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瀧本哲史さんとの思い出 ③一緒に仕事をする

本記事は「瀧本哲史さんとの思い出①出会い/②教えとくびき」の続となります。

Unite Partnersの源流となっている小林の考え方はどのように生まれたのか?瀧本先生から何を学び、今に繋がってるかなど、
知られざる瀧本先生についても知っていただければと思います。
※ラジオ形式で収録し、記事にしています。

登場人物 紹介
【小林 大輝(こばやし ひろき)】1993.8.17〜
Unite Partners株式会社 代表取締役社長
瀧本ゼミ 初代 代表

【あんてこ】
投資家
瀧本ゼミ 2代目 代表

【瀧本 哲史(たきもと てつふみ)】1972.1.22〜2019.8.10
エンジェル投資家、経営コンサルタント
東京大学法学部卒業後、マッキンゼーに入社。以後エンジェル投資家、経営コンサルタントとして活動。京都大学/東京大学で教鞭をとる。

小林にとってあんてこさんは大学時代からの親友であり、Unite Partnersの投資家でもある。瀧本ゼミの立ち上げメンバーであり、お互い代表として瀧本ゼミの基礎を作ってきた。超くだらない話から真剣なビジネスの話まで色んなことを語り合ってきた10年来の仲。

●小林:こんにちは。Unite Partners(以下、UP)の小林です。今回も特別編として、「瀧本哲史さん」についてお話ししていきたいと思います。

前回まで、瀧本さんとの出会いや東京瀧本ゼミ立ち上げについてお話ししてきましたが、今回は瀧本ゼミを2代目代表あんてこさんにバトンタッチしてからの話を中心にしていきたいと思います。
前回に引き続き、弊社投資家でもある、あんてこさんにきていただいております!あんてこさん、よろしくお願いします。

★あんてこ:あんてこです。瀧本さんの話をまた語ることができて嬉しいです。よろしくお願いします。


瀧本ゼミ1期生の就職活動

僕がコンサルティングファームに決めた訳

●小林:最初に、僕がなぜコンサルティングファームをファーストキャリアとして選んだのか?についてい話したいと思います。

★あんてこ:瀧本ゼミの就活といえば、就職占いがあったよね。

●小林:あったね。 あんてこさんが一番よく就職占いされてたんじゃない?

<就職占いby瀧本哲史 とは?>
瀧本さんの高度な洞察力によって、学生がどの企業に就職するのかまだ就活が始まっていない段階で予言するイベント。わりと適当。

★あんてこ:大学2年生の時に、瀧本さんに就職占いされたんだよね。「あんてこさんは三菱UFJ銀行に入ると思います」って言われた。笑

●小林:言われてたね。笑

★あんてこ:たぶんあれは完全に煽りだと思いますね。「お前は、UFJなんかに行くな」っていう事なんですよ、瀧本さん的に言うとね。

●小林:たしかに。笑

★あんてこ:小林くんは就職占いあったんですか?

●小林:あんまり覚えてないんだけど、瀧本さんに「小林さんは三菱地所でしょ」って言われた気がするな。

★あんてこ:あー。三菱地所ね!

●小林:大学3年生の時にバークレイズの主催の『アナリストカップ』で優勝したんですよ。 ご褒美に瀧本さんがマンダリンオリエンタルが入っている高いビルの最上階のレストランでご馳走してくれて。 その時に東京を見下ろしながら就職占いをされました。あれも、もしかしたら「行くな」っていう逆説的な言い方だったのかな?

2013年にBARCLAYSが開催したアナリストカップで優勝した

★あんてこ:たぶんそうだと思いますよ。

●小林:瀧本さんは、もっともらしい理屈をつけてくるんですよね。 「 日本で一番資本装備率が高いのは丸の内の土地を全部持っていて、なおかつ従業員数がものすごく少ない三菱地所。 なので三菱地所に就職して、丸の内で女の子とデートをして、あのビル俺が持っているんだっていう風にやってください」っていうメッセージを送りたかったんだろうな。

★あんてこ:これは完全な煽りですよ。笑

●小林:でも結局僕は三菱地所には行かなかった。地主としてチャリンチャリンするのもいいが、様々な業界や企業の叡智を以て、企業ビジネス活動の前線に立って戦うことの方が楽しいと思っていた。前線で生死を賭けていたほうが燃えるんですよね。コンサル会社を受けるのは自分の中ではすごい自然な動きだった。でも、結局それを後押ししたのは、瀧本さんではなく、僕の当時の彼女だったんです。

★あんてこ:えぇぇ笑!!

