貯金箱に入っている全財産をあげるよ」

貯金箱を振って中身を取り出す。

のび「はい、140円」

暗転。

第一章へ続く(未完)

ドラえもん達が向かった最高にのんびり過ごせると言われている場所、そこで待ち受ける展開とは…?それはご自由にご想像ください。

次回のお題は「正月」「雪」「うさぎ」でお願いします。

それでは、残り少ない2022年を悔いの残らないようお過ごしください。
2023年もこうして何気ない文章のやりとりが出来ているといいですね。

ウニスカ


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