●小林:当時の彼女にズバッと言われたんです。「あなたは日本企業に行っても絶対に合わない。どうせ辞めるから!!コンサルしか行くところないよ。他に就職とかありえないよ。 無駄だから辞めなさい」って言われて、「はい、分かりました。コンサルにします」ってな訳です、、、。笑

★あんてこ:瀧本さんではなく彼女だったとはね。瀧本さんもびっくりだよ。

●小林:そんな背景もあり、僕のファーストキャリアは サマーインターンで最初に内定をくれた会社、デロイトに決まりました。彼女に「就活し続けたらダサいよ」って言われて一番最初に内定くれた会社に決めて早々に就活を終わらせました。逆にあんてこは就活いろいろ苦労したもんね。

★あんてこ:私の就活は、小林くん無しには語れません。株式投資ができる会社に行こうと思った時に、日本で自分がやりたい事ができる会社はただ1つ、ゴールドマンサックスの投資部門しかないと思い、当時の私は、「そこにかけるしかない!!!」と意気込んで最終面接まで行ったんです。ですが結局、不採用になってしまったんです。ショックすぎて、リクルートスーツのまま3日間六本木を彷徨っていたんです、、、。

●小林:うわーそんなことあったな、、、あんてこ失踪事件。笑

★あんてこ:今でも鮮明に覚えていますが、六本木を彷徨っていたら、小林くんが突然、鳥貴族に誘ってくれてね。小林くんお手製の就職先リストを作ってきて、「あんてこ!大丈夫だ。まだこのファンドがあるぞ!!」と紹介してもらった。これがのちに私のファーストキャリアになる、ヘッジファンドだったんです。だから、小林くんのおかげで私は投資家になれたんです。

地下一階の地の底の鳥貴族だった

●小林:めちゃくちゃいい話だけど、あんてこの才能と努力のお陰ででしょ。実際、約10年前は新卒採用してる投資会社なんてほぼなかったからね。今でこそそんな投資会社も増えてきたけど。

★あんてこ:そうなんです。当時は本当に自分がしたい事ができる会社が少なかったんですよね。

PEファンドに入るなら起業しろ

●小林:僕は早々にコンサル行くことを決めたんですが、ネクストキャリアも考えていたんです。コンサルの次は、PEファンドに進もうと思っていた。瀧本さんもマッキンゼーでコンサルをやった後、PEファンドの作る側をやっていたじゃない?瀧本さんのキャリアを見て、憧れていたんですよね。それで瀧本さんに相談したら、止められたんですよ。

★あんてこ:えー!予想外。なぜ?

●小林:「PEファンドに行っても、ファンド出資者の奴隷になるだけですよ?」「大したリターンももらえないですよ」って言われたんです。

★あんてこ:その通りかもしれないな。

●小林:「もっと希望ある道を選んだほうがいい。PEファンドに入るんだったら起業しろ!」って言われて、そのとき引き合いに出してたのが、マッキンゼー出身で、エムスリー創業者の谷村格さんだったんです。

「谷村さんは、PEファンド行かず起業の道を選んで何千億円もの資産を築きましたよ。PEファンドに行ってたら絶対に得られなかった資産ですよ。だから小林さんはPEファンドとかショボいこと言ってないで起業すべきなんですよ」って言われたのをすごい覚えています。そんな感じで、私の中でPEファンドに行くっていう道はいつの間にかなくなってました。
だから、大学3年生の時に私のセカンドキャリアは起業なのかな?ってぼんやり思い始めましたね。

見晴らしのいい場所にいることの価値

★あんてこ:瀧本さんは「見晴らしのいい場所にいなさい」といつも言ってたよね。瀧本さんの著書「僕は君たちに武器を配りたい」にも書いてあるんだけど、世の中がよく見える場所は、色んな産業の知識が入ってきたり、色んな人と出会える場所。実際その教えを瀧本ゼミ生は、忠実に守っている。例えば、マッキンゼーやBCGと言ったコンサル業界に就職する人は未だに多いんですよね。コンサルティング会社は、依然として見晴らしのいい場所であり続けてるからこそ、瀧本ゼミ生のキャリアスタートする場所になってる感がある。

●小林:確かにそうだね。 私はコンサルティング会社を選び、あんてこは投資家としてファンドに入り、お互い見晴らしのいい場所で仕事を始められたってことだね。

★あんてこ:私は投資家として、瀧本ゼミで学んだ企業研究をそのまま活かすことができたんだけど、小林さんの場合、コンサルタントとして仕事をする中で、活かすことができた瀧本さんの教えはありますか?

●小林:勿論、たくさんありますよ。ただ、別に教えてもらうというよりは、見て真似するくらいのことでしたが。

瀧本さんは「正しいと思うことは、相手が大企業の社長さん、お偉いさんでもはっきり言う」ということを当たり前のスタンスにしていたんです。だから、コンサルってこういうスタンスなんだなって思ってた。

でも入社したら違ったんです。

コンサルタントが、クライアントの言いなりになってて、自分の考えとかスタンスがなくて、言われたことやってますって感じ。おまけに、クライアントにとってあまり意味のあるとは思えないことも提案してやってしまったりしている。 かつてのマッキンゼー流なんだと思いますが、おやおや?聞いてたのと違うぞ!?ってなっちゃったんですよね。入社前とのギャップがあってショックでしたね。

★あんてこ:UPのコアビジョンとなっている、クライアントを変革させることをやろうっていうのは、そこが原体験になってるかもね。

これで良いのか?コンサルティング業界!?

●小林: たしかに、瀧本さんから聞いてたコンサルタント像と現実のギャップみたいなのが今のUP原点になってる感じ。これでいいのかコンサルティング業界!?と危機感を覚えました。

★あんてこ:なるほどね。

●小林:とはいえ、当時の自分の上司はすごくいい上司に恵まれました。クライアントファーストを徹底してる人達で、一人目の上司から、「コンサルタントとしてのクオリティ」 二人目の上司から、「コンサルティングファームの営業とは」を学ばせてもらいました。二人ともデロイトの中で、エース中のエースの人だったから、出会えたのは奇跡というか、良かったなと思ってます。

当時のチームメンバー!

★あんてこ:小林くんとは、学生時代からシェアハウスをしていたので当時のことはよく覚えていて。最初の頃(入社した半年くらい)は死んだ顔をしていて、大丈夫か?って思ってたんです。だけど、日が経つにつれどんどん自信に満ち溢れた感じになっていったんですよね。

●小林:死んだ顔してたかもね。でも前半で資料の作り方とか、プロジェクトのクオリティを学んで、後半でコンサルタントとしてお客さんとどの様に人間的関係を築くべきなのかとっていうのを沢山学ばせてもらったから良かったよ。

★あんてこ:デロイトで楽しんで仕事していると思っていたら、すっぱりコンサル辞めたんですよね。あれには驚かされましたよ。

●小林:そうだね、スパっと辞めてしまいました。

退職の時は同期とごはん

瀧本さんと二人コンサルティングファーム誕生

★あんてこ:あれはどういう流れや意思決定があったんですか?

●小林:実はここで初めて社会人生活に瀧本さんが絡んでくるんですよ。デロイト在職中は忙しかったから、瀧本さんとの関わりが薄くなってた時期。でもある日、瀧本さんから「一緒にチームを組まないか」って言われてね。

★あんてこ:瀧本さんとチームを組むってすごい話だよね。

●小林:瀧本さんと一緒に、ある大企業のコンサルするって話だったんです。

★あんてこ:「瀧本さんとコンサル」。凄い。

●小林:瀧本さんと組んでコンサルするっていうのがきっかけで会社を辞めた。瀧本さんと一緒に仕事が出来るっていうのが、何事にも変えがたい魅力だったね。

★あんてこ:ほんとそうだね!瀧本さんって自分でも言ってたけど、滅多に自分でコンサルはしないんだよね?

●小林:そうなんです。でも当時、その会社の担当者の方ががすごく熱心に瀧本さんにぜひアドバイス欲しいと誘った結果、瀧本さんもすごくやる気になってしまってね。その時に瀧本さん一人じゃなくて、実行部隊として私が呼ばれてたってわけ。瀧本さんから、「現場でしっかりお客さんとの関係性築きながら、お客さんを動かしていける存在として一緒にやろう」という声をかけてもらって、スパッと会社を辞めました。それから、瀧本さんとチームになって、大企業のコンサルを3年弱実行しましたね。

★あんてこ:瀧本さんと一緒に仕事をして、学んだこと・今に繋がっていることはある?

●小林:そうだね、やっぱり変革の提言がすごかった。瀧本さんは実際に結果を出していくことを重視していたので、戦略だけじゃなく、いかにして人を動かしていくのかっていうところに重点を置いていたんだよ。

びっくりしたことは瀧本さんは、資料ゼロ。 プレゼン資料を作らない。言葉だけがどんどん投下されていく。でもその言葉に人を動かす魅力とパワーがある

★あんてこ:すごいな。

●小林:瀧本さんは社長や役員に直接、臆せずはっきり提言する。僕はそれを現場レイヤー含めて理解させて、実際に動かしていく。現場の調整役が僕みたいな感じだった。たった二人しかいないファームだったけど、かけがえのない経験になりました。

★あんてこ:そうだよね。羨ましいくらい、特別な時間だよ。

●小林:特別な時間を全力で過ごしていたんですが、実はそのプロジェクトは未完に終わってしまったんです。

つづく